エコキュートとは?エコキュートの仕組みやコストダウンの方法について解説します!
2023年1月17日
エコキュートは従来の電気温水器に比べ少ない電力でお湯を沸かせる機器です。CO2排出量が少なく環境に良いという評判を耳にしますが、いったいどのような機器なのでしょうか。
今回はエコキュートの概要やメリット・デメリット、エコキュートの仕組み、エコキュートの節電効果、エコキュートのコストダウンの方法などについて解説します。
エコキュートとは?
エコキュートとは、ヒートポンプという仕組みを使い、少ない電力でお湯を沸騰させることができる機器です。エコキュートはどの様なものなのでしょうか。概要やメリット・デメリットについてまとめます。
エコキュートの概要
エコキュートは関西電力の登録商標で、正式名称を「自然冷媒ヒートポンプ給湯機」といいます。詳しい仕組みは後ほどまとめますが、ここでは空気の持っている熱を利用してお湯を効率よく沸騰させ、電気代を抑えられる機器だと考えてください。
太陽光発電で生み出した電力や比較的安価な深夜電力を利用してお湯を沸騰させ、貯湯タンクに貯めるもので、環境にやさしい機器として注目されています。
エコキュートのメリット
エコキュートのメリットは以下の3点です。
- ランニングコストが安い
- 二酸化炭素排出量が少ない
- 非常時でもお湯や水を利用できる
エコキュートは少ない電力でお湯を沸騰させられる仕組みです。それだけでも電力料金を引き下げられますが、割安な深夜電力と組み合わせるとさらにメリットが大きくなります。
使用電力が少なければ、発電の際に発生するCO2も低くできますので、環境対策に貢献できます。加えて、太陽光発電設備と併用すると再生可能エネルギーを利用してお湯を沸かすことができます。
また、停電時や断水時でも貯湯タンクの水を使用できますので、非常時の備えとしても効果的です。
エコキュートのデメリット
エコキュートのデメリットは以下の2点です。
- 初期費用が高い
- 湯切れリスクがある
エコキュートの初期費用は20万円から50万円程度です。数万円程度から取り付けできるガス給湯器に比べるとかなり割高です。そして、お湯を使いすぎてしまうと湯切れ状態となってしまいます。
エコキュートはガス給湯器や瞬間式の電気温水器と比べるとお湯を作り出すのに時間がかかります。そのため、湯切れ状態になると、お湯を蓄えるまでにある程度の時間が必要になるのです。
エコキュートの仕組み
先ほど、エコキュートのメリット・デメリットを紹介しましたが、それらの原因はエコキュートの仕組みにあります。エコキュートの仕組みを詳しく見てみましょう。
エコキュート全体の構造(ヒートポンプ+貯湯タンク、各部品も解説)
エコキュートは以下の部品から成り立っています。
ヒートポンプユニット | 外気の熱を取り出すための装置 空気熱交換器や膨張弁、圧縮機、水熱交換器などが入っている 装置内を「冷媒」が巡り、集めた熱を運ぶ |
---|---|
空気熱交換器 | 外から熱を吸収する |
圧縮機 | 熱を運んできた冷媒に圧力をかけ、冷媒の温度を上昇させる |
水熱交換器 | 冷媒で水を温めお湯にする |
膨張弁 | 冷媒の温度を下げる |
貯湯タンク | 水熱交換器で温められたお湯をためる |
ヒートポンプの原理
エコキュートの核ともいえるのがヒートポンプです。空気は目には見えませんが熱を持っています。ヒートポンプは外の空気を吸い込み、空気が持っている熱を取り込みます。この役割を果たすのが空気熱交換器です。
取り込まれた熱は冷媒とよばれる気体によって圧縮機まで運ばれます。圧縮機は冷媒に圧力を加えます。圧力を加える理由は、気体は圧縮されると温度が上昇し、圧力を緩めると温度が低下するからです。
温められた冷媒は水熱交換器に運ばれます。水熱交換器は水と接触する場所にある機器で、冷媒の熱により水を温め沸騰させます。温められた水は貯湯タンクの上部にたまり、お湯として家庭で利用できます。
貯湯タンクのお湯は温度が下がるとタンクの下に移動します。そして、再び水熱交換器で温められ、お湯として供給されます。
一方、熱を水に移した冷媒は膨張弁で温度を下げられ、再び空気熱交換器に送り込まれます。
冷媒とは何か
ヒートポンプには「冷媒」が欠かせません。冷媒とは熱の運び屋をしてくれる気体のことです。冷媒の代表として知られているのがフロンです。フロンはオゾン層破壊の原因となることから、私用に大幅な制限がかけられています。
エコキュートはフロンではなく二酸化炭素を冷媒として使用しています。この二酸化炭素は工場の副産物として発生するもので、あらたにエコキュートのために生み出されたものではなりません。エコキュートで二酸化炭素を使用することは環境保護の面でも有効な活用法といえます。
ガス給湯器や電気給湯器との違い
エコキュートはガス給湯器や電気給湯器と何が違うのでしょうか。
エコキュートとガス給湯器との違い
ガス給湯器はガスを燃焼させ、その熱エネルギーで直に水を沸騰させる給湯器です。エコキュートと比べ、設置スペースが小さく、初期費用を安く済ませることが可能です。
さらに、お湯をすぐに沸かせるというメリットがあります。エコキュートはガス給湯器と比べるとお湯を沸かすのに時間がかかり、湯切れしてしまうとある程度の時間、お湯が使えなくなってしまいます。
しかし、ガス給湯器はガスを燃焼させるため、不完全燃焼による一酸化炭素中毒のリスクがあり、ガス漏れによる火災リスクもあります。その点、エコキュートは何かを燃やして水を沸騰させる機器ではないため、安全性に優れています。
加えて、エコキュートは水を沸騰させるときに二酸化炭素を排出しませんので、環境にやさしい機器だといえます。
エコキュートと電気温水器との違い
電気温水器には瞬間式と貯湯式の2つの種類があります。瞬間式は水道管から入ってきた水を直接ヒーターで温めるタイプでガス給湯器と似た仕組みです。貯湯式は貯湯タンク内の水をヒーターで温めるタイプです。
どちらのタイプであっても、水をヒーターで温めることに違いはありません。ガス給湯器のような燃焼を伴わないためお湯を沸かすときに二酸化炭素を発生させません。
電気の力でお湯を温めるという点ではエコキュートも電気温水器も変わりありません。しかし、使用するエネルギー量が全く異なります。
電気温水器はお湯を沸かすためのすべてのエネルギーを電力でまかなうのに対し、エコキュートは外部の空気が持っている熱も利用してお湯を沸かします。その結果、エコキュートは電気温水器の3分の1の電力でお湯を沸かせます。
エコキュートとガス給湯器・電気温水器のまとめ
初期投資 | ランニングコスト | 安全性 | |
---|---|---|---|
エコキュート | × | 〇 | 〇 |
電気温水器 | △ | △ | 〇 |
ガス給湯器 | 〇 | × | △ |
初期投資の面で見ればガス給湯器が最もよく、ランニングコストと安全性の面ではエコキュートが優れているといえます。
エコキュートは追い炊きできる?
お風呂を入れたにもかかわらず、他のことをしているうちにお湯が冷めてしまうことはありませんか?そんなときに便利なのが追い炊き機能です。エコキュートでは追い炊きができるのでしょうか?
追い炊きとは
追い炊きとは、一度冷めたお湯をさし湯をせずに温めなおす機能のことです。お湯を張り替えなくてもよいため、非常に便利な機能で、ガス給湯器の機能の一つとしても取り上げられます。
コキュートの追い炊き機能
エコキュートでも追い炊きが可能です。追い炊きするための専用の配管があるため、貯湯タンクのお湯と混ざらずにお風呂のお湯だけを追い炊きできます。貯湯タンクのお湯を減らさずお湯を温められるので経済的です。
エコキュートによるコストダウンの方法
エコキュートは電気温水器の3分の1の電力でお湯を沸かせます。それ以外にもエコキュートのコストを下げる方法はあります。ここでは、深夜電力の利用と太陽光発電との組み合わせについてまとめます。
深夜電力の利用
エコキュートのコストダウンを考えるうえで欠かせないのが深夜電力の活用です。深夜電力とは、深夜時間帯(概ね夜11時から翌朝7時くらいまで)の電力料金が安くなる仕組みのことです。一度に大量の水を沸かすエコキュートの電力を抑えるには、深夜電力を活用するのが最も効果的です。
ただし、深夜電力を利用すると深夜以外の時間帯の電気料金が上がることがありますので、自分の生活スタイルを考え、どちらのほうがメリットがあるか考えなければなりません。
太陽光発電との組み合わせ
エコキュートは太陽光発電とも相性が良い機器です。太陽光発電は昼間に発電できますが、蓄電池が満充電状態になると、余った電力は電力会社に買い取られます。ところが、近年は買取価格が下落しているため、経済的メリットが小さくなりつつあります。
この余剰電力をつかってエコキュートを稼働させ、お湯を沸かします。太陽光発電は二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーですので、環境にやさしい発電方法です。
また、太陽光発電には非常時に強いというメリットがあります。太陽光発電で電力を供給し、エコキュートでお湯を調達できれば、かなり長期間、日常生活に必要なエネルギーやお湯をまかなうことができるでしょう。
まとめ
今回はエコキュートの仕組みやコストダウンの方法を中心に解説しました。エコキュートはヒートポンプを利用した仕組みで、電気温水器の3分の1の電力でお湯を沸かせる経済的な機器です。
しかも、ガス給湯器と異なり化石燃料を燃焼させないため、環境にやさしい機器だといえます。エコキュートには初期費用が高いという弱点がありますが、深夜電力や太陽光発電との組み合わせを活用することでランニングコストを抑えられるという長所があります。
エコキュートにどのような種類があるのか、何を購入したらよいのか迷う人は、是非一度、エコキュート専門店のエコパパのお店へご相談下さい。