エコキュートの沸き上げ時間の設定を変更する方法は?沸き上げが出来ない時の対処法も解説
2022年10月10日
エコキュートは貯湯式給湯器のため、沸き上げ時間の設定をきちんと行っておかないと、ランニングコストが高くなってしまう恐れがあります。また、電気料金が安い電力会社に変更した場合は、エコキュートの沸き上げ時間を変更しなければなりません。
そこで今回は、エコキュートの沸き上げ時間の設定を変更する方法を解説します。朝になっても、沸き上げが出来ていない時の対処法も紹介しますので、参考にしてください。
エコキュートの仕組み
一般的なガス給湯器は給水と同時に水を温めてお湯を作り、各所に給湯する瞬間式給湯器です。必要な時に、必要な量だけを沸かす仕組みになっています。
一方で、エコキュートは電気と空気の熱を利用してお湯を作る貯湯式給給湯器です。ヒートポンプユニットが空気から熱を取り出すとお湯を作り、貯湯タンクユニットで貯めておき、必要に応じて各所に給湯します。
つまり、エコキュートのような貯湯式給湯器はお湯を一定量沸かしてから使用する仕組みです。そのため、お湯を使いすぎると湯切れを起こし、お湯が湧き上がるまで待つ必要があります。
エコキュートのメリットは?
エコキュートのメリットは、ガス給湯器に比べてお湯を沸き上げるランニングコストを抑えられることです。次の表は、同じ湯量のお湯を沸き上げるのに必要な年間のランニングコストを比較したものです。
エコキュート | ガス給湯器 | |
---|---|---|
北海道電力エリア | 約32,400円 | 約109,200円 |
東北電力エリア | 約21,600円 | 約104,400円 |
北陸電力エリア | 約20,400円 | 約118,800円 |
東京電力エナジーパートナーエリア | 約24,000円 | 約78,000円 |
中部電力エリア | 約24,000円 | 約87,600円 |
関西電力エリア | 約20,400円 | 約81,600円 |
中国電力エリア | 約22,800円 | 約112,800円 |
四国電力エリア | 約26,400円 | 約99,600円 |
九州電力エリア | 約18,000円 | 約108,000円 |
沖縄電力エリア | 約10,800円 | 約54,000円 |
表はあくまでも目安で、家族の人数やライフスタイルによっては支払う金額は増えるかもしれません。しかし、表にあるようにエコキュートはガス給湯器よりも、お湯を作るコストを抑えることが可能です。
エコキュートの沸き上げにかかる時間
エコキュートの沸き上げにかかる時間は季節や機種によって差はありますが、冬場でも8時間あればタンクが全量になるように設計されています。
エコキュートは空気の熱を利用する給湯器です。そのため、外気温が下がる冬場は給湯効率が下がる傾向があります。しかし、三菱電機の公式発表によると、冬場でも1時間に約40L~60Lの沸き上げが可能で、7時間~8時間でタンク全体が満タンになるとあります。
東芝やパナソニック、ダイキンなどの主要なメーカーの公式発表や取扱説明書にも同様の記載があるため、8時間あればタンクが満タンになると覚えておきましょう。
どれぐらいのお湯が沸いていればお湯はりはできるの?
エコキュートは沸き上げ中でも、沸いている分を使用できます。メーカーや機種によって違いはありますが、160L~200L程度の浴槽なら残湯量表示のメモリが2~3程度あれば、お湯を張ることは可能です。
ただし、2~3程度だとお湯を張ることはできても、自動保温や追い焚きなどは行えない可能性があります。
また、タンクが満タンになるまで沸き上げる設定だと、沸き上げ中にお湯を使用すると沸き上げが完了するまでの時間が延びてしまいます。沸き上げの時間が延びると電気料金が高くなってしまうので、注意しましょう。
エコキュートが夜にお湯を沸き上げる理由
エコキュートは基本的にお湯を夜間に沸き上げて、昼間に消費する給湯器です。
湯切れが起きたら昼間でも沸き上げる設定はありますが、夜間に沸き上げるのは、夜間のほうが電気料金が安いからです。
エコキュートを購入すると、電力会社の料金プランをオール電化住宅向けのプランに変更します。例えば、中部電力ミライズでは、次のようなオール電化住宅向けのプランがあります。
時間帯区分(平日) | 1kWhあたりの電力量料金 | |
---|---|---|
スマートライフプラン | デイタイム:10時~17時 @ホームタイム:17時~22時 ナイトタイム:22時~8時 @ホームタイム:8時~10時 |
デイタイム:38.71円 @ホームタイム:28.52円 ナイトタイム:16.30円 |
スマートライフプラン朝とく | デイタイム:10時~17時 @ホームタイム:17時~23時 ナイトタイム:23時~9時 @ホームタイム:9時~10時 |
|
スマートライフプラン夜とく | デイタイム:10時~17時 @ホームタイム:17時~21時 ナイトタイム:21時~7時 @ホームタイム:7時~10時 |
オール電化住宅向けのプランごとに1kWhあたりの電力量料金や時間帯区分は異なりますが、基本的に昼間時間よりも夜間時間のほうが電気料金は安くなります。
エコキュートのランニングコストが安い理由の1つに、電気料金が安い夜間に沸き上げを行っていることも挙げられます。
エコキュートの沸き上げ時間の設定を変更する方法
エコキュートの沸き上げ時間はリモコンユニットで変更できます。
ただし、メーカーや機種によって操作方法や手順が異なる場合があるので、沸き上げ時間を変更したい時は取扱説明書を確認しましょう。今回はダイキンのEQ37WFVを例にして、沸き上げ時間の設定を変更する方法を紹介します。
ダイキンのEQ37WFVの沸き上げ時間の設定は3つあります。
- ピークカット設定
- 昼間シフト設定
- 電力契約設定
契約した電力会社や太陽光発電システムの有無によっておすすめの設定は異なります。上記の沸き上げ時間の設定を順番に解説します。
ピークカット設定
ピークカット設定とは、設定した時間帯では沸き上げ運転を行わない設定です。
手順は以下のとおりです。
1.「メニュー」を押す
2.「ピークカット設定」を押す
3.「入」で開始時刻を設定する
4.「切」で終了時刻を設定する
例えば、「入」で開始時刻を13時、「切」で終了時刻を16時とした場合、13時~16時までは湯切れが起きたとしても、沸き上げをしなくなります。
ダイキンのEQ37WFVは、通常設定だと23時から自動で沸き上げを行いますが、タンクの湯量が一定以下に達すると、昼間でも自動的にお湯を沸かそうとします。
しかし、ピークカット設定をしていると、設定した時間帯では沸き上げをしません。つまり、ピークカット設定は昼間の沸き上げを制限する設定です。
中部電力ミライズのスマートライフプランは10時~17時がデイタイムで電気量料金が高くなっています。ピークカット設定で10時~17時の沸き上げを制限しておけば、光熱費の節約につながります。
昼間シフト設定
昼間シフト設定は、太陽光発電システムの電力を利用して沸き上げる設定です。手順は以下のとおりです。
1.「メニュー」を押す
2.「昼間シフト設定」を押す
3.「1日」「毎日」のどちらかを選択する
4. 開始時刻を設定する
ダイキンのEQ37WFVは通常の設定だと23時から7時までに沸き上げを行います。しかし、昼間シフト設定で開始時刻を10時としておけば、設定した時間から沸き上げを行いお湯が満タンになるように沸かします。
昼間にお湯を沸かすため、夜間の沸き上げ時間が短縮されます。また、昼間の沸き上げは太陽光発電システムの電力を使用するので、デイタイムであっても電気量料金は発生しません。
つまり、昼間シフト設定を行えば、エコキュートでお湯を沸かすランニングコストを節約できます。
ただし、昼間シフト設定は太陽光発電システムを設置していることが前提の設定です。また、天気が曇りや雨だと発電量が減ってしまうため、沸き上げに必要な電力量を確保できないことがあります。
昼間シフト設定を行う時は、翌日の天気を確認してから、設定を行うようにしましょう。
電力契約設定
電力契約設定は、契約している電力会社の契約プランに合わせて沸き上げ時刻を変更する設定です。手順は以下のとおりです。
1.「メニュー」を押す
2.「初期設定」を押す
3.「電力契約設定」を押す
4.「電力プラン設定」を押す
5. 契約している電力会社の電力プランを選択する
例えば、中部電力ミライズのスマートライフプランに加入している方は、「電力会社」は中部電力ミライズを選択し、「電力プラン」をスマートライフプランにすれば、電力量料金が安い時間帯に沸き上げを始めるようになります。
電力契約設定のメリットは、土日や夏季、冬季などの季節に合わせて沸き上げ時刻を細かく設定できることです。
中部電力ミライズのスマートライフプランの場合、平日と土日ではデイタイムやナイトタイムの時刻が次のように異なります。
時間帯区分 | |
---|---|
平日 | デイタイム:10時~17時 @ホームタイム:17時~22時 ナイトタイム:22時~8時 @ホームタイム:8時~10時 |
土日 | @ホームタイム:8時~22時 ナイトタイム:22時~8時 |
夏季や冬季で昼間の割高な時間帯が異なる料金プランもあるので、電力会社によっては電力契約設定にしないとランニングコストが高くなってしまうことがあるので注意しましょう。
なお、エコキュートに電力会社や契約プランが登録されていない可能性はあります。登録されていない場合は、マニュアル設定で沸き上げ時刻を調整しましょう。手順は以下のとおりです。
1.「メニュー」を押す
2.「初期設定」を選択する
3.「電力契約設定」を選択する
4.「マニュアル設定」を選択する
5.「かんたん設定」「ほんかく設定」のどちらかを選択する
「かんたん設定」は夜間時間帯の開始時刻と終了時刻を選択する設定です。初期設定だと23時~7時が夜間時間帯となっているので、契約しているプランの時間帯に合わせます。平日や土日の区別はなく、夏季や冬季でも同じ時間帯に沸き上げを行います。
「ほんかく設定」は夏季、あるいは冬季を設定して夜間時間帯の開始時刻と終了時刻を設定できます。季節ごとの平日と土日の沸き上げ時間帯を設定できるので、細かく設定することが可能です。
エコキュートの沸き上げが出来ないときの対処法
夜間時間帯だけでエコキュートの沸き上げが完了しておらず、満タンになっていない時は、次の原因が考えられます。
- エコキュートの沸き上げ時間が足りない
- 夜間にお湯を使っている
- 冬になって外気温が下がった
- タンクや配管からお湯が漏れている
エコキュートの沸き上げが出来ていない時の原因について、順番に対処法を解説します。
エコキュートの沸き上げ時間が足りない
エコキュートは8時間もあればタンクが満タンになるほどのお湯を沸かすことができます。しかし、エコキュートの沸き上げ時間を変更すると、沸き上げの時間が足りなくなって、沸き上げが出来ていないことがあります。
朝になってエコキュートが満タンになっていない時は、沸き上げ時間を見直してみましょう。
夜間にお湯を使っている
夜間にお湯を大量に使用すると、夜間時間帯だけでは沸き上げが終わらないことがあります。お湯を使う量や時間帯などを見直すと、改善されることがあります。
冬になって外気温が下がった
冬になって外気温が下がると、給湯効率が低下して沸き上げ量が減ってしまいます。春~秋と同じようにお湯を使っていると冬場に湯切れが起きる確率が高くなります。
冬場はお湯の消費量が増加しやすいので、沸き上げる量を増やしたり、沸き上げ時間を延ばしたりするなどの対処法を試すと良いです。
タンクや配管からお湯が漏れている
沸き上げが出来ない原因が上記に当てはまらない場合は、タンクや配管からお湯が漏れている可能性があります。
リモコンにエラーコードが表示されていないか確認し、場合によっては修理業者をよぶことをおすすめします。
まとめ
以上が、エコキュートの沸き上げ時間の設定を変更する方法です。沸き上げ時間の設定は3種類あり、契約者の状況や料金プランに合った設定方法を選ぶと良いです。
ただし、沸き上げ時間を変更すると、沸き上げが朝までに終わらないこともあるので、状況に応じて時間帯を延ばしたり、沸き上げ量を増やしたりするなどの対処を行いましょう。
「エコパパのお店」では、専門知識が豊富なスタッフが対応いたします。購入してから、エコキュートの沸き上げ時間が分からない時は、ぜひご相談ください。