電力会社の値上げはいつから行われるの?値上げを抑える方法をわかりやすく解説
2023年3月28日
北海道電力や東京電力、中国電力などの旧一般電力事業者は2023年に規制料金の値上げを行う予定です。自由料金と違って規制料金は法的な制限があるため、値上げを行う場合は経済産業大臣に申請を出し、値上げの実施日や内容を告知する必要があります。
そこで今回は、電力会社の規制料金の値上げがいつから行われるのかについて解説します。値上げを抑える方法も紹介するので、参考にしてください。なお、本記事は2023年3月上旬時点の情報を基に作成しており、実際の内容と異なる可能性があります。
電力会社の値上げは大半が4月から始まる
2023年に規制料金の値上げを予定している電力会社は以下の通りです。
値上げする時期 | 値上げ率 | 値上げ幅の目安 | |
---|---|---|---|
北海道電力 | 6月1日 | 平均32.0% | 2,838円 |
東北電力 | 4月1日 | 平均32.94% | 2,717円 |
東京電力 | 6月1日 | 平均29.31% | 2,611円 |
北陸電気 | 4月1日 | 平均45.84% | 2,692円 |
中国電力 | 4月1日 | 平均31.33% | 2,399円 |
四国電力 | 4月1日 | 平均28.08% | 2,205円 |
沖縄電力 | 4月1日 | 平均39.3% | 3,473円 |
規制料金とは、政府が定めた電気料金の上限を超えることができない料金のことです。2016年の電力自由化の前から電力会社が提供しており、主に次の旧一般電力事業者で扱っています。
- 北海道電力
- 東北電力
- 東京電力
- 中部電力
- 北陸電力
- 関西電力
- 中国電力
- 四国電力
- 九州電力
- 沖縄電力
今回、上記10社のうち7社が規制料金を値上げできるように経済産業大臣に申請しています。
2023年3月上旬時点では値上げの決定はされていませんが、昨今の国際情勢や電力会社の経営不振などを考えると値上げの申請が通る可能性は高いです。
申請が通った場合、東北電力・北陸電気・中国電力・四国電力・沖縄電力の5社が4月1日より、北海道電力と東京電力が6月1日より、電気料金が月額2,000円~3,000円程度上昇します。
なお、値上げの内容は電力会社ごとに異なります。規制料金プランごとに値上げ率は異なり、表の値上げ幅は各電力会社がシミュレーションした結果です。実際の電気料金と異なる場合があるので、使用電力量によっては電気料金がさらに高額になる可能性はあります。
また、電力会社によっては自由料金も値上げする場合があるので、気になる方は内容をチェックしましょう。
4月1日には託送料金の値上げも予定されている
上記の規制料金の値上げとは別に、2023年4月1日より託送料金の値上げも予定されています。
託送料金とは、電気を送る際に小売電気事業者が利用する送配電網の利用料金のことで、各社が販売した電気量に応じて託送料金は異なります。
送配電事業は電力需要の不透明化や次世代投資、高経年化に伴う設備更新などの問題を抱えており、2023年4月から新たな託送料金制度(レベニューキャップ制度)が導入されます。
ヨーロッパを参考にした新たな託送料金制度(レベニューキャップ制度)では、「国民負担抑制」と「必要なネットワーク投資の確保」の両立がコンセプトとなっており、将来的な電力コストを抑制するために投資を増やす方針です。
そのため、各電力会社は定められた期間において達成すべき18の目標を示した事業計画を作成し、必要となる収入を算定して問題がなければ託送料金を設定できます。
すでに託送料金の値上げの申請は行われており、経済産業大臣の認可を受けています。つまり、規制料金の値上げとは関係なく、4月1日より電気料金は値上げすることが確定しています。
ただし、託送料金の値上げは平均数%で、値上げ額も100円前後となっているので、規制料金の値上げほど深刻ではありません。
規制料金の値上げは続く?
結論から申し上げますと、規制料金の値上げは将来的に続く可能性があります。
規制料金は燃料費調整額の上限が設定されており、料金改定に法的な制限があります。そのため、自由料金に比べて値上げがしにくい料金プランです。
しかし、昨今の国際情勢の変化に伴い電気料金の高騰は止まらず、自由料金から規制料金に切り替える契約者が増えています。
燃料費や原価などが高騰しても規制料金にはすぐに反映できず、規制料金の不足分を企業が補填した結果、電力会社の大半が経営的に苦しくなり、今回の規制料金の値上げ申請につながります。
規制料金の値上げは政府の認可が必要なため、申請してすぐに認められるとは限りません。しかし、現在の状況が長引けば、電力会社が規制料金のさらなる値上げの申請を行う可能性は高いです。
また、値上げの申請をしていない中部電力、関西電力、九州電力が将来的に値上げの申請をしないとも限りません。
そのため、値上げに備えて対策を考えておく必要があります。
電気料金の値上げを抑える方法
電気料金の値上げを抑える方法は以下の通りです。
- 使用電力量を減らす
- 電気料金を比較する
- 電気料金のキャンペーンやパックを活用する
- 太陽光発電システムや蓄電池を導入する
- 省エネ性能の高い住宅機器を導入する
上記の方法を順番に解説します。
使用電力量を減らす
電気料金の値上げを抑える方法として代表的なのが、使用電力量を減らすことです。
例えば、中国電力の従量電灯Aに加入していて、1カ月の使用電力量260kWhの家庭の場合、現行料金は8,029円ですが、4月1日以降は10,428円になり、値上げ額は2,399円、値上げ率は29.88%になります。
上記の場合、1カ月の使用電力量を210kWh程度に抑えることができれば、規制料金が値上げしても電気料金が現行料金とほとんど変わりません。
例えば、次のような節電方法を試してみましょう。
- エアコンは必要なときだけ点けて、定期的にフィルターを掃除する
- LEDに交換して不要な灯りは小まめに消して
- テレビやパソコンは使わない時に電源を切る
- カーテンを設置して熱の出入りを防ぐ
- 冷蔵庫の開閉時間を短くして商品を詰め込まないようにする
- 炊飯器の保温を控える
- 食器洗浄機の乾燥機能を控えるなど
節電だけで規制料金の値上げをすべて抑えることは難しいですが、やってみる価値はあります。
電気料金を比較する
規制料金の値上げが苦しい時は、別の電力会社に乗り換えることを検討してみましょう。
旧一般電力事業者が提供する規制料金以外の料金プランは自由料金プランで、電力会社が自由に設定できます。料金プランによっては定額制、従量制、時間帯別などがあり、利用者のライフスタイルや電気の使い方に合ったプランを選べます。
状況によっては、規制料金を続けるよりも自由料金に乗りかえたほうが電気料金を節約できる可能性はあります。ただし、自由料金は燃料費調整の上限がないため、契約内容やタイミングによっては電気料金が高額になる場合があるので注意しましょう。
電気料金のキャンペーンやパックを活用する
電力会社によってはガスや水道とセットで申し込んだり、特定の携帯電話会社やインターネット回線サービスと併用したりすると、電気料金が割引になるキャンペーンやパックがあります。
キャンペーンやパックの内容や条件は電力会社ごとに異なり、すべての人が当てはまるとは限りません。しかし、電気料金を抑えられる可能性があるので、気になる方は契約している電力会社のホームページをチェックしてみましょう。
太陽光発電システムや蓄電池を導入する
使用電力量を抑える方法として、節電以外に太陽光発電システムや蓄電池の導入などがあります。
太陽光発電システムは太陽の光エネルギーを電気に変換する発電システムのことです。発電した電力は家庭で消費したり、電力会社に売却したりできます。
太陽光発電システムの発電量はシステムの性能や位置、周りの環境、季節、発電容量などによって異なりますが、平均すると1日あたり2.5~3.8kWhで、1カ月当たりの発電量は80kWh~120kWhです。
中国電力で1カ月の使用電力量260kWhの家庭の場合、4月1日以降の電気料金は10,428円になります。しかし、太陽光発電システムを設置して使用電力量を80kWh減らすことに成功した場合、電気料金が約6,821円まで抑えられます。
また、蓄電池は電力会社から購入した電気を別の時間帯に使用することができます。例えば、中国電力のナイトホリデーコースのように、電気料金が安い夜間に電気を購入して、電力料金が高い日中に消費すれば、日中の使用電力量を減らすことが可能です。
節電だけでは値上げを抑えられない場合は、太陽光発電システムや蓄電池の導入も検討してみましょう。
省エネ性能の高い住宅機器を導入する
省エネ性能の高い住宅機器を導入することで、光熱費の節約につながる場合があります。
例えば、電気と空気の熱を利用してお湯を沸かすエコキュートは、ほかの給湯器に比べてお湯を沸かすためのランニングコストが抑えられています。
次の表は、同じ湯量を沸かすために必要な年間ランニングコストをまとめたものです。
エコキュート | 電気温水器 | 石油給湯機 | ガス給湯器 | |
---|---|---|---|---|
北海道電力エリア | 約32,400円 | 約108,000円 | 約81,600円 | 約109,200円 |
東北電力エリア | 約21,600円 | 約80,400円 | 約73,200円 | 約104,400円 |
北陸電力エリア | 約20,400円 | 約82,800円 | 約72,000円 | 約118,800円 |
東京電力エナジーパートナーエリア | 約24,000円 | 約102,000円 | 約67,200円 | 約78,000円 |
中部電力エリア | 約24,000円 | 約99,600円 | 約68,400円 | 約87,600円 |
関西電力エリア | 約20,400円 | 約86,400円 | 約64,800円 | 約81,600円 |
中国電力エリア | 約22,800円 | 約91,200円 | 約68,400円 | 約112,800円 |
四国電力エリア | 約26,400円 | 約126,000円 | 約67,200円 | 約99,600円 |
九州電力エリア | 約18,000円 | 約78,000円 | 約66,000円 | 約108,000円 |
沖縄電力エリア | 約10,800円 | 不明 | 約56,400円 | 約54,000円 |
実際のランニングコストはエコキュートの性能や家族の人数、ライフスタイルによって異なりますが、表にあるようにエコキュートの年間ランニングコストは安いです。
エコキュートは電気で動かす住宅機器のため、ガス給湯器からエコキュートに交換すると電気料金の値上げにつながる可能性はあります。
しかし、今回の規制料金の値上げ幅は月額2,000円~3,000円で、年間にすると24,000円~36,000円です。
ガス給湯器からエコキュートに交換した場合、お湯を沸かすためのランニングコストが年間40,000円~80,000円程度お得になることを考えると、光熱費の節約のためにエコキュートを導入することも選択肢の1つになります。
まとめ
以上が、規制料金の値上げをいつから行うかについての解説になります。旧一般電力事業者のうち、次の電力会社で規制料金の値上げが予定されています。
値上げする時期 | |
---|---|
東北電力 | 4月1日 |
北陸電気 | 4月1日 |
中国電力 | 4月1日 |
四国電力 | 4月1日 |
沖縄電力 | 4月1日 |
北海道電力 | 6月1日 |
東京電力 | 6月1日 |
規制料金の場合、30%前後の値上げになります。上記の電力会社と契約している方は本記事で紹介した方法を参考にして、値上げを抑えてみましょう。
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