エコキュートは騒音が出るの?低周波の問題や騒音対策におすすめのアイテムを紹介
2022年7月29日
エコキュートのデメリットに「騒音トラブルが起きる可能性がある」と言われています。確かに、過去にはエコキュートの騒音によって裁判にまで発展した事例はあります。
しかし、現在はエコキュートの騒音のメカニズムや対策は分かっているので、適切な方法で使用している、あるいは騒音対策をしていればトラブルに発展する可能性を抑えられます。
そこで今回は、エコキュートの騒音について分かりやすく解説します。低周波音の問題や騒音対策におすすめのアイテムも紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
エコキュートの稼働音は図書館レベル
結論から申し上げますと、エコキュートは稼働すると音が出てしまう住宅設備です。
エコキュートはヒートポンプユニットと貯湯タンクユニットの2つを建物外に設置します。
ヒートポンプユニットが空気を取り込み圧縮して生まれた熱でお湯を作ると、貯湯タンクユニットに貯めておく貯湯式給湯器システムです。
そのため、エコキュートがお湯を作っていると、ヒートポンプユニット内部にある圧縮機(コンプレッサー)やファンの回転音などが近隣の方に聞こえてしまう可能性はあります。
特に、エコキュートは電気料金が安くなる深夜に稼働するので、静かな住宅地に独特の低音が聞こえると、騒音トラブルになるのではないかと不安に思う方はいるかもしれません。
ただし、最近のエコキュートは静音性に優れており、お湯を作っている時の稼働音は40db(デシベル)程度です。環境省の生活騒音パンフレットによれば、40dbは図書館の館内と同じぐらいの音です。
次の表は、生活騒音の目安で、数値が大きいほど音がうるさいと感じます。
デシベル | 生活騒音の種類 |
---|---|
20db | 木の葉の触れ合う音 |
30db | ささやき声 郊外の深夜の音 |
40db | 図書館 エコキュートの稼働音 |
50db | 静かなオフィス |
60db | 静かな車 普通の会話の音 エアコンの室外機 |
70db | 騒がしい事務所の中 騒がしい街頭の音 |
80db | 地下鉄の車内 交差点の音 |
90db | 犬の鳴き声 騒がしい工場の中 |
100db | 電車が通る時のガード下の音 |
110db | 車のクラクション |
120db | 飛行機のエンジン |
エアコンの室外機の音が50db~60dbなのと比べれば、エコキュートの稼働音は騒音と呼べるほどうるさくは無いので、トラブルに発展する可能性は低いと言えます。
気になる方はぜひエコキュートのプロ、エコパパのお店までお気軽にお問い合わせください。
エコキュートの音は低周波音なのが問題
エコキュートの稼働音は40db程度なので、近隣の方との騒音トラブルに発展する可能性は低いです。ただし、エコキュートの稼働音は低周波音のため、「音が大きい」といった問題よりも、不眠や頭痛、めまいなどのトラブルを招く恐れはあります。
空気の圧力変動が耳に伝わり、鼓膜を振動させたことによって人の耳は音を認識します。圧力変動が大きければ大きい音、小さければ小さい音として聞こえます。
一方で、1秒間に振動する回数を周波数と呼び、回数が多いと高い音、少ないと低い音として聞こえます。それぞれ、次の単位を用います。
- 音の大小…単位はdb(デシベル)
- 音の高低…単位はHz(ヘルツ)
エコキュートの稼働音は12.5Hz程度の低周波音です。低周波音を聞くと、人によっては不快感や圧迫感などの心身に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、木造住宅の固有振動数は4Hz~8Hzのため、エコキュートの12.5Hzの低周波音を受けて、共振する恐れがあります。共振が発生すると、窓や戸が揺れることがあります。
低周波音に関する苦情は年々増加傾向にあり、過去にはエコキュートの発する低周波音により不眠や頭痛の症状が出たとして、再発防止に向けた対策を行うように関係各所に通達がありました。
そのため、エコキュートを設置する場所によっては隣家に低周波音が届いてしまう恐れがあるので対策を講じる必要があります。
エコキュートを設置する場所を工夫する
エコキュートで騒音トラブルを避けるなら、設置する場所を工夫しましょう。例えば、次のような場所に置くのは止めておくと良いです。
- 自宅や隣家の寝室の近く
- 自宅や隣家の窓や通気口の近く
- 壁や塀などに囲まれた狭い場所
- エアコンの室外機近く
エコキュートを設置するなら、お風呂場や脱衣所近くに設置したいですが、隣家の寝室や窓、通気口の近くだと低周波音が聞こえる恐れがあります。そのため、エコキュートは隣家から1m以上離れた場所に設置するのが望ましいです。
また、周りが壁や塀に囲まれて狭い空間となっていると、音が増幅してしまい、低周波音が広範囲に聞こえてしまう可能性もあります。他にも、エアコンの室外機近くに置いておくと共振によって音が増幅されるケースがあります。
エコキュートは配管を延長すれば、風呂場や脱衣所から離れた場所に設置することは可能です。工事費用は嵩みますが、工務店や販売店と相談して、どこに設置すれば近隣に迷惑が掛からないかしっかりと確認しましょう。
エコキュートの周りに騒音対策のアイテムを設置する
設置スペースやエコキュートのサイズの問題で、隣家との距離が1m以内の場所に設置するしか選択肢が無い場合は、次のような騒音対策のアイテムを設置してみましょう。
- 防振ゴムや防音シート
- 防音壁
上記について、順番に解説します。
防振ゴムや防音シート
エコキュートの騒音対策として代表的なのは防振ゴムや防音シートです。防振ゴムとは、エコキュートのヒートポンプユニットの足元に取り付けるゴムで、稼働中に発生する振動を抑える働きがあります。
防音シートは文字通り音が発生するのを防ぐ役割を持つシートです。ヒートポンプユニットの全面カバーや天板に直接防音シートを貼り付けると、稼働音が抑えられます。
防振ゴムや防音シートはホームセンターやECサイトなどで販売されています。工務店に依頼して取り付けることもできますが、自分で設置することもできるので、気になる方はチェックしてみましょう。
防音壁
防音壁とは、音の反射や増幅を吸収する素材で作られた壁のことです。コンクリート塀に比べて吸音効果の高い素材を使用しているので、エコキュートの稼働音や低周波音が隣家に響くのを防げます。
防音壁はエコキュートを購入した工務店や販売店で扱っています。ヒートポンプユニットは外気を取り込んでお湯を作るため、防音壁が近すぎると給湯効率が悪くなる恐れがあります。
そのため、防音壁を設置したいと考えている方はエコキュートの知識がある工務店や販売店に相談してみましょう。
エコキュートを夜に動かさないことも選択肢に入れる
防音シートや防音壁を設置しても、隣家や近隣から騒音の苦情が寄せられたら、エコキュートを夜に動かさないことも選択肢に入れてみましょう。
エコキュートは夜間の電気料金が安い時間帯にお湯を作る給湯器システムですが、設定を変更すれば昼間にお湯を作ることもできます。
しかし、夜間の電気料金がお得なプランを利用していると電気料金が高くなるリスクがあります。
エコキュートをお得に使う為の設定については以下の記事で詳しく解説しています。
どうしても昼間の電気料金を上げたくない方は、太陽光発電システムや蓄電池の導入を検討してみましょう。太陽光発電システムや蓄電池があれば、昼間にお湯を沸かしても電力消費量を節約できるので、昼間の電気料金を上げずに済みます。
また、太陽光発電システムや蓄電池はエコキュートとの相性が良いので、結果的に様々なメリットが受けられます。
エコキュートの騒音トラブルの事例
エコキュートは販売開始から20年以上が経過し、これまでに700万台以上を出荷しています。多くの方がエコキュートを購入して満足しておりますが、一部の方はエコキュートの騒音トラブルに巻き込まれて、困った事態に陥っています。
特に有名なのが2013年に群馬で起きたエコキュートに関する訴訟です。当時、隣家に設置されたエコキュートによって頭痛や耳鳴り、不眠症、自律神経失調症などの健康被害を受けたとして、損害賠償を求めた裁判が行われました。
裁判はエコキュートの撤去により和解となりましたが、この訴訟がきっかけでエコキュートの騒音トラブルに関する被害報告が増え、業界に対して指導が入るようになったのです。
上記の裁判は和解で済みましたが、損害賠償を支払う結果になっていた可能性はあります。騒音トラブルの要因であるヒートポンプユニットの設置場所は注意しましよう。
エコキュートの騒音でよくある質問
次項より、エコキュートの騒音でよくある質問について回答します。
騒音はエコキュートメーカーによって違いはあるの?
基本的にヒートポンプユニットの稼働音はどのエコキュートメーカーでも違いはありません。最新のエコキュートは静音設計で、稼働音が40db前後となっているので、基本的に静かな製品となっています。
ただし、貯湯タンクユニットの大きさに比例して音が大きくなる傾向はあります。そのため、騒音が気になる方はなるべく貯湯容量が少ない機種を選ぶようにしましょう。
エコキュートの騒音は季節によって違いはあるの?
エコキュートの騒音は季節によって違いはあります。ヒートポンプユニットは外気の熱を利用してお湯を作るので、外気温が低い冬季になると稼働音が大きくなる傾向があります。
音は気温によって広がり方が異なり、一般的には冬の晴天の夜が最も遠くまで届くと言われています。そのため、春から秋にかけて問題が無かったとしても、冬になると騒音の苦情を言われることは可能性としてあるので、対策を検討しておきましょう。
設置場所や騒音対策以外にやっておくべきことは?
設置場所や騒音対策以外にやっておくべきことは、エコキュートの定期的なメンテナンスです。エコキュートは半年に1度のペースでメンテナンスを行っておくと機械の摩耗や劣化を抑えられます。
機械が摩耗、劣化するとエコキュートの稼働音が大きくなる恐れがあります。そのため、定期的なメンテナンスや点検はやっておくと、結果として騒音対策に役立ちます。
例えば、貯湯タンクユニットの水を排水する水抜きや漏電遮断器の点検を半年に1回のペースで行ってみると良いです。他にも、防音対策で設置している防振ゴムや防音シートを数年に1回のペースで交換してみましょう。
また、ヒートポンプユニットの周りに落ち葉やゴミなどがあると、ファンが吸い込んでしまい騒音の原因になります。給湯効率も下がってしまうので、ヒートポンプユニットの周りは綺麗にしておくと良いです。
なお、上記のメンテンナンスは一般人ができる範囲の内容です。本格的な点検を行う場合は、メーカーや販売店に相談して、専門のプロの点検を受けましょう。
まとめ
以上が、エコキュートの騒音についての解説になります。エコキュートの稼働音は図書館なみの静かさのため、音の大きさによるトラブルは起きにくいです。しかし、低周波音が発生するので、設置する場所に十分なスペースがない場合は騒音対策も視野に入れていただくと安心してご利用いただけます。
設置スペースが狭い、あるいは近隣との距離が違い方は工務店や販売店に相談しましょう。
「エコパパのお店」では様々なメーカーのエコキュートを販売しております。エコキュートに関する専門知識が豊富なスタッフが対応しますので、騒音について不安がある方は、いつでも「エコパパのお店」までご連絡ください。