エコキュートはどんな人におすすめ?給湯タイプごとのメリットやデメリットも解説
2022年7月12日
エコキュートは省エネ性能の高い給湯器システムで、太陽光発電システムや蓄電池との相性が良いです。そのため、ガス給湯器からエコキュートへ交換する人は増えています。
しかし、水道直圧式給湯器のガス給湯器に比べると、貯湯式給湯器のエコキュートは仕組みや、メリット・デメリットが違うので、人によってはおすすめできません。
そこで今回は、エコキュートのメリットやデメリットから、どんな人におすすめなのか分かりやすく解説します。給湯タイプごとのメリットやデメリットも紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
エコキュートの仕組み
エコキュートは電気と空気の力を使ってお湯を作る貯湯式給湯器システムです。エアコンにも用いられているヒートポンプユニットが外気を取り込み、圧縮して発生した熱で水を沸かしてお湯を作ります。
ヒートポンプユニットが作ったお湯は貯湯タンクユニットにて保温され、必要に応じて水道水で温度を下げてシャワーや蛇口など各所に給湯されます。温度の設定やお湯はりなどの機能はリモコンで操作可能です。
どのメーカーのエコキュートも基本的な仕組みは同じです。しかし、機能や年間給湯保温効率などはメーカーや機種によって異なるので、購入する際は比較しましょう。
エコキュートのメリット
エコキュートを購入するメリットは以下のとおりです。
- ランニングコストを節約できる
- 非常時にお湯を貯めておくことができる
- 太陽光発電システムとの相性が良い
上記のメリットを順番に解説します。
ランニングコストを節約できる
エコキュートを購入する最大のメリットはお湯を作るためのエネルギーが少なくなるので、ランニングコストを節約できることです。
エコキュートは電気と空気の力でお湯を作る給湯器で、一般的なガス給湯器や電気温水器と比べると、同じ湯量を少ないエネルギーで沸かすことができます。
次の表は、エコキュートと他の給湯器のランニングコストを比較したものになります。
エコキュートの年間のランニングコスト(税込) | ガス給湯器の年間ランニングコスト(税込) | 電気温水器の年間ランニングコスト(税込) | 石油給湯器の年間ランニングコスト(税込) | |
---|---|---|---|---|
北海道電力エリア | 約32,400円 | 約109,200円 | 約108,000円 | 約81,600円 |
東北電力エリア | 約21,600円 | 約104,400円 | 約80,400円 | 約73,200円 |
北陸電力エリア | 約20,400円 | 約118,800円 | 約82,800円 | 約72,000円 |
東京電力エリア | 約24,000円 | 約78,000円 | 約102,000円 | 約67,200円 |
中部電力エリア | 約24,000円 | 約87,600円 | 約99,600円 | 約68,400円 |
関西電力エリア | 約20,400円 | 約81,600円 | 約86,400円 | 約64,800円 |
中国電力エリア | 約22,800円 | 約112,800円 | 約91,200円 | 約68,400円 |
四国電力エリア | 約28,800円 | 約99,600円 | 約126,000円 | 約67,200円 |
九州電力エリア | 約18,000円 | 約108,000円 | 約78,000円 | 約66,000円 |
沖縄電力エリア | 約10,800円 | 約54,000円 | 不明 | 約56,400円 |
表のランニングコストはあくまでも目安で、家族の人数やライフスタイルによって変動します。しかしエコキュートは他の給湯器に比べてランニングコストが安いのは、どのエリアでも共通しています。
非常時にお湯を貯めておくことができる
エコキュートの貯湯タンクユニットは外部からお湯を取り出すことができます。地震や災害などで断水が起きたとしても、貯湯タンクユニットにお湯が残っていれば、非常時に利用できることもエコキュートのメリットです。
一般的なエコキュートの貯湯容量は370Lで、2Lのペットボトルに換算すると約175本分になります。2Lの水を175本も保存しておくのは一般家庭だと難しいことを考えると、エコキュートが非常時にあるのは大変心強いです。
ただし、エコキュートのお湯は飲料水としては使用できません。体を拭いたり、トイレの排泄物を流したりする生活用水として使用しましょう。
太陽光発電システムとの相性が良い
エコキュートの最後のメリットは、太陽光発電システムとの相性が良いことです。
エコキュートは電気で稼働する住宅機器なので、自宅に太陽光発電システムがあれば、電気を電力会社から購入せずに賄うことができます。また、蓄電池があれば、昼間に発電した電力を貯めて、夜中にエコキュートを動かすのに消費するといった使い方も可能です。
太陽光発電システムで発電した余剰電力は電力会社に売ることができます。しかし、設置してから10年が経過すると売電価格は大きく減ってしまうので、発電した電力を売るよりも、自分で消費する自家消費にシフトした方がお得になります。
つまり、太陽光発電システムとエコキュートをセットで運用していれば、売電価格が下落しても、スムーズに自家消費に移行できるというメリットがあります。
エコキュートのデメリット
エコキュートを購入するデメリットは以下のとおりです。
- 初期費用が高い
- 貯湯式給湯器なので湯切れのリスクがある
- シャワーの水圧が弱い
- 電気料金が高くなる恐れがある
上記のデメリットを順番に解説します。
初期費用が高い
エコキュートの本体価格や工事費用を含めた初期費用は、ガス給湯器に比べると高い傾向があります。
商品にもよりますが、ガス給湯器の初期費用の相場は15万円~40万円に対して、エコキュートは50万円前後となっています。
ただし、エコキュートも機種によっては35万円前後で購入できるケースがあります。また、ランニングコストがガス給湯器よりも安いので、最終的なトータルコストでガス給湯器よりもお得になる可能性は高いです。
貯湯式給湯器なので湯切れのリスクがある
エコキュートはお湯を作って貯めておく貯湯式給湯器です。基本的に、お湯は電気料金が安い夜間に作り、日中に消費する仕組みですが、お湯を使いすぎてしまうと湯切れを起こしてしまいます。
湯切れになると、お湯を使うことはできません。その場合、電気料金が高い日中にお湯を作ることになるので、ランニングコストが高くなってしまう恐れがあります。
最近のエコキュートはAIによってお湯の消費量を計測し、最適な湯量になるように沸かします。そのため、不意の来客などが無ければ湯切れを起こすようなことはありませんが、エコキュートを使用している時は残湯量に注意しましょう。
ガス給湯器に比べるとシャワーの水圧が弱いと感じる
エコキュートはお湯を貯湯タンクユニットに貯めておく際に減圧をしています。水道水の圧力を減らさずに貯湯しておくと、タンクが圧力に負けて破損する恐れがあるからです。
そのため、水道水の水圧を利用しているガス給湯器に比べると、エコキュートはシャワーの水圧が弱く感じる方もいます。しかし、最近はパワフル高圧給湯タイプも販売されており、給湯圧力が300kPa前後の機種もあります。エコキュートのシャワー圧力が弱くて物足りないという方は、高圧タイプの機種を選んだり、低水圧用シャワーヘッドを利用する方法もあります。
電気料金が高くなる恐れがある
エコキュートを購入すると、夜間の電気料金は安く、日中の電気料金が高い料金プランに変更します。次の表は東京電力エナジーパートナーのエコキュート向け料金プランをまとめたものです。
電力量料金(1kWh) | ||
---|---|---|
午前6時~翌午前1時 (昼間料金) |
午前1時~午前6時 (夜間料金) |
|
スマートライフS | 25.80円 | 17.78円 |
スマートライフL | ||
スマートライフプラン(※) |
(※)記事執筆時点では新規加入の受付を停止しております。
表にあるように、エコキュート向けの料金プランは昼間の電力料金が高くなります。そのため、リモートワークで在宅勤務している、あるいは専業主婦で日中に家事をしていると、お風呂のランニングコストを抑えても、全体の電気料金が高くなる可能性があります。
エコキュートがおすすめの人の特徴
エコキュートを購入するメリットとデメリットをまとめると以下のとおりです。
メリット | 光熱費を節約できる 非常時にお湯を貯めておくことができる 太陽光発電システムとの相性が良い |
---|---|
デメリット | 初期費用が高い 貯湯式給湯器なので湯切れのリスクがある シャワーの水圧が弱い 電気料金が高くなる恐れがある |
上記のメリット、デメリットを考えると、エコキュートがおすすめの人の特徴は以下のとおりです。
- お風呂のトータルコストを節約したい方
- オール電化住宅に興味がある方
- 日中に家に人がいない方
- 非常時に備えておきたい方
上記の特徴を順番に解説します。
お風呂のトータルコストを節約したい方
エコキュートはお湯を沸かすためのランニングコストが他の給湯器に比べて安いです。初期費用こそ高いですが、ランニングコストの差額により、最終的なトータルコストはエコキュートの方が抑えられています。
そのため、お風呂のトータルコストを節約したい方におすすめの給湯器になります。
オール電化住宅に興味がある方
エコキュートはオール電化住宅を目指す上で重要な住宅機器の1つです。太陽光発電システムや蓄電池との相性が良く、一緒に運用すればエネルギーを自分で賄うZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス) を実現することもできます。
そのため、オール電化住宅に興味がある方や目指している方はエコキュートの購入を検討してみましょう。
日中に家に人がいない方
エコキュートを購入すると、夜間の電気料金が安くなる料金プランに変更します。そのため、日中に人が家に居ると、全体の電気料金が高くなってしまう恐れがあります。
太陽光発電システムや蓄電池を導入すれば、日中の電気使用量が節約できますが、エコキュートは日中に家に人がいない家庭におすすめです。
非常時に備えておきたい方
エコキュートがあれば、2Lのペットボトル約175本分の生活用水を確保できます。また、太陽光発電システムや蓄電池を併用していれば、停電や断水といった非常事態でも、普段通りに近い生活を送ることが可能です。
そのため、台風や地震などの非常時に備えておきたい方は、エコキュートを購入してみましょう。
エコキュートの給湯タイプ
エコキュートの給湯タイプは大きく分けて3種類あります。
- フルオートタイプ
- オートタイプ
- 給湯専用タイプ
給湯タイプごとのメリットやデメリットを順番に解説します。
エコキュートのフルオートタイプ
フルオートタイプとは、ボタン一つでお湯はりが開始して、自動保温や自動たし湯まで自動で管理される給湯タイプです。
メーカーによって細かい部分は異なりますが、湯温と水位を一定時間自動的に保つので、どのタイミングでお風呂に入っても快適な気分を味わえます。また、追い焚きも可能となっているので、冷めたお湯を温める際にお湯の消費量を抑えられます。
便利で快適な給湯タイプになりますが、オートタイプや給湯専用タイプに比べて料金が高い傾向があります。そのため、次のような人におすすめのエコキュートになります。
- お湯はりや保温を機械に任せたい人
- エコキュートの値段にこだわらない人
エコキュートのオートタイプ
オートタイプは自動でお湯はりが可能な給湯タイプです。ふろ自動のボタンを押せば、設定した湯温と水位まで自動的にお湯を張ります。メーカーによっては、セミオートタイプと記載されています。
フルオートタイプと違って、さし湯やたし湯は自動で行われません。また、追い焚き機能が付いていないので、お湯を温めるとお湯の消費量が増えてしまいます。
一方で、フルオートタイプに比べると価格が抑えられているというメリットがあります。そのため、次のような人におすすめのエコキュートです。
- お湯はりを自動で行ってもらいたい人
- エコキュートの価格を抑えたい人
エコキュートの給湯専用タイプ
給湯専用タイプは、お湯はりを自分で調節する必要がある給湯タイプです。蛇口を自分で開き、タイミングを見計らって閉める必要があります。
機種によっては「お湯はりお知らせ」ボタンがあります。リモコンが設定温度やお湯はりの手順を説明し、設定した水位に達したら知らせてくれる機能です。音楽や音声で知らせてくれるので、お湯が浴槽から溢れるのを防ぐことができます。
フルオートタイプやオートタイプに比べると、自分で給湯するという手間があります。また、他の給湯タイプに比べて機能数が少ないのも特徴です。一方で、他の給湯タイプに比べて本体価格は安く設定されています。
そのため、次のような人におすすめの給湯タイプです。
- エコキュートに多くの機能を求めていない人
- エコキュートの価格を抑えたい人
まとめ
以上が、エコキュートがおすすめの人の特徴になります。エコキュートはお湯を作るためのランニングコストが抑えられており、太陽光発電システムや蓄電池との相性が良いです。
そのため、光熱費のトータルコストを節約したい方や太陽光発電システムを導入したい方におすすめの給湯器システムになります。
ただし、エコキュートはメーカーや機種によって性能や機能が異なるので、どれを購入すればいいのか迷ってしまいます。「エコパパのお店」はエコキュートの専門知識を身に着けたスタッフが対応しますので、エコキュート選びで迷ったら、ぜひご相談ください。