エコキュートに配管洗浄は必要?配管洗浄の頻度や手順などをわかりやすく解説
2023年11月10日
エコキュートは貯湯式給湯器で、機種によっては追い焚き機能が搭載されています。お風呂のお湯を循環させて再び沸かす機能で、さし湯やたし湯と違ってお湯の消費量を増やさない機能です。
しかし、追い焚き機能を使い続けていると、配管内部に汚れが蓄積され、浴槽内部に雑菌が流れ込む可能性があります。そのため、定期的に配管洗浄を行いましょう。
本記事では、エコキュートの配管洗浄についてわかりやすく解説します。頻度やメーカーごとの手順なども紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
エコキュートに配管洗浄は必要?
結論から申し上げますと、フルオートタイプのエコキュートを使用している方は定期的に配管洗浄を行う必要があります。
エコキュートはヒートポンプユニットでお湯を沸かし、貯湯タンクユニットにて貯めておき、必要に応じて各所に給湯する貯湯式給湯器です。
エコキュートの機種によっては追い焚き機能が付いています。追い焚き機能とは、お風呂のお湯を循環させ、再び温めてから浴槽に戻す機能です。
専用の配管を通って再び温めるため、貯湯タンクユニットで貯めているお湯と混ざることはありませんが、浴槽のお湯に沈殿している汚れや菌などは追い焚き配管内部に蓄積する可能性があります。
配管の掃除を怠っていると、内部でレジオネラ菌や大腸菌のような菌が繁殖してしまい、追い焚きを行った時に浴槽内部に流れ込む可能性を否定できません。
健康的な方なら問題ありませんが、子どもやお年寄りの身体に悪影響を及ぼす可能性もあります。そのため、エコキュートに定期的な配管洗浄は必要だと言えます。
エコキュートの配管洗浄の頻度は?
エコキュートの配管洗浄は機種や家族の人数によって異なりますが、1ヵ月~2ヵ月に1回のペースで行うと良いでしょう。なお、機種によっては自動洗浄機能が付いており、配水するたびに自動的に掃除が始まるので、手動操作する必要がありません。
ただし、使用し続けていると頑固な汚れが溜まってしまう可能性があるので、6ヵ月に1回は配管用の洗浄剤を購入して、本格的な配管洗浄を行うべきです。
エコキュートの配管洗浄におすすめの洗剤は?
エコキュートの配管洗浄におすすめの洗剤はジョンソン株式会社の「ジャバ(1つ穴用)」です。
ダイキンや日立、東芝など大手エコキュートメーカーが名指しで推奨している配管用洗剤です。パナソニックと三菱電機、コロナはメーカー純正品を推奨していますが、「ジャバ(1つ穴用)」も同時に推奨しています。
そのため、「ジャバ(1つ穴用)」は大抵のエコキュートに使用できる配管用洗剤になります。
お湯に入れると泡が発生するため、配管内部の汚れを密着して取り除き、同時に除菌効果も期待できます。半年に1回は「ジャバ(1つ穴用)」を用意して、本格的な配管洗浄を行いましょう。
1つ穴ってなに?
「ジャバ(1つ穴用)」の1つ穴とは、浴槽に穴が1つだけ付いている給湯器が対象という意味です。
追い焚き機能が付いている給湯器は、浴槽内部に穴が1つだけ付いている商品と、2つ付いている商品の2種類があります。
穴が1つだけの給湯器は強制循環タイプ、穴が2つある給湯器は自然循環タイプと呼び、次のように異なります。
概要 | |
---|---|
強制循環タイプ | 配管内部が二股で分かれており、お湯を吸い込む役割と吐き出す役割が別々になっている 湯温のバラツキが少なく、ポンプの力でお湯を吐き出すため汚れが溜まりにくい |
自然循環タイプ | 浴槽に穴が2つあり、下の穴からお湯を吸い込み、上の穴から温めたお湯を吐き出す ポンプを使わないため、水流が弱く配管内部に汚れが溜まりやすい |
基本的にエコキュートは1つ穴の強制循環タイプです。配管内部を掃除する際もポンプの力を利用できるので、掃除にかかる手間や道具などが少なく済みます。
ただし、使用する洗剤は「ジャバ(1つ穴用)」のように「1つ穴用」となっている商品を選びましょう。
エコキュートの配管洗浄の手順
エコキュートの配管洗浄の手順はメーカーや機種ごとによって多少異なりますが、次のポイントは共通しています。
- 浴槽内にある程度のお湯・水が必要
- 洗浄とすすぎのために、2回操作する
- 40℃~50℃のお湯に洗剤を浸けおきしてから始めると汚れが落ちやすい
エコキュートメーカーごとの配管洗浄の手順を順番に解説します。なお、最新の手順と異なる場合があるので、実際に行う際は取扱説明書を確認しましょう。
パナソニック
パナソニックエコキュートの配管洗浄の手順は以下のとおりです。
- お湯・水を浴槽の循環口から10cm以上の地点まで貯める
- 浴槽のお湯・水に洗浄剤を入れて溶かす
- 浴室リモコンメニューの「諸設定」から「洗浄運転」を選び決定ボタンを押す
- 配管掃除が終了するまで待つ(汚れが酷い場合は繰り返し洗浄運転を行う)
- 配管掃除が終わったら栓を抜いて、浴槽のお湯・水を全て排水する
- 浴槽の循環口から10cm以上になるようにお湯・水を貯める
- 浴室リモコンメニューの「諸設定」から「洗浄運転」を選び決定ボタンを押す
- 配管のすすぎが終わるまで待つ
- すすぎが終わったらお湯を排水して浴槽と浴槽フィルターの掃除を行う
パナソニックエコキュートは機種にもよりますが、自動配管洗浄機能があります。浴槽のお湯を排水するたびに、残り湯を利用して自動的に配管を洗浄する機能です。
そのため、パナソニックエコキュートの配管洗浄は半年に1回のペースで良く、行う際は洗浄剤による風呂配管洗浄を使いましょう。
なお、パナソニックの場合、別売品の「ふろ循環回路洗浄剤」の使用を推奨していますが、市販の配管用洗剤も使用できます。
三菱
三菱エコキュートの配管洗浄の手順は以下のとおりです。
- ふろ自動運転を「切」にする
- お湯・水を浴槽アダプターの中心から10cm以上残す
- 配管洗浄剤をお湯・水に入れて溶かす
- リモコンメニューの「洗浄」を3秒以上押す
- 風呂配管洗浄が終わるまで待つ
- 洗浄が終わったら浴槽のお湯・水を全て抜く
- 浴槽の排水栓を閉じる
- リモコンメニューの「温度」と「ふろ自動」を同時に押してお湯張りを開始する
- 浴槽アダプターが隠れる程度のお湯がたまったら「ふろ自動」を押してお湯張りを停止する
- 「洗浄」を3秒以上押して配管のすすぎを行う
- すすぎが終わったら排水し、浴槽の掃除を行う
機種によっては、バブルおそうじ機能を搭載しています。お風呂の排水時に洗浄効果に優れたマイクロバブルが自動的に充満し、配管内部に付着した皮脂汚れを吸着して落とします。
そのため、バブルおそうじ機能が搭載されている三菱エコキュートを使用しているなら、上記の配管洗浄は6ヵ月に1回のペースで問題ありません。
バブルおそうじ機能を搭載していない機種の場合は、1ヵ月~2ヵ月のペースで上記の配管洗浄を行いましょう。
なお、三菱も別売りの配管洗浄材の使用を推奨していますが、「ジャバ(1つ穴用)」も使用可能です。
ダイキン
ダイキンエコキュートの配管洗浄の手順は以下のとおりです。
- ふろ自動運転を「切」にする。
- お湯・水を ふろアダプターの10cm上まで入れる
- 洗浄剤をいれる
- 浴室リモコンを操作して「配管洗浄」を始める
- 配管洗浄が終わるまで待つ
- 配管洗浄が終わったら風呂の栓を抜いて排水する
- 排水が終わったら、洗浄剤をシャワーで洗い流してから栓を閉じる
- 水をふろアダプターの10cm上まで入れる
- 再び浴室リモコンを操作して「配管洗浄」を始める
- すすぎが終わったら風呂の栓を抜いて排水する
ダイキンでは専用の配管用洗浄剤を販売しておらず、「ジャバ(1つ穴用)」を推奨しています。6ヵ月に1回のペースで良いので、「ジャバ(1つ穴用)」を用意して、上記の手順で配管を洗浄しましょう。
コロナ
コロナエコキュートの配管洗浄の手順は以下のとおりです。
- お湯・水が浴槽循環口中心より10cm以上あることを確認する
- お湯・水に洗浄剤を溶かす
- リモコンの「さし水」もしくは「ぬるめ」スイッチを3秒以上押す
- 配管洗浄が開始されるので、終了するまで待つ
- 配管洗浄が終了したら、お湯・水を排水する
- 浴槽循環口のカバーを取り外して掃除する
- 栓をして、「さし水」もしくは「ぬるめ」スイッチを3秒以上おしてすすぎをはじめる
- すすぎが終了したら排水する
コロナエコキュートは機種にもよりますが、自動配管洗浄機能が備わっており、お湯を抜くたびに自動的に配管洗浄が開始されています。そのため、上記の洗浄は6ヵ月に1回のペースで行うと良いです。
なお、コロナでは、専用の配管洗浄材として「クリーンエース」を販売していますが、「ジャバ(1つ穴用)」も使用可能となっています。
日立
日立エコキュートの配管洗浄の手順は以下のとおりです。
- 残り湯を風呂循環アダプターの上から5cm以上の地点まで残す
- 残り湯に配管洗浄剤を入れて溶かす
- リモコンユニットを操作して「循環洗浄実行」を選択する
- 配管洗浄が終わったら、排水する
- 浴槽内部の掃除を行う
日立エコキュートの場合、機種にもよりますが、配管洗浄時に洗浄とすすぎを同時に行います。そのため、すすぎの操作を行う必要はありませんが、浴槽内部に流れてきたゴミをご自身で掃除する手間がかかります。
また、推奨洗剤は「ジャバ(1つ穴用)」のみとなっているので、ほかの配管用洗剤を購入せず、6ヵ月に1回のペースで掃除を行いましょう。
東芝
東芝エコキュートの配管洗浄の手順は以下のとおりです。
- 浴槽の残り湯が浴槽循環金具より5cm以上上にあることを確認する
- 残り湯に洗浄剤を入れる
- リモコンユニットを操作して「循環洗浄」を選択する
- 配管洗浄が終了したら排水する
- 栓を閉めて、リモコンユニットを操作して「循環洗浄」を選択する
- すすぎが終わったら排水する
東芝エコキュートは自動配管洗浄機能が付いていない機種が多く、上記の配管洗浄とは別に、週に1回のペースで次の手順で流水洗浄を行う必要があります。
- 浴槽の残り湯を排水して栓を開けておく
- リモコンユニットを操作して「流水洗浄」を選択する
流水洗浄はボタン操作だけで自動的に始まり、洗剤は必要ありません。また、「銀イオンの湯」という機能を搭載している機種なら、洗い流し中に銀イオンを発生させるので、除菌効果も期待できます。
なお、東芝では配管用洗浄剤として、「クリーンリル」か「ジャバ(1つ穴用)」を推奨しているので、6ヵ月に1回のペースで配管洗浄を行う際は購入しておきましょう。
配管洗浄と一緒にやっておきたいメンテナンスは?
エコキュートの寿命は10年以上と言われていますが、配管洗浄のようなメンテナンスを定期的に行わないと寿命が短くなる可能性があります。
そのため、配管洗浄を行う際は次のメンテナンスも一緒に行うと良いです。
- 貯湯タンクユニットの水抜き
- 浴槽フィルターの清掃
- 給水口ストレーナーの清掃
- 漏電遮断器の点検
- 逃し弁の点検
- 凍結防止ヒーターの動作確認
- 水漏れの点検
上記のメンテナンスは購入者でも行える内容です。ただし、実際に行う際はメーカーの取扱説明書を確認してから実行しましょう。
エコキュートを長持ちさせるメリットは?
エコキュートを長持ちさせるメリットは、お湯を沸かすためのランニングコストを大幅に節約できることです。
次の表は、同じ湯量を沸かした場合の給湯器の年間ランニングコストを比較したものです。
エコキュート | 電気温水器 | ガス給湯器 | 石油給湯機 | |
---|---|---|---|---|
北海道電力エリア | 約54,000円 | 約184,800円 | 約104,400円 | 約78,000円 |
東北電力エリア | 約48,000円 | 約189,600円 | 約98,400円 | 約70,800円 |
北陸電力エリア | 約42,000円 | 約166,800円 | 約112,800円 | 約70,800円 |
東京電力エナジーパートナーエリア | 約37,200円 | 約158,400円 | 約73,200円 | 約81,600円 |
中部電力エリア | 約25,200円 | 約100,800円 | 約81,600円 | 約67,200円 |
関西電力エリア | 約20,400円 | 約87,600円 | 約75,600円 | 約63,600円 |
中国電力エリア | 約43,200円 | 約176,400円 | 約108,000円 | 約67,200円 |
四国電力エリア | 約44,400円 | 約193,200円 | 約93,600円 | 約66,000円 |
九州電力エリア | 約20,400円 | 約84,000円 | 約102,000円 | 約64,800円 |
沖縄電力エリア | 約27,600円 | 不明 | 約62,400円 | 約55,200円 |
実際のランニングコストは給湯器の性能や家族の人数、お湯の使い方によって異なります。
しかし、エコキュートは電気と空気の熱を利用してお湯を沸かすため、他の給湯器に比べてお湯を沸かすためのランニングコストが抑えられます。
場所や契約している料金プランによっては年間5万円~10万円以上の節約効果を期待できることは大きな魅力です。そのため、エコキュートは長持ちするように、定期的にメンテナンスを行いましょう。
まとめ
以上が、エコキュートの配管洗浄の解説です。追い焚き機能が搭載されているエコキュートを使用している場合、配管洗浄を行わないと配管内部で汚れが蓄積され、お湯が汚れてしまう可能性があります。
使用している機種によっては自動配管洗浄機能が付いているので、頻繁に洗浄する必要はありません。
しかし、どのメーカーでも6ヵ月に1回のペースで、配管用洗剤を使用して配管洗浄を行うべきと推奨しています。メーカーによっては専用の配管用洗剤を販売していますが、基本的に「ジャバ(1つ穴用)」があれば十分です。
「エコパパのお店」では、エコキュートに関する知識が豊富なスタッフが対応しています。エコキュートのメンテナンス方法や点検、買い替えなどで質問がありましたら、ぜひご相談ください。