エコキュートの室外機ってどんな役割?ヒートポンプユニットの仕組みやメンテナンスなども解説
2024年8月22日
エコキュートを購入すると、エアコンの室外機に似た機器を取り付けることになります。実は、エアコンの室外機に似た機器こそエコキュートの心臓部と呼べる重要な機器です。
エコキュートを購入するなら、室外機の役割を知っておくと良いでしょう。
そこで今回は、エコキュートの室外機について解説します。仕組みやメンテナンスの方法も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
エコキュートってどんな給湯器?
エコキュートとは、電気と空気の熱を利用してお湯を沸かす貯湯式給湯器です。
ヒートポンプユニットがお湯を沸かすと、貯湯タンクユニットで溜めておき、リモコンユニットが湯温や湯量をコントロールし、必要に応じて各所に給湯します。
ガス給湯器と違い電気だけで稼働し、電気温水器と違って空気の熱を利用するのでランニングコストが安いことが特徴です。
次の表は、エコキュートとほかの給湯器の年間ランニングコストを比較したものになります。
エコキュート | ガス給湯器 | 電気温水器 | 石油給湯機 | |
---|---|---|---|---|
北海道電力エリア | 約54,000円 | 約104,400円 | 約184,800円 | 約78,000円 |
東北電力エリア | 約48,000円 | 約98,400円 | 約189,600円 | 約70,800円 |
北陸電力エリア | 約42,000円 | 約112,800円 | 約166,800円 | 約70,800円 |
東京電力エナジーパートナーエリア | 約37,200円 | 約73,200円 | 約158,400円 | 約81,600円 |
中部電力エリア | 約25,200円 | 約81,600円 | 約100,800円 | 約67,200円 |
関西電力エリア | 約20,400円 | 約75,600円 | 約87,600円 | 約63,600円 |
中国電力エリア | 約43,200円 | 約108,000円 | 約176,400円 | 約67,200円 |
四国電力エリア | 約44,400円 | 約93,600円 | 約193,200円 | 約66,000円 |
九州電力エリア | 約20,400円 | 約102,000円 | 約84,000円 | 約64,800円 |
沖縄電力エリア | 約27,600円 | 約62,400円 | 不明 | 約55,200円 |
実際のランニングコストは家族の人数や給湯器の性能によって異なりますが、他の給湯器に比べてエコキュートはランニングコストを抑えられる給湯器です。
エコキュートの室外機とは?
エアコンの室外機に似ている形状の機器こそ、お湯を沸かすヒートポンプユニットです。
ヒートポンプとは、空気の中にある熱エネルギーを集めて圧縮、あるいは膨張させることで高温や低温を生み出す技術を指します。
日本が世界をリードする最先端の技術で、1の電気エネルギーで3~7の熱エネルギーを生み出せることから、省エネ性能に優れており、カーボンニュートラル社会実現の切り札と呼ばれている技術です。
つまり、室外機に似たヒートポンプユニットは、エコキュートの心臓部にあたる重要な機器になります。
室外機(ヒートポンプユニット)の仕組み
エコキュートの場合、次のような仕組みで室外機(ヒートポンプユニット)は高温を生み出し、お湯を沸かします。
- 1. 室外機(ヒートポンプユニット)のファンによって空気を吸い込む
- 2. 空気の中にある熱を低温の冷媒(CO₂)が吸収する
- 3. コンプレッサーが熱を吸収した冷媒(CO₂)を圧縮
- 4. 圧縮して高温化した冷媒(CO₂)が熱交換器で水道水に熱を伝える
- 5. 水道水がお湯になって貯湯タンクユニットに運ばれる
- 6. 熱を伝えた冷媒(CO₂)は膨張弁に運ばれる
- 7. 膨張弁で冷媒(CO₂)が膨張されて低温になる
エコキュートの室外機(ヒートポンプユニット)は上記手順を繰り返すことで、空気の熱を利用しながら効率良くお湯を沸かすことが可能です。
メーカーや機種によって、沸かしたお湯の保温方法や給湯方法は多少異なりますが、室外機(ヒートポンプユニット)の仕組みは基本的に変わりません。
そのため、エコキュートはどのメーカーの商品でも、一般的なガス給湯器や電気温水器よりもランニングコストは抑えられています。
エコキュートの室外機(ヒートポンプユニット)のメンテナンス
エコキュートは10年以上使用できる住宅設備ですが、定期的なメンテナンスや点検を行わないと寿命が短くなる可能性があります。
特に、室外機(ヒートポンプユニット)は基盤やセンサー、コンプレッサーなどの精密部品が集まっている機器なので、貯湯タンクユニットに比べて故障する確率は高く、故障した場合の被害は大きいです。
故障の程度や保証の有無などによって異なりますが、室外機(ヒートポンプユニット)が故障した場合の修理費用の目安は55,000円~176,000円と高額になりやすく、場合によっては買い替えになります。
エコキュートの寿命を伸ばすためにも、半年に1度のペースで、次のメンテナンスを行いましょう。
- 1. 室外機(ヒートポンプユニット)の水抜き栓を開く
- 2. 1回転以上回して1分以上水が出ることを確認する
- 3. 水抜き栓をすべて閉じる
上記は室外機(ヒートポンプユニット)のエア抜きで、機器内部に溜まった空気を抜くことで、長持ちさせるメンテナンスです。なお、水抜き栓を回し過ぎて抜いてしまうと、故障する原因になるため注意しましょう。
エコキュートに必要なメンテナンス
エコキュートでは上記以外にも、次のようなご自身で行えるメンテナンスがあります。
- 1. 貯湯タンクユニットの水抜き
- 2. 給水口ストレーナーの清掃
- 3. 風呂配管の清掃
- 4. 浴槽フィルターの清掃
- 5. 漏電遮断器の点検
- 6. 逃し弁の点検
- 7. 水漏れの確認
- 8. 凍結防止ヒーターの動作確認
エコキュートを長持ちさせるためには、上記を半年に1度のペースで行いましょう。
上記の中で、特に重要なメンテナンスを紹介します。
貯湯タンクユニットの水抜き
貯湯タンクユニットは沸かしたお湯を溜めておく機器です。熱を逃がさないように空気と触れずに密閉されていますが、使用していると不純物やゴミが貯まっていくため、定期的に次の手順で水抜きが必要です。
- 1. 給水止水栓を閉める
- 2. 電源扉を開け、漏電遮断器を「切」にする
- 3. 逃し弁レバーを上げ、約1分間待つ
- 4. 排水栓を左に回して開ける
- 5. 2分ほど経過して排水が綺麗になったら排水栓を閉める
- 6. 排水が止まったら給水止水栓を開き、お湯が出ることを確認する
- 7. お湯が出たらすぐに逃し弁レバーを戻す
- 8. 漏電遮断器を「入」にする
- 9. 混合水栓のお湯側を開き、お湯が出ることを確認する
水の排出時にはお湯が出てくる可能性があるので注意しましょう。
給水口ストレーナーの清掃
給水口ストレーナーとは、お湯を配管に流し込む際の入り口で、不純物やゴミが溜まると目詰まりを起こし、水漏れにつながる可能性があります。
そのため、次の手順で定期的に掃除しましょう。
- 1. 給水止水栓を閉める
- 2. 電源扉を開け、漏電遮断器を「切」にする
- 3. 逃し弁レバーを上げ、約1分間待つ
- 4. 給水口ストレーナーを外して歯ブラシやスポンジなどで掃除する
- 5. 給水口ストレーナーを装着する
- 6. 給水止水栓を開き水漏れが無いか確認する
- 7. 逃し弁レバーを戻す
- 8. 漏電遮断器を「入」にする
- 9. 混合水栓のお湯側を開き、お湯が出ることを確認する
掃除の手順で貯湯タンクユニットの水抜きと似ている部分があるため、一緒に行うと効率が良いでしょう。
漏電遮断器の点検
故障によってエコキュートの内部で漏電が発生すると、火災や感電などのトラブルに繋がる恐れがあります。
漏電遮断器は漏電が発生したときにエコキュートを止めるので、作動する安全装置です。
しかし、故障していると正常に作動しないため、次の手順で問題がないか確かめましょう。
- 1. カバーを外し、漏電遮断器の「テスト」ボタンを押す
- 2. 電源レバーが「入」から「切」になるか確認をする
- 3. 電源レバーを「入」に戻し、元通りにカバーを付け直す
上記手順で漏電遮断器が作動しない場合は、メーカーや販売業者に相談しましょう。
水漏れの確認
エコキュートの配管はシリコンやゴム製のパッキンが使われていますが、経年劣化や目詰まりなどで水漏れが起きる可能性があります。
水漏れを放置していると、お湯が溜まらない、水道代が余分にかかる、隣家に迷惑をかけるなどを招く恐れがあるため、上記のメンテナンス時に不自然に濡れている箇所がないか、水漏れが起きていないか確認しましょう。
なお、水漏れが起きていたら、メーカーか販売業者に相談すると良いです。
エコキュートの室外機(ヒートポンプユニット)の注意事項
エコキュートの室外機(ヒートポンプユニット)に関する注意事項は以下のとおりです。
- 室外機(ヒートポンプユニット)の周りに物を置かない
- 騒音が発生する可能性がある
- 地域によっては対策が必要
上記を順番に解説します。
室外機(ヒートポンプユニット)の周りに物を置かない
エコキュートの室外機(ヒートポンプユニット)は、空気の中に含まれる熱を利用してお湯を沸かします。
しかし、ヒートポンプユニットの周りに植木鉢や掃除道具などの物を置いていると、空気の流れが邪魔をされて、給湯効率が下がってしまう恐れがあります。
そのため、室外機の周りは片付けておくと良いです。
物がなくても、落ち葉や積もった雪などで塞がってしまい、給湯効率が下がる、あるいは給湯できなくなるなどのケースが報告されているので、定期的に確認しましょう。
騒音が発生する可能性がある
エコキュートヒートポンプユニットが稼働すると、内部のモーターが作動する低周波音や加熱音、水が流れる音など、さまざまな音が発生します。
現在のエコキュートの稼働音は40~50dB程度で、図書館の中と同程度の騒音とされていますが、設置場所や隣家との距離によっては騒音と感じられる可能性は否定できません。
特に、お湯を沸かす時間帯は真夜中頃なので、周辺は静かな時間帯です。ちょっとした音でも大きく聞こえるケースがあるので、設置する場所によっては防音グッズを使用することを検討してみましょう。
地域によっては対策が必要
エコキュートの室外機(ヒートポンプユニット)はマイナス10℃の風を送り出し、故障した場合は二酸化炭素が放出される可能性があるため、室内に設置することはできません。
しかし、室外に設置した場合は上記の騒音対策以外に、次のような対策が必要になる場合があります。
- 積雪や落雪対策
- 潮風対策
室外機(ヒートポンプユニット)はファンの周りが塞がると給湯効率の低下や稼働停止が起きる可能性が高いです。そのため、毎年のように雪が積もる地域では、架台を設置して、室外機(ヒートポンプユニット)を高い位置に設置すると良いでしょう。
また、屋根の形状や向きによっては、積もった雪が室外機(ヒートポンプユニット)に直撃する恐れもあります。
室外機(ヒートポンプユニット)が故障すると、最悪の場合は買い替えする必要があるので、落雪対策で防雪屋根の設置も検討しましょう。
ほかにも、沿岸部に近い場所でエコキュートを使う場合、潮風対策が必要です。
潮風に含まれる塩分により錆びやすくなるため、塩害仕様のエコキュートを購入したうえで、建物の影や塀の近くなどに設置して潮風が直接当たらないようにしておきましょう。
上記のような対策は専門的な知識が必要になるので、エコキュートを注文する業者に相談すると良いです。
まとめ
以上が、エコキュートの室外機(ヒートポンプユニット)に関する解説です。エアコンの室外機に似た機器はヒートポンプユニットで、エコキュートの心臓部と呼べる部分のため、定期的にメンテナンスを行いましょう。
ただし、メンテナンスを続けていても、10年以上使用していると経年劣化により故障や給湯効率の低下などが起きます。そのため、10年以上使用しているなら、エコキュートの買い替えを検討すると良いです。
「エコパパのお店」はエコキュートに関する専門知識が豊富なプロのスタッフが対応しております。エコキュートの点検や買い替えに関する疑問やご相談がありましたら、ぜひ「エコパパのお店」までお気軽にご連絡ください。