エコキュートから水が出ているのは故障? 「排水」と「水漏れ」との違いについて解説!
2024年9月24日
一般家庭において日常生活のうちもっともエネルギーを使用するのが「給湯」に関することといわれています。
お風呂や洗顔または洗いもの等々、日々の営みに不可欠なものといっても過言ではないでしょう。
しかし今般高まっている地球環境保全への意識と取り組みにより、省エネは人類共通の重要な課題として位置付けられ、多くのエネルギーを消費する給湯器についてもさまざまな改良が加えられています。
そんな高効率給湯器の一つに「エコキュート」が挙げられ、優れた省エネ性能と環境負荷への低さから一般家庭への普及が進んでいます。
本記事ではそんなエコキュートについて運転中に行われる「排水」という事象を取り上げ、その仕組みや故障との違いなどを解説します。
エコキュートとは? その仕組みは?
まずはエコキュートがどのような仕組みで動く給湯器であるのか、その機構について少し詳しく見ておきましょう。
エコキュートはガスなどを用いる燃焼式の給湯器とは異なり、化石燃料を一切用いず電気のみで稼働します。
電気で動くとはいっても電熱で直接水をお湯に変えるのではなく、「ヒートポンプ」という熱交換装置によって大気中の熱を集め、それで水を温めるというのが大まかな仕組みです。
ヒートポンプの内部には「冷媒」と呼ばれる熱を運搬する媒介となる二酸化炭素が循環しており、これが大気中から集めた外部の熱を伝えます。
気体は圧縮すると高温になり反対に開放すると低温になる性質があり、これを利用して外部の熱を集めた冷媒を圧縮し、温度を高めます。
そうして得た熱で水をお湯に変えるというのがエコキュートの仕組みで、これはエアコンや冷蔵庫などとも同様の原理を用いたものです。
そのためエコキュートは化石燃料などの燃焼によって二酸化炭素を排出しない、クリーンな給湯器として知られています。
エコキュートが「排水」する理由
温室効果ガスをほとんど出さないエコキュートですが、その代わりに稼働するとある液体を排出します。
その正体は「水」。
ですがなぜ、電気で動いて大気中の熱を集めるエコキュートが水を出すのでしょうか。
その理由は、先に述べたヒートポンプの作用と関係しています。
熱交換装置であるヒートポンプには冷媒や水が通る配管が施されており、圧縮して熱を高めた二酸化炭素は開放により冷却され、再び大気中の熱を集めるために用いられます。
このような冷却によって生じる結露がエコキュートの排出する水の正体で、これを「ドレン水」といいます。
ドレン水はエアコンの室外機からも同様に排出され、取り付けられたホース状の部材から水が出ているのを目にしたことがあるのではないでしょうか。
エコキュートが排水するのは、このようなヒートポンプの作用による副産物といえるでしょう。
エコキュートの排水について気を付けるべきこととは?
エコキュートがその稼働過程においてドレン水を排出することがわかりましたが、正常に運転されている状態であればいくつかの特徴的な事象があります。
逆にいうとそうした動きから外れていると何らかの不具合が生じているおそれがあるため、エコキュート稼働状態を知る手がかりの一つになるといえるでしょう。
以下にエコキュートの排水状態について、気を付けるべき3つのポイントを挙げました。
排水時間は適正か
エコキュートは通常、電気料金の安い夜間に集中して稼働しお湯をつくり、貯湯タンクにためておくように稼働します。
そのためドレン水を排出するのは夜間であることが中心となり、日中には設定を行うか追加でお湯をつくるかの場合に限って稼働すると考えてよいでしょう。
したがって十分な量のお湯がタンクにあるにもかかわらず、日中にドレン水が排出されているのは不自然な状態です。
不要な運転が行われている可能性もあることから、装置の不具合を疑うヒントになります。
排水量は適量か
エコキュートのドレン水排水量は天候や気温、その日の湿度などによって左右されますが、正常な状態では一夜でおよそ10ℓ程度に及ぶといわれています。
そのため、たとえば朝の段階で排水口周りが一切濡れていないといった状態は異常であるといえ、正常運転がされていない可能性があります。
またそれとは逆に10ℓをはるかに超えると考えられる量の排水があった場合には、ドレン水以外の漏水などの不具合が生じていることも考えられるでしょう。
適切な位置から排水されているか
エコキュートの排水はヒートポンプユニットからも貯湯タンクからも行われますが、いずれも専用のドレン口があり、取り付けたドレンホースを介して排出されることが一般的です。
したがって正常に稼働している限りはホースなど特定の適切な位置から排水されるはずで、それ以外の箇所から水が出ている場合は何らかの不具合である可能性が高いといえるでしょう。
「漏水」との違いを見分ける方法は?
エコキュートは高度な熱交換を行うという機能上、結露を生じてドレン水を排出することを述べてきました。
この排水は正常な事象ですが、そうではなく故障や不具合によって「漏水」という異常事態が発生するケースもあります。
では通常の排水と漏水とを見分けるにはどのような方法があるのでしょうか。
以下、両者の違いを見極めるための4つのポイントを見てみましょう。
昼過ぎまで排水されていないか?
エコキュートが夜間を中心に稼働してお湯をつくることを先に述べましたが、このような運転によって結露が生じドレン水が排出されます。
基本的にエコキュートは夜間に貯湯タンクにためたお湯をその都度各所に供給する仕組みで、お湯切れを起こさない限りはタンク内の容量分で日中の給湯をまかないます。
したがってもし昼過ぎまで排水が続いているようであれば、ドレン水ではなく何らかの理由で漏水している可能性も想定されるでしょう。
ヒートポンプユニットの水平が保たれているか?
エコキュートの要である熱交換装置、ヒートポンプユニットは水平に設置されていることが重要なポイントとなります。
それというのも内部を通っている水とお湯の配管は、水平であることによって適正に循環するためです。
これがもし水平ではなく傾いていたとしたら、流れが均一にならずいずれかに偏ってしまいます。
そのことによって本来あるべきではない箇所からの漏水が起こるなど、不具合の原因となる可能性が高まります。
ヒートポンプユニットが水平であるかどうかはよほどの程度でない限り目視確認は難しいかもしれませんが、その疑いがある場合には水平器を当てるなどしてチェックすることも可能です。
規定の位置以外から排水されていないか?
先にも述べたように、エコキュートはヒートポンプユニットと貯湯タンクともに特定のドレン口から排水されます。
しかしいずれの場合においても、規定の位置以外から水が出ている場合には漏水を疑いましょう。
エコキュートの機構では配管が複雑かつ繊細に通っているため、わずかな緩みや歪みでも各所から水が漏れだすおそれがあります。
また、漏れ出した水は配管や内部機構を伝って予測のつかない場所から外に出ることも考えられることから、放置するとその過程で部品を腐食させるなどしてより重大な不具合の原因となりかねません。
規定位置以外からの排水を認めた場合は、迅速に専門業者に確認してもらいましょう。
沸き上げ運転停止中の排水
エコキュートのドレン水は稼働中に生じた結露が排出されたものであることを述べてきましたが、裏を返せば作動していない状態で水が出ることは不自然だといえます。
したがってもしも沸き上げ運転の停止中に排水があったとしたら、それはどこからか漏水している可能性が考えられるでしょう。
その場合にはドレン口以外から水が出ることが想定されますが、万が一ドレンホースからの排水であっても運転停止中であれば故障や不具合を疑うのが順当です。
汚水管や雨水枡との接続には要注意
エコキュートの稼働によって生じるドレン水は、基本的にそのまま地面に浸潤させても害はありません。
注意すべきなのは、汚水管や雨水枡にドレンホースなどを直接つなげないようにすることです。
なぜなら汚水管からは腐食性のガスが立ち昇ることがあり、エコキュートの内部構造にダメージを与える可能性があるためです。
また雨水枡は豪雨などで溢れた水がエコキュート内部に逆流するおそれがあり、これも故障の原因になります。
したがって、これらの設備と直接的に接続しての排水は避けましょう。
「水抜き」などのメンテナンスも重要!
エコキュートの排水に関しては、ドレン水だけではなく内部を循環している分の「水抜き」を定期的に行うことも重要です。
使用しているうちに自然と水の成分が汚れとなってたまり、衛生上も好ましくありません。
また内部構造のパッキンなども経年劣化で剥落することがあるため、タンク内部も清掃が必要となります。
水抜きを実施することで、常に清潔で安全なお湯を使えるようメンテナンスすることが肝要です。
まとめ
最後まで記事をご覧いただきありがとうございました。
この記事ではエコキュートがドレン水を排出する仕組みと、漏水との違いの見分け方や注意点を中心に解説しました。
高度な熱交換技術と複雑・繊細な配管が施されたエコキュートは、排水の状態について常に注意を払っておくことが必要な装置であるともいえるでしょう。
万が一異常を検知した場合には、可能な限り速やかに設置業者や専門業者に調査を依頼するのが大切です。
1998年に創業した「エコパパのお店」は、エコキュート設置の専門店です。
関東・関西・中部・中四国・九州の各エリアに拠点を持ち、地域に寄り添った迅速・丁寧なサービスでこれまでに20,000件以上の施工実績を有しています。
エコキュートの設置や買い替えなど、関連する設備の施工についてご検討中のことがございましたら、ぜひお気軽にお問い合せくださいませ。