エコキュートやガス給湯器の品薄はいつまで続く?半導体不足による影響を解説
2022年9月13日
2020年から2021年にかけて、新型コロナの影響により世界規模での経済活動は低下しました。一方で、テレワークや巣ごもり需要などが影響して、半導体の需要は高まったため、半導体不足によるエコキュートやガス給湯器の品薄が起きました。
しかし、2022年に入ると半導体の生産ライン増強などもあり、半導体不足は解消される見込みが高まっています。
そこで今回は、エコキュートやガス給湯器の品薄がいつまで続くのか解説します。半導体不足による影響を紹介しますので、最後までご覧ください。
半導体ってなに?
半導体とは、一定の電気的性質を備えた物質のことです。物質には電気を通す性質と、通さない性質があり、それぞれを次のように呼びます。
概要 | 具体例 | |
---|---|---|
導体 | 電気を通す性質を持つ物質 | 鋼、鉄、銀、金、アルミなど |
絶縁体 | 電気を通さない性質を持つ物質 | ゴム、ガラス、セラミックスなど |
半導体は、導体と絶縁体の中間の性質を持った物質で、温度の変化やある種の元素を含ませることで電気を通しやすくなる特性があります。そのため、多くの電化製品の制御に半導体を用います。
エコキュートやガス給湯器などの給湯器システムでは、半導体は給湯器の本体やリモコンの内部にある基板に主に使用されています。
また、給湯器以外だと、半導体は次のような家電製品に必要な部品です。
- スマートフォン
- デジタルカメラ
- テレビ
- 洗濯機
- 冷蔵庫
- LED電球など
半導体不足は需要と供給のバランスが崩れたことが原因
半導体不足の最大の原因は需要と供給のバランスが崩れたことです。
半導体はスマートフォンを始め、大規模データサーバーや自動車など、様々な機械や機器に必要な部品です。そのため、2019年頃から将来的には世界中で半導体の需要が高まると予想されていました。
実際、2019年ごろまでの半導体市場は年平均7%の成長率を維持しており、米中貿易摩擦のような地政学的リスクも懸念されていましたが、まだ需要と供給のバランスは大きく崩れていません。
ところが、2020年から始まった新型コロナの影響を受けてグローバル経済活動が停滞したことによって、需要と供給のバランスが崩れ始めました。
当初は、生産活動の低下により半導体の需要はゆっくりと落ちていくのではないかと予想されましたが、テレワークや巣ごもり需要などにより、パソコンやスマホ、ルーターなどの通信機器の需要が高まったことで、半導体の需要が急速に回復しました。
しかし、新型コロナの影響により半導体の製造ラインが止まる、流通が滞るなどのトラブルが各地で起きるようになり、半導体の供給量が急速に回復した需要に追い付かなくなり、結果として予想されていた形とは別の半導体不足を招いたのです。
2021年は世界的な半導体不足が続く
世界半導体市場統計によると、2020年~2021年にかけての半導体市場は市場規模を増やしています。
世界経済はパンデミックの影響で低迷しましたが、半導体に対する需要は下がらなかったことがプラスの要因となっています。
また、世界各国でスマートフォンの5G化が進んだことでインフラ需要が高まっている、各国で経済活動の再開により産業用途での半導体需要が拡大するなど、市場が高成長する要因は継続しているため、今後も市場規模は増えると予想されています。
つまり、2021年時点で半導体の需要は下がっておらず、供給が追い付ていないので世界的な半導体不足は続いています。実際、2021年9月~11月にかけて、エコキュートの国内出荷台数は前年比と同程度、あるいは下回る結果となり、給湯器不足が騒がれました。
給湯器の生産数は減少傾向がみられる
半導体の需要と供給のバランスが崩れたことで、エコキュートやガス給湯器の生産数減少の傾向が見られます。
次の表は、一般社団法人日本ガス石油危機工業会がまとめた、2021年のガス給湯器の生産数や在庫数です。
生産量 | 前年比 | 月末在庫 | 前年比 | |
---|---|---|---|---|
2021年1月 | 203,953台 | 114.9% | 110,196台 | 63.8% |
2021年2月 | 212,070台 | 123.8% | 116,957台 | 75.3% |
2021年3月 | 238,811台 | 142.7% | 129,310台 | 88.9% |
2021年4月 | 204,893台 | 121.8% | 158,159台 | 96.3% |
2021年5月 | 185,517台 | 120.3% | 165,296台 | 87.8% |
2021年6月 | 212,440台 | 115.8% | 186,407台 | 95.9% |
2021年7月 | 198,448台 | 111.5% | 175,546台 | 93.3% |
2021年8月 | 176,860台 | 124.1% | 173,473台 | 101.3% |
2021年9月 | 173,637台 | 90.8% | 149,863台 | 85.3% |
2021年10月 | 197,537台 | 87.9% | 149,740台 | 85.0% |
2021年11月 | 187,655台 | 89.6% | 138,930台 | 83.7% |
2021年12月 | 164,882台 | 76.3% | 103,723台 | 72.2% |
ガス給湯器は毎月20万台前後生産されていましたが、9月頃から生産数が前年比を下回るようになりました。9月~12月は冬のシーズンのため、給湯器の交換が多くなるため出荷数が増えるのですが、生産数は全く追い付かず、在庫数が連続して前年比を下回っています。
そのため、2021年下半期は半導体不足により、給湯器が交換できない、給湯器のパーツが無くて修理できないといったトラブルが起きやすくなっています。
2022年に入り半導体不足は回復傾向にある
世界的な半導体不足ですが、2022年以降は解消されるという見通しが強いです。
半導体を製造している主要メーカーが生産ラインの増強を表明しており、ガス給湯器の生産量も2022年1月~4月にかけて回復傾向にあります。
生産量 | 前年比 | 月末在庫 | 前年比 | |
---|---|---|---|---|
2022年1月 | 184,582台 | 90.5% | 133,821台 | 121.4% |
2022年2月 | 168,813台 | 79.6% | 125,725台 | 107.5% |
2022年3月 | 223,070台 | 93.4% | 136,278台 | 105.4% |
2022年4月 | 211,120台 | 103.0% | 137,681台 | 87.1% |
エコキュートもガス給湯器と同様に出荷台数が増えており、回復傾向にあると言えます。次の表は、一般社団法人日本冷凍空調工業会が発表した、家庭用ヒートポンプ給湯器(エコキュート)の2021年~2022年7月までの出荷台数をまとめたものです。
出荷台数 | 前年比 | |
---|---|---|
2021年1月 | 49,100台 | 116.1% |
2021年2月 | 50,702台 | 105.8% |
2021年3月 | 58,753台 | 108.9% |
2021年4月 | 51,744台 | 117.4% |
2021年5月 | 42,396台 | 123.6% |
2021年6月 | 50,707台 | 143.0% |
2021年7月 | 47,873台 | 124.3% |
2021年8月 | 41,236台 | 122.1% |
2021年9月 | 49,884台 | 111.2% |
2021年10月 | 39,207台 | 84.7% |
2021年11月 | 45,678台 | 93.4% |
2021年12月 | 58,709台 | 106.2% |
2022年1月 | 52,683台 | 107.3% |
2022年2月 | 59,152台 | 116.7% |
2022年3月 | 68,368台 | 116.4% |
2022年4月 | 55,787台 | 107.8% |
2022年5月 | 53,649台 | 126.5% |
2022年6月 | 60,951台 | 120.2% |
2022年7月 | 57,298台 | 119.7% |
エコキュートは2021年10月~11月は前年比を下回りましたが、以降は前年比越えを続けており、安定して出荷台数を伸ばしています。
エコキュートが欲しいなら問い合わせをしてみる
エコキュートの出荷台数は安定していますが、半導体不足や新型コロナの影響は続いているため、注意が必要です。
実際、エコキュートの主要メーカーである日立は世界的な半導体不足や新型コロナの影響によって安定した調達ができないと判断し、納期遅延を防ぐ目的で、一部機種の新規受注を一時停止して、リソースを集中することを発表しました。
受注停止期間は2022年8月24日からで、再開時期は記事執筆時点では未定です。新規受注を停止する商品は以下のとおりです。
- [水道直圧給湯]フルオート 標準タンク:BHP-F56UD
- [水道直圧給湯]フルオート 標準タンク 屋内設置仕様:BHP-F46UDM、BHP-F37UDM
- [水道直圧給湯]フルオート(高硬度水道水・井戸水対応)標準タンク:BHP-FW56UD
- フルオート 標準タンク:BHP-F56UU
- フルオート 標準タンク 耐重塩害仕様:BHP-F46UUJ、BHP-F37UUJ
- フルオート 標準タンク 屋内設置仕様:BHP-F46UUM、BHP-F37UUM
- 給湯専用(オートストップ機能付き):BHP-ZA46UU、BHP-ZA37UU
- 給湯専用:BHP-Z46UU、BHP-Z37UU
- 給湯専用 耐塩害仕様:BHP-Z46UUE 、BHP-Z37UUE
主に、貯湯容量が560L(5人~7人用)の商品や屋内設置・耐塩害仕様の機種、給湯器専用が新規受注停止となっています。上記の商品をお求めの方は、エコキュートを扱っている業者に尋ねて、現品があれば購入できます。
太陽光発電システムを導入する家庭が増えている影響もあって、エコキュートの需要は高まっています。出荷台数が増えているのも需要が高まっている証ですが、需要に対して供給が追い付いているとは断言できません。
主要なエコキュートメーカーの生産状況は以下のとおりです。
メーカー | 生産状況 |
---|---|
日立 | 一部機種受注停止 |
三菱電機 | ベーシックなAシリーズの受注停止 |
パナソニック | 全面的な長期受注停止状態 |
東芝 | 全面的な長期受注停止状態 ただし、わずかに回復の傾向が見られる |
ダイキン | 比較的、供給が回復しつつあるが不安定な状態 |
コロナ | 納期遅延が発生しており依然不安定 |
そのため、欲しいエコキュートがあっても、希望通りに購入できるとは限りません。エコキュートの購入を考えている方は、まずは「エコパパのお店」に相談してみましょう。
まとめ
以上が、半導体不足によるエコキュートやガス給湯器の品薄の解説になります。2021年下半期は半導体不足による生産数の減少が起きており、エコキュートやガス給湯器は品薄でした。
しかし、現在は半導体の調達や物流の回復などもあり、エコキュートやガス給湯器の生産数は回復傾向にあると言えます。ただし、半導体が安定して調達できるとは限らず、新型コロナの影響により生産や物流が滞る可能性は否定できません。
また、日立のように一部機種の新規受注を停止して、リソースを集中して生産をするケースもあるため、欲しいタイミングで、希望通りのエコキュートを購入できるとは限りません。
本格的に寒くなる前にエコキュートを購入したいと考えている方は、「エコパパのお店」に相談してみましょう。商品知識が豊富なスタッフが対応いたしますので、安心して購入できます。エコキュートの購入で質問がございましたら、ぜひご連絡ください。