エコキュートとエネファームの違いは?ランニングコストや導入費用などを解説
2023年9月30日
エネファームとエコキュートは省エネ性能の高い給湯器の代表例として挙げられますが、厳密にいうとエネファームは給湯器ではありません。お湯を沸かすための仕組みやランニングコストなどがエコキュートと違うので、注意が必要です。
そこで今回は、エコキュートとエネファームの違いについて解説します。ぜひ最後までご覧ください。
エコキュートとは?
エコキュートとは、電気と空気の熱を利用してお湯を沸かす給湯器です。ヒートポンプユニットにて熱を高温になるように圧縮し、お湯を沸かしたら貯湯タンクユニットで貯めておいて各所に給湯します。
同じ湯量を沸かすためのランニングコストがガス給湯器や石油給湯器よりも大幅に抑えられていることが最大の特徴です。一方で、貯湯式給湯器なので水圧が弱く、湯切れで日中にお湯を沸かそうとすると電気代が余分にかかる可能性があります。
なお、エコキュートの正式名称は「自然冷媒ヒートポンプ給湯器」ですが、現在では各メーカーや電力会社、自治体などはエコキュートが用いられています。
エネファームとは?
エネファームとは、ガスから電気を作ることができ、発生した熱で給湯が可能な家庭用燃料電池です。
都市ガスやLPガスに含まれている水素と空気中の酸素を化学反応させて電気を作りだしつつ、発生した熱を利用してお湯を沸かして貯湯タンクユニットで貯めておき、各所に給湯します。
エネファームで発電した電力は自宅の照明やテレビ、エアコンなどに給電できるので、電力会社からの買電量を減らすことができます。そのため、電気代の節約に役立ちます。
なお、エネファームは愛称でしたが、燃料電池実用化推進協議会が家庭用燃料電池の知名度向上のために、企業に関係なく統一名称とすることを定めており、パナソニック、京セラなどのメーカーから販売されています。
エコキュートとエネファームの違いは?
次の表は、エコキュートとエネファームの違いをまとめたものです。
エコキュート | エネファーム | |
---|---|---|
必要なエネルギー | 電気 | ガス |
導入費用 | 40万円~70万円 | 100万円~200万円 |
年間ランニングコスト | 約2万円~約5万円 | 約6万円~約10万円 |
節電効果 | ない | ある |
湯切れ | ある | ない |
停電時 | 使用できない | 発電中なら使用できる |
エコキュートは電気と空気の熱を利用してお湯を沸かす給湯器ですが、エネファームはガスによって発電しつつ、排気熱でお湯を沸かす家庭用燃料電池です。
給湯器と家庭用燃料電池という違いを踏まえて、上記の違いを順番に解説します。
必要なエネルギー
エコキュートはお湯を沸かすために電気が必要な給湯器で、エネファームはガスが必要な家庭用燃料電池です。そのため、エコキュートはガス会社と契約する必要はありませんが、エネファームはガス会社との契約が必要になります。
なお、ガスの種類は都市ガス、LPガスのどちらでも問題ありません。
導入費用
エコキュートは三菱やパナソニックなど様々なメーカーから販売されており、導入費用の相場が工事費込みで約40万円~約70万円です。機能を多く搭載しており、給湯効率が高い機種ほど、高額になる傾向があります。
一方、エネファームはパナソニック、京セラ、アイシン精機の3社から販売されており、導入費用の相場が工事費込みで約100万円~約200万円で、機種によっては250万円を超える場合もあります。
- エコキュート…約40万円~約70万円
- エネファーム…約100万円~約200万円
エネファームは給湯だけでなく発電する機能も搭載しているため、非常に高額な住宅機器だと覚えておきましょう。
年間ランニングコスト
エコキュートは電気と空気の熱を利用してお湯を沸かす給湯器です。お湯を沸かすための主なエネルギーは空気の熱のため、ほかの給湯器に比べてランニングコストが抑えられている傾向があります。
次の表は、エコキュートとほかの給湯器で同じ湯量を沸かした場合の年間ランニングコストを比較したものです。
エコキュート | エネファーム | ガス給湯器 | 電気温水器 | 石油給湯機 | |
---|---|---|---|---|---|
北海道電力エリア | 約54,000円 | 約104,900円 | 約104,400円 | 約184,800円 | 約78,000円 |
東北電力エリア | 約48,000円 | 約99,600円 | 約98,400円 | 約189,600円 | 約70,800円 |
北陸電力エリア | 約42,000円 | 約95,100円 | 約112,800円 | 約166,800円 | 約70,800円 |
東京電力エナジーパートナーエリア | 約37,200円 | 約88,000円 | 約73,200円 | 約158,400円 | 約81,600円 |
中部電力エリア | 約25,200円 | 約91,200円 | 約81,600円 | 約100,800円 | 約67,200円 |
関西電力エリア | 約20,400円 | 約88,400円 | 約75,600円 | 約87,600円 | 約63,600円 |
中国電力エリア | 約43,200円 | 約92,700円 | 約108,000円 | 約176,400円 | 約67,200円 |
四国電力エリア | 約44,400円 | 約89,400円 | 約93,600円 | 約193,200円 | 約66,000円 |
九州電力エリア | 約20,400円 | 約88,400円 | 約102,000円 | 約84,000円 | 約64,800円 |
沖縄電力エリア | 約27,600円 | 約56,900円 | 約62,400円 | 不明 | 約55,200円 |
実際のランニングコストは給湯器の性能や契約しているプランによって異なりますが、エコキュートはお湯を沸かすためのランニングコストが抑えられている給湯器です。
一方、エネファームはガスと空気の化学反応により発電しつつ、発生した熱を用いてお湯を沸かす家庭用燃料電池です。契約しているガス会社によっては割引が適用される特別なプランに加入できるため、お湯を沸かすためのランニングコストはガス給湯器と同程度です。
節電効果
エネファームのランニングコストはガス給湯器と同程度です。しかし、エネファームは発電を行っているので、家庭での買電量が減って電気代の節約につながる可能性があります。
次の表は、エネファームの年間ランニングコストと発電量、電気代の節約などの目安をまとめたものです。
年間ランニングコスト | 発電量 | 電気代の節約 | |
---|---|---|---|
北海道電力エリア | 約104,900円 | 1,855kWh | 約81,800円 |
東北電力エリア | 約99,600円 | 1,783kWh | 約65,900円 |
北陸電力エリア | 約95,100円 | 1,724kWh | 約58,200円 |
東京電力エナジーパートナーエリア | 約88,000円 | 1,609kWh | 約57,800円 |
中部電力エリア | 約91,200円 | 1,662kWh | 約47,700円 |
関西電力エリア | 約88,400円 | 1,609kWh | 約36,600円 |
中国電力エリア | 約92,700円 | 1,686kWh | 約51,300円 |
四国電力エリア | 約89,400円 | 1,625kWh | 約49,400円 |
九州電力エリア | 約88,400円 | 1,609kWh | 約39,700円 |
沖縄電力エリア | 約56,900円 | 719kWh | 約31,800円 |
次の表は、エコキュートの年間ランニングコストと、エネファームの年間ランニングコストから発電したことで得られる電気代の節約分を差し引いた金額を比較したものです。
エコキュート | エネファーム | |
---|---|---|
北海道電力エリア | 約54,000円 | 約23,100円 |
東北電力エリア | 約48,000円 | 約33,700円 |
北陸電力エリア | 約42,000円 | 約36,900円 |
東京電力エナジーパートナーエリア | 約37,200円 | 約30,200円 |
中部電力エリア | 約25,200円 | 約43,500円 |
関西電力エリア | 約20,400円 | 約51,800円 |
中国電力エリア | 約43,200円 | 約41,400円 |
四国電力エリア | 約44,400円 | 約40,000円 |
九州電力エリア | 約20,400円 | 約48,700円 |
沖縄電力エリア | 約27,600円 | 約25,100円 |
お湯を沸かすためのランニングコストはエコキュートのほうが抑えられていますが、エネファームの発電で節電した分を含めたときのコストでは、エネファームのほうが安い場合があります。
特に、北海道や東北などの寒い地方ではエネファームのほうがお得になる可能性は高いです。エコキュートは空気の熱を利用するので、寒い地方では給湯効率が下がってランニングコストが高くなる傾向があり、エネファームのほうがお得になります。
実際のランニングコストは給湯器の性能や契約しているプランなどによって変動しますが、お湯を沸かすためのランニングコストはエコキュートのほうが安く、エネファームの発電量によっては電気代を節約できてエコキュートよりもお得になると覚えておきましょう。
湯切れ
エコキュートは電気料金単価が安い深夜にお湯を沸かして貯湯タンクユニットに貯めておき、日中に消費する貯湯式給湯器です。お湯を使いすぎてしまうと、湯切れとなってお湯が沸くまで給湯できなくなるデメリットがあります。
一方、エネファームも貯湯式に分類されますが、補助熱源機があるため湯切れの心配はありません。
停電時
エコキュートは電気と空気の熱を利用してお湯を沸かす給湯器のため、停電時には給湯ができません。太陽光発電システムと連携していれば使用は可能です。
一方、エネファームは機種にもよりますが停電時発電継続機能が付いているなら停電中でも発電と給湯の両方を行うことができます。給湯だけでなく発電も行えるので、テレビやパソコンで情報確認したり、照明や扇風機などを利用したりできます。
なお、どちらも貯湯式給湯器なので、断水時には貯湯タンクユニットに貯めてあるお湯を生活用水として利用可能です。高温なので、取り出す際は注意しましょう。
エコキュートとエネファームのどちらが良いの?
結論から申し上げますと、エコキュートとエネファームで迷っているならエコキュートがおすすめです。
エコキュートは電気と空気の熱を利用してお湯を沸かす給湯器で、導入費用の相場が工事費込みで約40万円~約70万円、年間ランニングコストは約2万円~約5万円です。
一方、エネファームはガスによって電気を発電しつつ、発生した熱でお湯を沸かすことができる家庭用燃料電池で、導入費用の相場が工事費込みで約100万円~200万円、年間ランニングコストは約6万円~約10万円です。
エネファームは発電が可能なので、電力会社からの買電量を減らすことができます。節電効果を含めた年間ランニングコストは約2万円~5万円で、場所によってはエコキュートよりも安いです。
電力を発電しつつ、給湯も可能なことはエネファームのメリットですが、導入費用がかなり高額です。買電量を減らせるといっても、エコキュートとの導入費用の差額を電気代の節約だけで回収することは難しく、現実的ではありません。
以上の理由により、エネファームよりもエコキュートの購入を検討してみましょう。
まとめ
以上が、エネファームとエコキュートの違いの解説です。エネファームとエコキュートの違いは以下のとおりです。
エコキュート | エネファーム | |
---|---|---|
必要なエネルギー | 電気 | ガス |
導入費用 | 40万円~70万円 | 100万円~200万円 |
年間ランニングコスト | 約2万円~約5万円 | 約6万円~約10万円 |
節電効果 | ない | ある |
湯切れ | ある | ない |
停電時 | 使用できない | 発電中なら使用できる |
エネファームは節電効果により、場合によってはエコキュートよりも家庭の支出を抑えることができる可能性はあります。しかし、導入費用が高額なので、節電効果を含めたトータルコストはエコキュートのほうが安い傾向はあります。
また、エネファームは販売しているメーカーが少なく、エコキュートに比べて搭載している機能も少ないので、お風呂の時間を快適に過ごすことは難しいです。そのため、給湯器を購入するならエネファームより、エコキュートを検討してみましょう。
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