エコキュートは井戸水に対応しているの?井戸水対応のメーカーを選ぶメリットやデメリットを解説
2022年7月23日
エコキュートの公式サイトや説明書には「井戸水や地下水での使用には適していない」といった記載がされています。対応していないエコキュートを無理に井戸水の環境で使用すると故障する恐れがあります。
一方で、井戸水に対応しているエコキュートを販売しているメーカーも多くあります。
そこで今回は、井戸水に対応しているエコキュートメーカーについて解説します。井戸水に対応しているエコキュートを選ぶメリットやデメリットも紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
井戸水とは?
一般家庭では浄水場から配管を通って水道水が給水され、蛇口を捻ると水を利用できます。しかし、住んでいる場所によっては配管が通っておらず、自費で工事をしないと水道水を利用できないケースがあります。
配管の延長工事は長さや状況によって金額が異なりますが、新しく引く場合の工事費用は30万円~50万円、自治体に支払う水道負担金が10万円~20万円、給水管を移設・増設する必要があるなら追加で3万円~10万円ほどの費用が発生します。
水道工事の諸費用を合計すると100万円前後の出費となるため、人によっては水道水ではなく井戸水を使用することがあります。
現代の井戸水は地中にある水脈から電動ポンプで直接水をくみ上げているので、水道水のように処理はされておらず、地下水とほとんど同じだと考えて良いです。
そのため、井戸水にはカルシウムやマグネシウムなどの不純物が多く含まれています。
エコキュートは不純物に弱い
エコキュートは電気と空気の力によってお湯を作る貯湯式給湯器システムです。ヒートポンプユニットが空気を圧縮して熱を取り出すと、熱交換器で水に熱を移して温めることでお湯を作ります。
しかし、水道水のなかにカルシウムやマグネシウムなどの不純物が多く含まれていると、熱交換器で温められる際に固形物となる恐れがあります。固形物は小さくても、エコキュートを使用し続けると大きくなっていき、最終的には目詰まり(スケール)の原因となります。
つまり、不純物が多く含まれている井戸水や地下水でエコキュートを使用していると、エコキュートの故障する確率は高いです。そのため、井戸水対応の機種は限られており、井戸水・地下水に対応したエコキュートの導入が必要になります。
大手エコキュートメーカーでは井戸水に対応したエコキュートを販売しているので紹介します。
井戸水に対応しているエコキュートメーカー
井戸水に対応している大手エコキュートメーカーは以下のとおりです。
- 日立
- ダイキン
- パナソニック
上記のメーカーの井戸水対応型エコキュートについて解説します。
日立
日立では、硬度の高い井戸水や地下水に対応できる「ナイアガラ タフネス」仕様のエコキュートを販売しています。「ナイアガラ タフネス」の主な特徴は以下のとおりです。
- 水道直圧給湯を採用
- 腐食に強い給湯配管を実現
- 無償保証期間が5年間と長い
「ナイアガラ タフネス」の最大の特徴はエコキュートなのに水道直圧給湯を採用していることです。一般的なエコキュートは空気の熱で温めて作ったお湯を貯湯タンクユニットに貯めて、必要に応じて各所に給湯します。
日立の「ナイアガラ タフネス」は空気の熱で作ったお湯を貯湯タンクユニットに貯めておき、そのお湯の熱で井戸水を温めます。つまり、お湯はりやシャワーなど家庭に給湯されるお湯は、井戸水をそのまま汲み出した物です。
水道直圧給湯を採用したことでタンクの水の入れ替え量が従来の30分の1にまで低減しており、カルシウムなどの不純物が沈殿するのを抑えています。そのため、「ナイアガラ タフネス」では目詰まりが起きにくく、故障しにくいです。
また、家庭に給湯される井戸水を流す配管はステンレス配管と樹脂製継ぎ手部品を採用しているため腐食に強いです。
他にも、「ナイアガラ タフネス」では無償保証期間が5年間と長いこともポイントに挙げられます。トラブルが起きやすい井戸水に対応しているエコキュートの保証期間が長いと、安心して利用できます。
ダイキン
ダイキンはすべてのエコキュートが井戸水や地下水に対応しています。独自の水質判定基準で検査を行い問題が無ければ、どのダイキンエコキュートでも設置可能です。
また、井戸水や地下水を利用している家庭にダイキンエコキュートを設置した場合、従来のメーカー保証とは別に、水熱交換器の3年保証が付きます。主にスケール詰まりが発生した時に対応してくれる保証となっています。
なお、ダイキンの水質検査費16,500円(税込)はお客様負担となりますが、検査でエコキュートが設置できないと判明したら検査費を支払う必要はありません。
井戸水や地下水、あるいは硬度や鉄分が多い水道水を利用している方でエコキュートに興味があるなら、ダイキンの水質検査を受けてみましょう。
パナソニック
パナソニックは独自の水質検査基準を満たしている井戸水なら、エコキュートを設置できます。そのため、ダイキンと同様に井戸水の検査を依頼します。
検査が問題なければ、2011年4月以降に発売されたパナソニックエコキュートなら、どれでも設置可能です。なお、水質検査費16,500円(税込・送料別途)はエコキュートが使用可能な場合のみ支払います。
井戸水対応エコキュートを利用するメリット
井戸水に対応しているエコキュートを利用するメリットは以下のとおりです。
- 井戸水や地下水などの地域でもエコキュートを使用できる
- 水圧が強い(日立のみ)
上記のメリットを順番に解説します。
井戸水や地下水などの地域でもエコキュートを使用できる
井戸水対応のエコキュートを利用する最大のメリットは、井戸水や地下水、あるいは硬度の高い水道水を使用している地域でもエコキュートを使用できることです。
エコキュートの主要なメーカーに三菱電機やコロナなどありますが、井戸水対応の機種はありません。仮に、井戸水を使用している家庭で三菱電機やコロナのエコキュートを使用していた場合、スケール詰まりによる故障が発生してもメーカー保証を受けられません。
井戸水使用はメーカーが定めた使い方の範囲から外れているため、修理費用が発生し、状況によっては修理できずに交換となるケースがあります。
今回紹介した日立、ダイキン、パナソニックの井戸水対応エコキュートは、すべて井戸水用のメーカー保証が付きます。目詰まりによる故障が発生したとしても、保証期間内なら無料で修理してもらえるので、安心して使用できます。
水圧が強い(日立のみ)
日立の「ナイアガラ タフネス」は水道直圧給湯を採用しているエコキュートです。そのため、一般的なエコキュートに比べて、水圧が強いというメリットがあります。
一般的なエコキュートは貯湯式給湯器システムで、ヒートポンプユニットで作ったお湯を貯湯タンクユニットに貯めて置く時に減圧を行います。減圧を行わないと、貯湯タンクユニットが水圧によって内側から変形する恐れがあるからです。
そのため、エコキュートでは水道水の水圧を減圧して、必要に応じて各所に給湯します。水道水の水圧が500kPaに対して、一般的なエコキュートは170kPa、パワフル給湯タイプが300kPa前後と低いです。
水道水の水圧を減圧しているため、直圧式給湯器のガス給湯器から貯湯式給湯器のエコキュートへ交換した方のなかには、シャワーの勢いが弱くなったと感じる方もいます。
日立の「ナイアガラ タフネス」は従来のガス給湯器と同じで、水道直圧給式となっています。水道水の水圧をそのまま利用しているので、一般的なエコキュートよりもシャワーの勢いが強いモデルです。
そのため、人によっては井戸水や地下水ではない地域なのに、日立の「ナイアガラ タフネス」を購入することもあります。
井戸水対応エコキュートを利用するデメリット
井戸水対応エコキュートを利用するデメリットは以下のとおりです。
- 水質検査を必ず行う
- 導入コストが高くなる
- 使用している井戸ポンプによっては交換が必要
上記のデメリットを順番に解説します。
水質検査を必ず行う
井戸水対応のエコキュートを設置するなら、水質検査は必ず行います。費用は16,500円(税込)前後で、検査してエコキュートを設置できないと判明した場合は支払わずに済みます。
ただし、水質検査に関するルールや手順はメーカーごとに異なるので、しっかりと確認しましょう。
また、検査結果が出るまでに1週間~2週間程度の時間が必要なので、エコキュートを設置するまでに時間がかかります。給湯器が故障してすぐに交換したい場合は、別の方法を検討してみましょう。
導入コストが高くなる
井戸水対応エコキュートは一般的なエコキュートよりも導入コストが高くなる傾向があります。例えば、日立の「ナイアガラ タフネス」を搭載している機種は、同メーカーの非搭載機種に比べて、販売価格が高いです。
また、エコキュートとは別に砂こし器や井戸ポンプ、止水栓などを現地で取り付けるので、工事費用が通常よりも高くなる可能性があります。
一般的なエコキュートは機種やメーカーによって異なりますが、相場が30万円~50万円です。しかし、井戸水対応エコキュートは一般的な機種の相場よりも高くなると覚えておきましょう。
使用している井戸ポンプによっては交換が必要
現在使用している井戸ポンプが圧力スイッチ式タイプだと、エコキュートを導入すると水圧が弱くなったり、水流が少なくなったりする恐れがあります。
そのため、井戸水対応エコキュートにはインバータータイプの井戸ポンプの取り付けを、メーカーはおすすめしています。
インバータータイプの井戸ポンプに交換する費用は商品や工務店にもよりますが、10万円前後掛かるので、圧力スイッチ式タイプの井戸ポンプを使用している方は注意しましょう。
まとめ
以上が、井戸水に対応しているエコキュートの解説になります。井戸水に含まれているカルシウムやマグネシウムは不純物で、エコキュートの目詰まりの原因になる恐れがあります。
日立、ダイキン、パナソニックなどのメーカーでは井戸水や地下水、あるいは硬度の高い水道水でも使用できるエコキュートを販売しています。特に、日立の「ナイアガラ タフネス」はエコキュートのなかで珍しい水道直圧給なので、シャワーの水圧が強い機種です。
「エコパパのお店」は総施工件数20,000件を突破しており、これまでに多くのお客様に満足して頂いております。井戸水や地下水を使用していて、エコキュートを設置できるか不安に思っている方は、ぜひご連絡ください。