エコワンって何?エコキュートと比較してみよう
2025年5月24日

「エコワン」と「エコキュート」は名前が似ているため、とかく混同されがちです。
どちらもヒートポンプを活用した高効率給湯機ですが、エコワンはヒートポンプにガス給湯を組み合わせたハイブリッド給湯器システムで、エコキュートは電気のみでお湯を沸かす給湯器になります。
お湯を沸かすための仕組みが異なるので、ライフスタイルや家族の人数などによって給湯器を選びましょう。
本記事では、エコワンとエコキュートの違いや、それぞれが適している家庭やシーンなどをわかりやすく解説します。ぜひ最後までご覧ください。
エコワン(ハイブリッド給湯システム)とは?
エコワンとは、リンナイが販売しているハイブリッド給湯器システムの名称です。
エアコンでも用いられるヒートポンプ技術でお湯を沸かして貯湯タンクユニットに溜めておき、足りなくなったらガス給湯器で沸かします。
ヒートポンプ技術とガス給湯器という2種類の給湯方法が1つになっていることから、ハイブリッド給湯器システムと呼びます。
なお、「エコワン」はリンナイの商標です。ノーリツでは単純にハイブリッド給湯システムと呼んでいますが、本記事ではハイブリッド給湯器システムのことをエコワンで統一いたします。
ヒートポンプ技術とは?
ヒートポンプ技術とは、空気熱や地中熱などの自然界の熱エネルギーを効率よく利用して、熱暖房や給湯などの熱源に利用する技術です。
エコワンの場合、空気中の熱を冷媒が吸収して圧縮し、高温の熱を生み出すと、水道水と熱交換してお湯を沸かします。
ガスを燃焼させて水道水を温めるガス給湯器や、ヒーターに電気を通してお湯を沸かす電気給湯器に比べると省エネ性能に優れており、エコワン以外にエコキュートで採用されている技術です。
ガスによる湯沸かしも可能
エコワンはヒートポンプ技術だけでなく、ガス給湯器としての特徴も併せ持っています。
エコキュートは電気料金単価の安い夜間にお湯を沸かしておき、翌日以降に消費する仕組みです。そのため、貯湯タンクユニットの貯湯容量は370Lや460Lなど大型の機器が多い傾向があります
一方、エコワンはガスによる湯沸かしも可能なため、お湯が足りなくなってもすぐに対応できる給湯器です。貯湯容量も70Lや160Lなど、エコキュートに比べてコンパクトなサイズとなっており、エコキュートよりも設置スペースを取りません。
耐用年数の目安はエコキュート同様10年
正確な統計があるわけではありませんが、エコワンの耐用年数の目安は10年です。
発売から10年を経過すると、メーカー側が修理用部品の製造や保管を終了する傾向があり、故障しても修理できません。また、経年劣化により故障する可能性も高まるため、エコキュートと同様に10年が目安と考えられています。
なお、エコワンを手掛けるリンナイやノーリツのメーカー保証は2年間です。期間内に起こった自然故障なら無償で修理できますが、不適切な使い方をした場合や、地震や落雷など天災が原因で故障した場合は、メーカー保証の対象外となります。
導入費用はエコキュートよりやや高め
エコワンの導入費用は本体価格と工事費の合計で60〜80万円、エコキュートは40〜70万円なので、エコワンのほうがやや高めといえます。
エコキュートはヒートポンプ技術のみでお湯を沸かすのに対して、エコワンはヒートポンプ技術とガス給湯器の2種類を搭載しているため、導入費用が高くなりやすいです。
エコワンの本体価格に幅があるのは、お湯を貯めておくタンクの容量が大きくなればなるほど価格が高くなるからです。お湯の使用量が多いお家ほど大容量のタンクがおすすめなのは、エコキュートと同様になります。
エコワンとエコキュートの違い
次の表は、エコワンとエコキュートの違いをまとめたものになります。
エコワン | エコキュート | |
---|---|---|
お湯の沸かし方 | ヒートポンプ技術 ガスバーナー |
ヒートポンプ技術 |
タンク内部の温度 | 40℃~60℃ | 65℃~90℃ |
必要なエネルギー | 電気 ガス |
電気 |
導入費用 | 60万円~80万円 | 40万円~70万円 |
水圧 | 400kPa | 300kPa前後 |
メーカー | リンナイ ノーリツ |
三菱 パナソニック ダイキン コロナ 日立 |
エコワンとエコキュートはお湯を溜めておく貯湯式給湯器で、ヒートポンプ技術を搭載している点では同じですが、ガスバーナーの有無が大きな違いです。
そのため、ガスを利用する機会がある方やお湯を大量に使う方に適しています。
エコキュートよりエコワンが向いているケース
エコキュートよりエコワンが向いている主なケースは以下のとおりです。
- お湯切れが心配という方
- 温水暖房に魅力を感じている
- 都市ガスが引かれているエリア
- 大家族でお湯をたくさん使う
- オール電化は災害時に不安という方
- エコキュートの水圧の低さが気になる?
それぞれ、順番に解説します。
お湯切れが心配という方々
タンクに貯められたお湯を使い切っても、ガス湯沸かしに切り替えられるのがエコワンの特徴です。
エコワンやエコキュートのような貯湯式給湯器は、溜めてあるお湯が無くなると「湯切れ」となり、お湯を沸かすまでは利用できません。
沸かし直しすれば問題は解決しますが、エコキュートの場合、電気料金単価が高い日中にお湯を沸かしてしまうと電気料金が高くなる可能性があります。
エコワンは通常の従量電灯契約を結ぶことができ、お湯が足りなくなってもガスで沸かすことが可能です。
つまり、同じ貯湯式給湯器ですが、「湯切れ」の心配をする必要がありません。お湯を大量に使い、「湯切れ」が心配な方はエコキュートよりもエコワンを検討しましょう。
温水暖房に魅力を感じている方々
エコワンは種類にもよりますが、温水暖房が利用できる場合があります。温水暖房とは、給湯器で沸かした温水を循環させて部屋を暖める暖房方式です。
部屋全体を均一に温めることができ、給湯器を屋外に設置するので、ガスストーブや石油ストーブのように室内の空気を汚すことがありません。
エコキュートも一部の機種に床暖房機能を搭載していますが、ランニングコストの面で考えると、暖房機能を目当てに購入するならエコワンのほうがおすすめです。
ただし、リフォームで温水暖房を導入するには大規模な工事が必要になります。より温水暖房に強いダブルハイブリッドタイプのエコワンは、新築でしか導入できないのがデメリットです。
都市ガスが引かれているエリアにお住まいの方々
都市ガスを利用できるご家庭では、エコワンのメリットが最も際立ちます。
都市ガスは単価が比較的低いため、電気とガスを組み合わせるハイブリッド方式でも光熱費がかさみにくく、温水床暖房などで大量にお湯を使う場面でも、エコキュートより経済的になることが多いからです。
ただし、エコワンとエコキュートのどちらが光熱費を節約できるかは、世帯人数や入浴回数、お湯の使用温度など各家庭のライフスタイルによって変わります。
導入前には年間光熱費のシミュレーションを行い、ご自宅の場合でどちらがよりお得になるのかを具体的に確かめてから機種を選ぶことが重要です。
大家族でお湯をたくさん使うご家庭の方々
エコワンは、タンク内の湯を使い切ってもガス給湯へ自動で切り替わるため、大家族でも湯切れを気にせずに浴槽やシャワーを思う存分利用できます。
リンナイの試算によれば、家族が4人以上で入浴やシャワーの回数が多い世帯ほど、光熱費削減のメリットが大きくなる傾向にあります。
ただし、この優位性が十分に発揮されるのは都市ガスなどガス単価が低い環境下に限られます。
人数が多いからといって必ずしもエコワンがお得になるわけではないため、導入前には自宅のガス料金やお湯の使用パターンを踏まえてシミュレーションを行うことが欠かせません。
オール電化は災害時に不安という方々
エコキュートやIHクッキングヒーターを導入したオール電化住宅は、光熱費が抑えられることから高い人気を誇ります。
しかし、生活インフラを電気だけに頼るのは心細いという声も少なくありません。停電が長引けば、お湯を沸かすことも調理をすることもできなくなるからです。
災害時のリスクへの備えとして検討したいのが、電気とガスの両方を活用できるエコワンです。
エコワンなら、電気が止まってもガスで、ガスが止まっても電気で給湯できるため、どちらか一方のライフラインが確保されていれば日常生活に必要なお湯を確保できます。
エコキュートの水圧の低さが気になる方々
エコキュートは貯湯タンクユニット内部でお湯を減圧するため、シャワーや給湯時の水圧が弱い傾向があり、勢いに物足りなさを感じる人もいます。
エコワンも貯湯式給湯器のため水圧は約400kPaと弱いですが、エコキュートの300kPa前後に比べると強いです。
そのため、シャワーの爽快感を重視する家庭はエコキュートよりもエコワンのほうが適しています。
ただし、水圧の感じ方には個人差があり、低水圧用シャワーヘッドの装着など簡単な対策で改善できる場合も少なくありません。
さらに、近年は水圧が325kPaのエコキュートも登場しており、水圧の弱さを改善しつつあります。
エコワンよりエコキュートが向いているケース
エコワンよりエコキュートが向いているケースは主に以下のとおりです。
- 導入費用をエコワンより抑えたい方
- お湯の消費量が標準的な家庭
- 都市ガスが引かれていないエリア
- オール電化に魅力を感じている方
- 太陽光発電システムと好相性
それぞれ、順番に解説します。
導入費用をエコワンより抑えたい方々
導入費用を少しでも抑えたいなら、エコキュートが最有力候補です。
エコキュート・エコワン・エネファームの3方式はいずれも高効率給湯機ですが、この中で最も導入費用が低いのがエコキュートになります。
- エコキュート…40万円~70万円
- エコワン…60万円~80万円
- エネファーム…100万円~200万円
価格を抑えながら省エネ効果も得られるバランスの良さが評価され、累計販売台数は900万台を超えています。
光熱費を節約したいものの、本体や工事の費用負担が大きいのは困る家庭にとって、エコキュートはコスト面で最も導入ハードルが低い選択肢と言えるでしょう。
お湯の消費量が標準的なご家庭
家族構成が比較的少人数で、温水床暖房やパネルヒーターを使わないご家庭の場合は、ランニングコストと使い勝手のバランスが優れたエコキュートがおすすめです。
エコワンが真価を発揮するのは「大量のお湯を絶え間なく使う」「湯切れを絶対に避けたい」といったケースですが、そうした心配がなければ、導入費用の低さと住宅のエネルギーを電気一本にできるなどエコキュートのほうが多くのメリットを得られます。
ただし、最適な給湯機は各家庭のライフスタイルで変わります。導入前には販売店にご相談なさって、年間光熱費や使用シーンをシミュレーションしてから決定すると安心です。
都市ガスが引かれていないエリアにお住まいの方々
都市ガス網が届かず、プロパンガス(LPガス)しか使えないご家庭では、残念ながらエコワンの利点はほとんど発揮されません。
LPガスは都市ガスに比べて単価が高いため、いくらエコワンが高効率でもガス料金そのものが光熱費を押し上げてしまうからです。結果として節約効果に限界があり、導入メリットは小さくなります。
プロパン地区でランニングコストを抑えたい場合は、ガスを一切使わないエコキュートへの切り替えが現実的な選択肢です。
熱源を電気だけに絞ることで、高騰しやすいLPガス料金から解放され、光熱費を安定させやすくなります。導入前に年間シミュレーションを行い、プロパン料金と電気料金を比較しておくと良いです。
オール電化に魅力を感じている方々
電気量料金単価が抑えられている料金プランを活用でき、火を使わないため安全性も高いなどのオール電化住宅のメリットに魅力を感じる方々は、ガスを併用するエコワンを選ぶ必要はありません。
また、IHクッキングヒーターと組み合わせてエコキュートを導入すれば、調理も給湯もすべて電気でまかなえるため、シンプルかつ安全な住まいへリフォームできます。
エコキュートの導入と同時にオール電化への切り替えも検討してみましょう。
太陽光発電システムと好相性
オール電化住宅を目指す際に、太陽光発電システムを導入する予定があるなら、「おひさまエコキュート」を組み合わせると相乗効果が期待できます。
「おひさまエコキュート」は太陽光発電システムとの連携が必須のエコキュートで、夜間ではなく日中に自家発電した電力だけでお湯を沸かす給湯器です。
太陽光発電システムで発電した余剰電力で稼働するため、電力会社からの買電量を減らすことができ、従来のエコキュートよりもさらに光熱費を圧縮できます。
太陽光で生まれた余剰電力を効率よく給湯に回すことで買電量が減り、家計と環境の双方に良い影響を与えることは大きなメリットです。
太陽光発電の設置を検討しているなら、おひさまエコキュートを同時に導入して、より無駄のないエネルギー循環を目指しましょう。
最新型のエコキュートはこんなにすごい!
おひさまエコキュートで太陽光発電との連携力が向上しただけでなく、最新モデルにはさらに注目すべき機能が備わっています。
なかでも特筆すべきは、スマホアプリによる遠隔操作と一段と高まった省エネ性能の2つです。
スマホアプリで遠隔操作が可能
アプリで遠隔操作可能といえば、以前はエコワンだけの特徴でした。
しかし、新型の登場とともに、エコワンに負けない機能を追加していったのがエコキュートです。今ではアプリを操作してのお湯張りや設定などもできてしまいます。
初期型のエコキュートを使っている方は、最新型に使われている技術の進歩ぶりに驚くに違いありません。
従来型より省エネルギー
新型のエコキュートは省エネ性能で大きな進歩を遂げています。たとえば効率よくお湯を沸かせるようになり、旧型とくらべて年間の電気代が7,000円ほどお得になるというのです。
エコワンとエコキュートで迷っている方は、エコキュートの省エネ性能もさらにアップしていることを踏まえて検討してください。
まとめ
エコワンが真価を発揮するのは、温水暖房を導入したい、大家族で大量の湯を使う、あるいは電気とガスの両方を確保しておきたいなどの条件が揃う家庭です。
上記に当てはまり、しかも都市ガスが利用できる地域であれば、エコワンを選ぶ価値は十分にあります。
一方、初期費用を抑えながら高効率給湯機を導入したい場合は、エコキュートが有力候補です。最新型は機能面でエコワンに匹敵し、さらに省エネ性能も向上しています。多くのご家庭では、費用対効果の高さからエコキュートのほうが適していると言えるでしょう。
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