エコキュートはヒートポンプのみ交換できる? その際の値段や注意点について解説!
2025年4月25日

導入にあたっては条件付きで補助金の支給を受けられるなど、国を挙げて設置が後押しされている高効率給湯器の「エコキュート」。
従来の給湯設備と比べると初期費用の高さがネックになるものの、一定期間以上の稼働で充分に償却されるすぐれたランニングコスト性能と環境にやさしいクリーンさからますます普及が進んでいます。
そんなエコキュートは大きく分けて貯湯タンクユニットとヒートポンプユニットで構成されていますが、仮にどちらか片方のみを交換したという場合には対応が可能なのでしょうか。
本記事ではエコキュートのヒートポンプのみを交換することが可能であるのかどうか、またその際にかかる費用や注意点を踏まえて解説します。
エコキュートの「ヒートポンプユニット」とは?
最初にエコキュートのヒートポンプユニットとは何のことかについておさらいしておきましょう。
これは熱交換装置の一種で、エアコンの室外機と同様の設備です。
内部には「冷媒」と呼ばれる気体(二酸化炭素)が循環しており、これに空気中の熱を吸収させて圧縮すると、気体の性質により高温となります。そしてその熱を水に移していくことによってお湯を沸き上げるのがエコキュートの基本的な仕組みです。
なお、水に熱を伝えた後の冷媒は減圧して開放することにより逆に温度が下がるため、再び空気中の熱を集めては圧縮・温度上昇のサイクルを繰り返します。
ヒートポンプはエコキュートの心臓部といえる装置であり、この作用によって少ない電力で効率的にお湯をつくることを可能としています。
なお、ヒートポンプでつくったお湯は貯湯タンクユニットにためておき、必要に応じて水で割りながら給湯するように設計されています。
ヒートポンプのみ交換可能なのはダイキンだけ?
それでは、エコキュートにおいてヒートポンプのみの交換ははたして可能なのでしょうか。
結論からいうとダイキン製エコキュートのみが、ヒートポンプだけの交換に対応しています。
それというのもヒートポンプと貯湯タンクはワンセットであることが原則であり、ダイキンのみが交換専用のヒートポンプユニットをラインナップしているためです。
他のメーカー品でも理論上はヒートポンプユニットのみの交換は不可能ではありませんが、流通の問題だけではなく安全上のリスクも踏まえて推奨される措置ではないといえるでしょう。
したがって本件の問いについてはごくシンプルに、「ヒートポンプのみの交換はダイキン製エコキュートだけ可能」と覚えておきましょう。
ヒートポンプ交換時期の目安は?
ではエコキュートのヒートポンプ交換を考える際、具体的な故障が発生した場合は別としてどれくらいの期間で実施するのが適切なのでしょうか。
エコキュートのヒートポンプの寿命はおおむね10年程度とされていることから、一般論としては稼働から10年を経過した頃に交換を検討するのがセオリーとされています。
ただしワンセットである貯湯タンクは10年~15年ほどの耐久性があるとされており、ダイキン製品以外ではヒートポンプのみの交換はできないため自然にエコキュート本体を丸ごと更新することが推奨されるようになります。
とはいえ状況によっては15年以上にわたって安定稼働している事例もあることから、実際にはケースバイケースといえるでしょう。
あくまでも機械的な耐用年数の安全範囲として、10年程度を目安としていると理解できます。
エコキュートのヒートポンプのみ交換する際の費用は?
ダイキン製エコキュートに限られることですが、ヒートポンプのみの交換では費用はいくら位になるのでしょうか。
同社がラインナップしている交換用ヒートポンプは、工事費用とあわせて35万円~50万円程度が相場とされています。
当然ながら本体を丸ごと更新することに比べると総体的な費用を抑えることが可能ですが、エコキュート自体の交換費用が35万円~70万円ほどとされることを考慮した場合、むしろヒートポンプのみの交換では非効率であるケースも発生します。
エコキュート全体としての稼働状況や省エネ性能の現状を鑑みつつ、本当にヒートポンプのみの交換が適切な処置であるのかどうかをよく検討することが肝要です。
エコキュートのヒートポンプのみ交換する際の注意点は?
ダイキン製エコキュートのみがヒートポンプだけを交換できることがわかりましたが、実際に作業を行う際にはどのような点に注意すればよいのでしょうか。
もちろんメーカーが推奨する正規の方法であるため問題はありませんが、交換の際にいくつかのハードルが現れる場合もあります。
以下にそうした例を3件見てみましょう。
止水栓の有無による水抜き作業の発生
ヒートポンプユニットのみを交換する際に気を付けなくてはならない点として、旧型品と新型品に機能面や構造の差があるケースが挙げられます。
たとえば旧品に止水栓が取り付けられていない場合には、貯湯タンク内の水をすべて抜いてから作業を行う必要があります。
そのため水抜きに要する時間を含めて作業が長時間化することがあり、ヒートポンプの構造をよく理解しておくことがポイントです。
もっとも実際に作業を行うのは専門業者であるため心配はいりませんが、作業時間の見積りを含めて事前に把握しておきましょう。
ヒートポンプ外観色の違い
ダイキン製エコキュートのヒートポンプユニットは、標準型がアイボリーホワイトのカラーとなっています。
一方耐塩害仕様および耐重塩害仕様はいずれもライトキャラメルの色に塗装されており、旧品と新品で色が異なる可能性がある点に注意しましょう。
地域や環境によっては新たに塩害対策が施されたモデルを採用したいというケースも考えられますが、そうした場合にヒートポンプユニットの色が変わることによって景観にも影響することを理解しておくのがポイントです。
もっとも、カラーに対して特段のこだわりがなければ問題はありませんが、ダイキンのヒートポンプユニットは仕様の違いを一目で識別できるカラーリングが施されていることを覚えておきましょう。
貯湯タンクユニットの保証期間は据え置き
エコキュートにおいてヒートポンプユニットのみを交換する際、よくよく認識しておかなくてはならないのは貯湯タンクユニットは古いままであるため保証期間が延びることはないという点です。
ヒートポンプユニットが新しくなったためにエコキュート全体の寿命が延びたようにも感じてしまいそうですが、当然ながら貯湯タンクの保証期間は据え置きです。
したがって、もし保証期間が切れた後に貯湯タンクに不具合が発生したら全額を自腹で修理するか、あるいはこれも交換しなくてはならない事態が起こり得ます。
そうなった場合にはヒートポンプの代金・工事費に加えて貯湯タンクの費用も発生するため、総額ではエコキュート全体を新品に交換するよりも高くついてしまう場合があります。
ヒートポンプだけが新しくなっても全体に耐用年数が差し迫っている場合には、はたして一部のみの交換で充分に対応できるかどうかをよく検討することが重要です。
ヒートポンプのみの交換とエコキュート自体の更新を比較検討することが重要
これまで見てきたように、ダイキン製エコキュートであればヒートポンプのみを交換することが可能で専用の製品も用意されています。
しかし繰り返し述べてきたように、実際にヒートポンプのみの交換がベストな方策であるのかをよく吟味することをおすすめします。
特に10年以上など一定期間を超えて稼働しているエコキュートである場合、仮に現状では特段の問題がなくとも確実に劣化や不具合の可能性は増加しています。
また、その間にエコキュートの各モデルは進化を続けているため、性能面での向上も目をみはるものがあるでしょう。
そうした場合にヒートポンプユニットだけが新しくなったとしても本体のリモコンや貯湯タンクユニットに不具合が生じた場合には、それぞれ個別に対応しなくてはなりません。
前項でも触れたように保証期間が過ぎた場合にはさらに高額出費のリスクも高まることから、いっそのことエコキュート全体を新品に買い替えた方がかえって効率がよいというケースは珍しくありません。
そのため、総合的に見た場合にヒートポンプの交換とエコキュート自体の更新のどちらが費用対効果は高いのか、しっかりと比較検討することが肝要です。
DIYでのヒートポンプ交換はNG!
なお、蛇足ながらヒートポンプのみの交換を受け付けていない他のメーカー品についても、理論上は可能であってもDIYによる作業は絶対に避けましょう。
仮にヒートポンプの据え付けに関わるあらゆる資格を有していたとしても、そもそもメーカー自身が行っていない工事を手掛けるのはリスクしかありません。
万が一事故や故障があっても補償の対象になるとは考えにくく、ともすれば漏電や発火など多くの人の生命を危険にさらす事故すら生じかねません。
そのため、たとえ自信があったとしてもDIYによるエコキュートのヒートポンプ交換はNGです。
まとめ
最後まで記事をご覧いただきありがとうございました。
この記事ではエコキュートはヒートポンプのみの交換ができるのか、できるとしたらその値段はいくらくらいになるのかについて解説しました。
結論からいうとヒートポンプのみの交換を受け付けているのはあらゆるメーカーの中でダイキンだけであり、それも結果としてはエコキュートを丸ごと買い換えた方がお得になる場合もあることを述べました。
いずれにせよ、総合的かつ将来的なメリットを勘案しつつ充分に検討することが重要です。
1998年に創業した「エコパパのお店」は、エコキュート設置の専門店です。
関東・関西・中部・中四国・九州の各エリアに拠点を持ち、地域に寄り添った迅速・丁寧なサービスでこれまでに20,000件以上の施工実績を有しています。
エコキュートの設置や買い替えなど、関連する設備の施工についてご検討中のことがございましたら、ぜひお気軽にお問い合せくださいませ。