エコキュートの年間給湯保温効率とは?数値の違いや選ぶ際の基準などをわかりやすく解説
2023年8月18日
エコキュートを選ぶ際のポイントとして、年間給湯保温効率が挙げられます。
年間給湯保温効率はエコキュートの性能を示す数値で、すべてのメーカーが同じ計算式に基づいて算出して掲載しています。そのため、機種の性能を比較する際の物差しになります。
そこで今回は、エコキュートの年間給湯保温効率について解説します。数値の違いや選ぶ際の基準なども紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
エコキュートの年間給湯保温効率とは?
エコキュートの年間給湯保温効率とは、日本工業規格であるJIS C 9220:2011に基づき、ふろ保温機能を保有しているヒートポンプ給湯機を運転した時の単位消費電力量あたりの給湯熱量および保温熱量を表した数値です。
端的に説明すると、「エコキュートが一定期間に実際に使用した電力のうち、お湯を保温するために必要なエネルギーの割合」を示しており、どれだけ効率的に電気を使用してきたかを表しています。
つまり、年間給湯保温効率とは、エコキュートの省エネ性能を示す数値です。計算式は以下のとおりになります。
- 年間給湯保温効率(JIS)=1年間で使用する給湯とふろ保温に係る熱量÷1年間で必要な消費電力量×100
たとえば、年間給湯保温効率が3.6の機種と4.2の機種がある場合、効率よく電気を使用しているのは年間給湯保温効率が4.2のエコキュートのほうになります。
そして、効率よく電気を使用しているということは、同条件下なら年間給湯保温効率が高いほうが電気代を節約できます。
エコキュートの年間給湯効率とは
エコキュートによっては、年間給湯保温効率ではなく、年間給湯効率としてスペックを掲載している場合があります。
年間給湯効率とは、ふろ保温機能を有していない機種の省エネ性能を示す数値です。
エコキュートは給湯方法が3種類あり、次のような違いがあります。
- フルオートタイプ…お湯はりから追い焚き、保温までが自動で行われる
- オートタイプ…お湯はりから追い焚きまで自動で行われる
- 給湯専用タイプ…お湯はりを手動で行う
フルオートタイプはボタン1つでお湯はりから追い焚き、設定した温度での保温までが行えます。
そのため、フルオートタイプでは省エネ性能を示す数値を求める際に、洗面や台所、シャワー、お湯はりなどの給湯熱量とふろ保温を行った時の保温熱量を合計して、年間の消費電力量で割っているので、年間給湯「保温」効率と呼びます。
一方、フルオートタイプと給湯専用タイプはふろ保温機能が付いていません。省エネ性能を示す数値を求める際は、洗面や台所、シャワー、お湯はりなどの給湯熱量と、年間の消費電力量を割っているので、年間給湯効率と呼び、保温が付かないのです。
概要 | |
---|---|
年間給湯保温効率 | フルオートタイプの省エネ性能を示す数値 |
年間給湯効率 | オートタイプと給湯専用タイプの省エネ性能を示す数値 |
年間給湯保温効率と年間給湯効率はふろ保温の有無が主な違いで、どちらも省エネ性能を示す数値です。そのため、省エネ性能が高いエコキュートを探したい時の比較として用いることができます。
年間給湯保温効率が重要視されるポイント
年間給湯保温効率が重要視されるポイントは以下のとおりです。
- 省エネ性能が高いエコキュートを探したい時の基準になる
- 数値が高いほど補助金の対象になりやすい
上記を順番に解説します。
省エネ性能が高いエコキュートを探したい時の基準になる
年間給湯保温効率は、エコキュートが運転した時の省エネ性能を示す数値です。数値が高いほど少ないエネルギーで効率よくお湯を沸かしているため、電気代の節約につながります。
たとえば、次のパナソニックエコキュートでフルオートタイプのスペックは以下のとおりです。
HE-JPU37LQS | HE-J37LQS | |
---|---|---|
シリーズ名 | JPシリーズ | Jシリーズ |
給湯方法 | フルオート | フルオート |
年間給湯保温効率 | 4.0 | 3.6 |
消費電力(中間期) | 0.92kW | 0.96kW |
消費電力(冬季) | 1.50kW | 1.50kW |
仮に、毎日3時間稼働させた場合、「HE-JPU37LQS」の年間消費電力量は約1,197kWh、「HE-J37LQS」の年間消費電力量は約1228kWhになります。
1kWhあたりの電力量料金を約27円とした場合、「HE-JPU37LQS」にしたほうが、電気代が年間837円安くなる計算です。
上記の数値はあくまでもシミュレーションで、実際の電気代は家族の人数やお湯の使い方、契約している電気料金メニューによって異なります。そのため、一般的には「年間給湯保温効率が0.1多いと、年間電気代が1,000円高くなる」とされています。
エコキュートはメンテナンスや点検などを行っていれば、10年以上使用できる給湯器です。年間800円~1,000円とはいえ、10年も使い続ければ電気代の差額は数万円になるため、電気代を節約したい方は年間給湯保温効率が高い機種を選ぶと良いです。
数値が高いほど補助金の対象になりやすい
エコキュートはエアコンにも使用されているヒートポンプ技術により空気を圧縮して生み出した高温でお湯を沸かし、貯湯タンクユニットで貯めておいて必要に応じて各所に給湯します。
他の給湯器に比べてお湯を沸かすためのランニングコストが安く、省エネ性能に優れている給湯器です。
そのため、国や自治体は特定のエコキュートに対して補助金を出しますが、すべての機種が対象ではありません。基本的に省エネ性能の高い機種が補助金の対象に選ばれるので、年間給湯保温効率が高い機種ほど補助金の対象になりやすいです。
たとえば、経済産業省資源エネルギー庁が行っている「給湯省エネ事業」では、年間給湯保温効率が次の目標基準値を超えている機種を対象に、1台につき50,000円の補助金を出します。
2025年度目標の区分 | 2025年度 目標基準値 |
||||
---|---|---|---|---|---|
区分名 | 想定世帯 | 貯湯缶数 | 貯湯容量 | 使用 | |
A | 少人数 | — | — | 一般地 | 3.0 |
B | 寒冷地 | 2.7 | |||
C | 標準 | 一缶 | 320L未満 | 一般地 | 3.1 |
D | 寒冷地 | 2.7 | |||
E | 320L以上 550L未満 |
一般地 | 3.5 | ||
F | 寒冷地 | 2.9 | |||
G | 550L以上 | 一般地 | 3.2 | ||
H | 寒冷地 | 2.7 | |||
I | 多缶 | — | 一般地 | 3.0 | |
J | 寒冷地 | 2.7 |
給湯省エネ事業の場合、年間給湯保温効率が3.6以上あれば、上記のすべての区分において条件を満たせます。
エコキュートはメーカーや機種によって異なりますが、フルオートタイプを購入しようとすると、400,000円~700,000円ほどします。高額な住宅機器なので、お得に購入するなら補助金を活用すべきですが、補助金制度によって対象となる機種は異なります。
そのため、エコキュートを購入する際は、補助金制度の条件を満たしている機種を選びましょう。
エコキュートを選ぶときの年間給湯保温効率の基準
エコキュートを選ぶときは年間給湯保温効率が3.6以上の機種を選びましょう。
年間給湯保温効率が3.6以上あれば、補助金制度での「省エネ性能の高いエコキュート」という条件を大抵満たしているので、補助金を受け取れる可能性が高いです。
2023年モデルのフルオートタイプの年間給湯保温効率は3.6~4.2が相場です。そのため、2023年に販売されたフルオートタイプなら数値は問題なく、あとは好きな機能や家族の人数にあった貯湯容量の機種を選べば良いです。
お湯を沸かすためのランニングコストを抑えたい方は、年間給湯保温効率が現時点での最高値である4.2の機種を選びましょう。ただし、4.2に到達しているエコキュートはメーカーと機種が限られており、選択肢が少ないです。
ご自身のライフスタイルや家族の人数などと合わない場合があるので、年間給湯保温効率にこだわり過ぎないように注意しましょう。
各メーカーの年間給湯保温効率は?
次の表はエコキュートメーカーの2023年時点でハイエンドモデルの年間給湯保温効率を比較したものになります。
メーカー | 年間給湯保温効率 |
---|---|
パナソニック | 4.0 |
三菱 | 4.2 |
ダイキン | 3.6 |
コロナ | 4.0 |
日立 | 4.2 |
東芝 | 3.6 |
2023年8月上旬時点で4.2を達成している機種は以下のとおりです。
- 三菱…SRT-P376UB
- 日立…BHP-FV37WD
どちらも貯湯容量が370Lなので、主に3人~4人用のフルオートタイプエコキュートになります。
三菱の「SRT-P376UB」はホットあわーやキラリユキープPLUS、バブルおそうじなど、三菱エコキュートのすべての機能を搭載しており、風呂時間を快適に過ごしたい方におすすめです。
日立の「BHP-FV37WD」はナイアガラ出湯を搭載した水道直圧給湯タイプです。エコキュートで沸かしたお湯を熱源にして水道水を温めるため、他のメーカーの機種に比べて水圧が強いという特徴があります。
年間給湯保温効率にこだわりつつ、機能性に優れた機種が欲しいなら三菱エコキュートを、強い水圧でシャワーを浴びたい方は日立エコキュートを検討してみましょう。
年間給湯保温効率以外でエコキュートを選ぶ基準
年間給湯保温効率以外でエコキュートを選ぶ基準は以下のとおりです。
- 給湯方法
- 搭載している機能
- 貯湯タンクユニットのサイズ
上記を順番に解説します。
給湯方法
エコキュートは給湯方法が3種類あり、次のように異なります。
- フルオートタイプ…お湯はりから追い焚き、ふろ保温までをボタン1つで行なう
- オートタイプ…お湯はりから追い焚きまでをボタン1つで行う
- 給湯専用…お湯はりは手動
フルオートタイプはボタン1つでお湯はりから追い焚き、ふろ保温まで行うことができ、大抵のメーカーでハイエンドモデルが販売されています。そのため、他の給湯方法に比べて相場は高いです。
一方、オートタイプや給湯専用タイプはふろ保温機能がありません。特に、給湯専用タイプは搭載している機能や省エネ性能が低い傾向があるので、価格が安いです。
お風呂を快適にしたい方はフルオートタイプ、エコキュートをお得に購入したい方はオートタイプや給湯専用タイプを検討してみましょう。
搭載している機能
エコキュートはメーカーや機種によって異なりますが、次のような機能を搭載しています。
- バブル機能…微細な泡により汚れを落とす機能
- UV機能…深紫外線により残り湯の雑菌の繁殖を防いでヌメリやニオイを抑える機能
- 湯温の切り替え機能…個々人の好みの湯温に切り替えられる機能
- アプリとの連動…スマートフォンアプリと連動して、外出先からでもお湯を沸かせる機能
エコキュートを選ぶ際は、好みの機能や使ってみたい機能を搭載している機種を選びましょう。
なお、お風呂の時間を快適にしたい方は、搭載している機能の数が多く、機能性にも優れているパナソニックや三菱のエコキュートがおすすめです。
貯湯タンクユニットのサイズ
エコキュートは貯湯式給湯器で、お湯を使いきってしまうと湯切れのリスクがあります。エコキュートのランニングコストは他の給湯器に比べて安いですが、湯切れが起きてしまい沸かし直しを繰り返すようだと、かえってコストがかかってしまいます。
そのため、家族の人数にあった貯湯タンクユニットのサイズを選ぶべきです。
次の表は、家族の人数と貯湯タンクユニットのサイズの目安になります。
家族の人数 | 貯湯タンクユニットのサイズ |
---|---|
5人~7人 | 550L |
4人~5人 | 460L |
3人~4人 | 370L |
2人~3人 | 300L |
1人~2人 | 185L |
あくまで目安ですが、貯湯タンクユニットのサイズを決める際の参考にしてください。
まとめ
以上が、エコキュートの年間給湯保温効率の解説になります。年間給湯保温効率は、エコキュートのフルオートタイプの省エネ性能を示す数値です。似たような数値に年間給湯効率があり、オートタイプと給湯専用タイプの省エネ性能を示します。
基本的に、年間給湯保温効率が高いほど省エネ性能に優れており、電気代が節約しやすいです。2023年時点でのフルオートタイプの年間給湯保温効率は3.6~4.2が目安で、0.1違うと電気代が年間約1,000円違う可能性があります。
電気代の節約を考えるなら年間給湯保温効率が高い機種を選びたくなります。しかし、実際の電気代はエコキュートの使い方やライフスタイル、契約している電気料金メニューによって異なります。
また、年間給湯保温効率が高い機種になると選択肢が少なくなります。そのため、エコキュートを選ぶ際は年間給湯保温効率が3.6以上で、ライフスタイルや家族の人数などにあった商品を選ぶと良いです。
「エコパパのお店」では、専門知識が豊富なスタッフが対応致します。様々なメーカーのエコキュートを販売しているので、お客様のライフスタイルや家族の人数などにあった機種をご提案いたしますので、エコキュートに興味がありましたら、ご相談ください。