【2025年最新】結局どちらを選べばいい?エコキュートと電気温水器の違いを解説
2025年8月13日

現在オール電化住宅の普及が進んでいて、新築住宅の実に3軒に1軒がオール電化を選択しています。オール電化住宅の場合、給湯器の選択肢としては、ガスではなく電気でお湯を沸かす電気式の給湯器になります。中でも、電気式給湯器の代表的な選択肢が、「エコキュート」と「電気温水器」の2つです。ところが、どちらを選べばいいのかわからないと迷う人も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、2025年の最新情報をもとにして、エコキュートと電気温水器の違いについて比較し、あなたにとって最善な選択ができるようサポートしていきます。
1.まずはエコキュートと電気温水器、基本の仕組みをおさらい
エコキュートと電気温水器はどちらも、電気を使う給湯器です。火を使わず給湯でき、オール電化住宅に対応する点は、共通しています。ここではまず、エコキュートと電気温水器の基本の仕組みについて見ていきましょう。
1-1.電気温水器の仕組みと特徴
電熱ヒーターがタンク内にあり、直接水を加熱するのが電気温水器です。構造がシンプルなので価格も比較的安価です。消費電力は多く、ランニングコストがかかる傾向にあります。
1-2.エコキュートの仕組みと特徴
エコキュートは、電力だけでなく大気の熱も利用してお湯を沸かす、「ヒートポンプ技術」を採用している給湯器です。取り込んだ大気の熱を水に伝えるために、冷媒を圧縮・膨張させて熱を移動させる原理なので、少ない電力で多くのお湯が作れます。さらに、単価の安い深夜電力を利用して、電気代をより抑えられる点が特徴の給湯器です。
2.【エコキュートと電気温水器の違い】給湯方式の違い
まずは、エコキュートと電気温水器について、給湯方式の違いを見ていきましょう。熱効率の面で、エコキュートが圧倒的に優れていることがわかります。
2-1.エコキュートは「ヒートポンプ式」
エコキュートは、大気の熱を圧縮して冷媒を介して水を加熱する「ヒートポンプ式」を採用しています。熱効率(COP)はおよそ3.0を誇ります。つまり、使用する電力の3倍近い熱エネルギーが得られるというわけです。
2-2.電気温水器は「電熱ヒーター式」
電気温水器は、電気の力でタンク内の電熱ヒーターを稼働させて直接水を加熱させる方式です。熱効率はおよそ1.0で、使った電力と同量の熱しか得られません。
3.【エコキュートと電気温水器の違い】電気代の違い
エコキュートはヒートポンプによって少ない電力でお湯を沸かせます。たとえば4人家族で年4,000kWhの電力を使う場合、電気温水器で約11万円の電気代がかかるところ、エコキュートなら約3.6万円に抑えられます。
さらにエコキュートなら電気代の安い深夜電力でお湯を沸かして貯めておけるので、賢く電力契約すれば、より節約できるでしょう。
4.【エコキュートと電気温水器の違い】設置スペース・騒音の違い
ここからは、エコキュート・電気温水器の設置スペースや、騒音の違いについて見ていきましょう。
4-1.エコキュートの設置スペース・騒音
エコキュートの設備は、貯湯ユニット・ヒートポンプユニットの2台で構成され、どちらも屋外に設置するのである程度のスペースが必要です。また、ヒートポンプが稼働中は40~50dBほどの作動音が発生するので、ある程度近隣に配慮して設置場所を決める必要があります。ただし40~50dBといえば、静かな事務所や換気扇・エアコンの室外機の音などに相当する程度なので、特別うるさいわけでは決してありません。
一方で電気温水器はタンク一体型で、屋外だけでなく屋内にも設置できます。シンプルな構造のため騒音もほとんどないので、狭小住宅でも導入できるのがメリットです。
5.【エコキュートと電気温水器の違い】初期費用の違い
エコキュートまたは電気温水器を設置する際に、初期費用についても気になるところです。ここでは初期費用について、それぞれ解説していきます。
5-1.エコキュートの初期費用
エコキュートの本体価格は30~50万円程度で、設置工事も複雑なので、総額45~70万円が相場です。ただし、省エネ・再エネを推進するために、国や自治体の多くがエコキュートの導入を対象にした補助金制度を設けています。これらの補助金を活用すれば、負担額を10万円~20万円相当軽減できるケースもあります。
5-2.電気温水器の初期費用
電気温水器は、本体価格が約15~25万円、工事費込みでも20~35万円程度に収まることが多く、初期費用を抑えたい人に向いている給湯器だといえます・
6.【エコキュートと電気温水器の違い】対応温度・使い勝手の違い
エコキュートまたは電気温水器を設置する際に、気になるのは実際の使い勝手ではないでしょうか。そこでここでは、対応温度や使い勝手の違いについてお話ししていきます。
6-1.エコキュートの対応温度・使い勝手
エコキュートは、高温にも設定可能なので、寒冷地においても快適に使用できます。また、「追い炊き機能」や「自動湯張り」、「スマホ連携」や「省エネモード」といったさまざまな機能が搭載されています。
6-2.電気温水器の対応温度・使い勝手
電気温水器は、操作がシンプルで扱いやすいものの、多くのモデルが追い炊きや湯張りなどの機能を搭載しておらず、使い勝手の悪さを感じるかもしれません。
7.【エコキュートと電気温水器の違い】停電・断水時の対応力の違い
エコキュートも電気温水器も、電気を使って給湯する設備なので、停電時には基本的に作動しません。それでも断水や停電などの非常時に、給湯器の種類によっては対応が可能です。ここでは、エコキュートと電気温水器の非常時の対応力について、それぞれ見ていきましょう。
7-1.エコキュートの停電・断水時における対応力
エコキュートは、貯湯タンク内に多くの湯を貯める仕組みなので、非常時には取水が可能なモデルも多くあります。災害時には、飲料水にはならないものの、トイレや洗浄などの生活用水に利用可能です。また、エコキュートには、操作パネルに残湯量が表示されるので、使用量を計画しながら使えます。
7-2.電気温水器の停電・断水時における対応力
電気温水器もお湯を貯めているものの、取り出しにくい構造になっているものが多く、エコキュートのように残湯を生活用水に使うのは難しい場合が大部分です。停電時には基本的に作動しないため、緊急時の対応は難しいでしょう。
8.【エコキュートと電気温水器の違い】寿命・メンテナンス性の違い
エコキュートと電気温水器について、寿命やメンテナンス性の違いを紹介します。設置後、故障した際に慌てないように、あらかじめ寿命やメンテナンス性についても把握しておきましょう。
8-1.エコキュートの寿命・メンテナンス
エコキュートの一般的な寿命は、約10年から15年だとされていて、ヒートポンプユニットや貯湯タンクは定期的なメンテナンスが推奨されています。メンテナンスでは、必要に応じて冷媒を補充したり、部品を交換したりします。また、給水・給湯配管や凍結防止についても点検が必要です。
8-2.電気温水器の寿命・メンテナンス
エコキュートと同様に、電気温水器も耐用年数はおよそ10年から15年です。構造がシンプルな分、故障も少なくて、メンテナンスも難しくありません。ただし経年劣化によって漏水や、タンク内に湯垢が蓄積するリスクが高まるため、注意が必要です。
9.結局どちらがいい?用途・ライフスタイル別の選び方
ここまでエコキュートと電気温水器の違いについて解説してきましたが、ここからは結局どちらがいいのか、用途やライフスタイル別の選び方を紹介します。
9-1.エコキュートと電気温水器の比較・まとめ
まず、前の章までに挙げてきたエコキュートと電気温水器の比較について、下記にまとめます。
比較項目 | エコキュート | 電気温水器 |
---|---|---|
給湯方式 | ヒートポンプ式 (外気の熱を活用) |
電熱ヒーター式 (直接加熱) |
熱効率(COP) | 約3.0(300%) | 約1.0(100%) |
年間電気代(めやす) | 約3.6万円 | 約11万円 |
初期費用(本体+工事) | 約45万円~70万円 | 約20万円~35万円 |
設置スペース | 屋外2ユニット構成が基本のため、広めのスペースが必要 | タンクのみで省スペースのため屋内外に設置可能 |
騒音レベル | 動作音あり(40~50dB) | 静音(ほぼ無音) |
機能性 | 自動湯張り・追い炊き・省エネモードなどが搭載され高機能 | シンプルで基本的な給湯のみ |
非常時対応 | 非常用取水口あり | 残湯あるが取り出しは困難 |
寿命・メンテナンス | 10年~15年(定期メンテナンス推奨) | 10年~15年 |
補助金適用 | 国・自治体の補助金制度あり | 補助金制度の対象外であることが大部分 |
9-2.必要な湯量を確認
家族構成や生活リズムによって、必要な湯量は異なります。たとえば、家族の人数が多く、家族が連続して入浴することが多い家庭では、湯切れしにくく追い炊き機能も搭載されたエコキュートが向いています。
9-3.将来を見据えた選択
エコキュートは太陽光発電や蓄電池との相性も抜群で、家庭内でのエネルギー自給率を高められる方法として、広まっています。自国の電力自給量が低い日本において、将来的な電力不足への備え、災害時の備えという意味でもエコキュートはさらに普及していくでしょう。
一方で電気温水器は、将来的に省エネ基準が強化されることで、製造・販売が縮小していく可能性も十分あります。長期的な視点で考えると、エコキュートに軍配が上がるでしょう。
9-4.メンテナンス・保証内容もチェック
エコキュートも電気温水器も、設置後にはメンテナンスが必要になります。とくにエコキュートは高性能である分、定期点検や修理が必要です。一方で電気温水器はシンプルな作りである分、故障は少ないものの、販売店や部品製造が縮小していく恐れもあります。購入時に販売店やメーカーの保証期間、アフターサービスなどについてよく確認し、安心して長く使える体制が整っているか確認しましょう。
10.結局どちらがベスト?あなたに合った選び方を解説!
エコキュートと電気温水器の違いについて解説してきましたが、結局どちらを選ぶのかベストなのか、迷う人も多いはずです。そこでここからは、結局どちらがベストなのか、あなたに合った選び方を紹介していきます。
10-1.エコキュートがおすすめの人
エコキュートがおすすめの人は、次のような人です。
- 長期的に光熱費を抑えたい
- 環境に負荷のない生活をしたい
- 追い炊き機能や自動湯張りといった、高機能で快適に暮らしたい
- 補助金を活用したい
10-2.電気温水器がおすすめの人
電気温水器がおすすめの人は、次の通りです。
- 初期費用をなるべく安く済ませたい
- シンプルな操作性であることを重視したい
- 設置スペースが限られている
- 単身、少人数世帯などで使用量が少ない
11.まとめ
エコキュートと電気温水器の違いについてさまざまな視点から比較してきました。エコキュートがいいのか、電気温水器がいいのか、どちらが優れているかは使う人の用途やライフスタイルによって異なります。2025年現在、国や自治体の補助制度などにより環境対策が進んでいるため、エコキュートの普及が進んでいるものの、すべての家庭でエコキュートが最適だとは限りません。この記事で紹介したポイントを参考にして、ご自身のライフスタイルや設置条件、将来的な希望に応じて、最適な方を選んでみてください。