エコキュート室外機の水漏れは故障?正常なドレン水との見分け方と対処法
2025年10月27日

エコキュートの室外機(ヒートポンプユニット)の下や側面から水が流れているのを発見すると、「故障ではないか」「高額な修理になるのではないか」と不安になるでしょう。しかし、結論からお伝えすると、室外機からの水は、故障による「水漏れ」ではなく、機器の仕組み上発生する「ドレン水(結露水)」という正常な排水であるケースが9割以上です。
エコキュートは空気中の熱を吸い込んでお湯を沸かすため、エアコンの室外機と同様に、運転中に空気中の水分が冷やされて結露し、水として排出されます。
このドレン水は正常ですが、万が一、配管の接続部など、排水口以外の箇所から水が出ている場合は、パッキン劣化などによる緊急性の高い故障である可能性があります。その際は、速やかに給水元栓を閉める必要があります。
この記事では、室外機からの水が正常なドレン水であるか、故障であるかを判断する明確なチェックポイントと、故障と判断した場合の適切な対処法を解説します。焦らず、まずはこのチェックリストで判断しましょう。
【9割が正常】室外機からの水は「水漏れ」ではなく「ドレン水(結露水)」
エコキュートの室外機(ヒートポンプユニット)から水が出ているのを発見した場合、まずは焦らず、それが「ドレン水」であることを確認しましょう。
ドレン水が発生する仕組み:ヒートポンプはエアコンと同じ
エコキュートは、ヒートポンプユニット(室外機)を使って、空気の熱を取り込み、その熱でお湯を沸かします。この熱交換の過程で、以下の仕組みでドレン水(結露水)が発生します。
- 熱交換: 室外機が空気中の熱を冷媒に取り込む際、熱交換器の表面温度が空気中の露点温度以下になります。
- 結露: その結果、空気中に含まれる水蒸気が冷やされ、熱交換器の表面で水滴(結露)となります。
- 排出: この水滴がユニット下部の排水口から排出されます。これがドレン水であり、エアコンの室外機から水が出るのと同じ、正常な現象です。
※貯湯タンクユニットの安全弁から出る水は「膨張水」と呼ばれ、ドレン水とは区別されます。
ドレン水の量と頻度:季節や運転状況による違い(表)
ドレン水の量や頻度は、外気温や湿度、運転状況によって大きく変動します。
| 季節・状況 | ドレン水の量と頻度 | 理由 |
|---|---|---|
| 夏場(梅雨時期) | 比較的多め | 外気温が高く、空気中の湿度が高いため、結露する水分量が多い。 |
| 冬場 | 非常に多く、凍結注意 | 機器が霜取り運転を行うため、その際に一時的に大量の結露水が排出される。 |
| 沸き上げ運転中 | 運転中に出やすい | 熱交換器が活発に熱を取り込んでいるため、結露が発生しやすい。 |
| 沸き上げ停止中 | ほとんど出ない | 熱交換器の温度が外気温に近く、結露が発生しないため。 |
正常なドレン水と故障による水漏れを見分ける3つのチェックポイント
水が出ているのが正常なドレン水なのか、それとも緊急性の高い故障なのかを見分けるために、以下の3点をチェックしましょう。
チェック1:水が出ている場所(排水口か、配管接続部か)
最も重要なチェックポイントは、水が出ている具体的な場所です。
- 正常(ドレン水):室外機本体の下部にある排水口(または専用のドレンホース)から水が出ている場合は、正常な排水です。
- 故障(水漏れ):
- 貯湯タンクと室外機を繋ぐ配管の接続ナット周辺から出ている。
- 室外機本体の側面や上部のカバーの隙間など、排水口以外の箇所から出ている。
排水口以外からの水は、内部の部品の破損や配管の劣化の可能性が高いため、緊急対応が必要です。
チェック2:水が出ている状態(ポタポタか、勢いよくか)
水の出方(流量)も判断材料になります。
- 正常(ドレン水):ポタポタと水滴が落ちる程度か、チョロチョロと穏やかに流れ出ている程度です。特に冬場の霜取り時は、一時的に量が増えることがあります。
- 故障(水漏れ):給水元栓を閉めていない状態で、水が勢いよく噴き出している、または連続的かつ大量に流れ続けている場合は、配管の破損や亀裂の可能性があり、極めて緊急性が高いです。
チェック3:水が温かいか、冷たいか(熱源の有無)
水の温度を触って確認することで、漏れている水の性質がわかります。
- 正常(ドレン水):空気中の結露水のため、外気温と同じくらいの冷たい水です。
- 故障(水漏れ):
- 配管接続部から漏れている水が温かい場合、それはタンクからヒートポンプに送られている「お湯」である可能性が高く、配管内部のトラブルが疑われます。
- 給水元栓側から漏れている水は、水道水と同じ冷たい水である場合もあります。
水漏れと判断した場合の「緊急停止手順」と応急処置
上記のチェックで「故障による水漏れ」と判断した場合は、速やかに水の供給と電源を止め、被害拡大を防ぐ必要があります。
貯湯タンク側で行う給水元栓・ブレーカーの停止手順
室外機付近から水漏れが発生した場合でも、水や電気の供給を止める操作は貯湯タンク側(本体)で行います。
- 給水元栓を閉める: 貯湯タンクの横または足元にある給水元栓(止水栓)を右回しで完全に閉めます。これで水漏れは止まります。
- ブレーカーを切る: 分電盤のエコキュート専用ブレーカーを「切」にして、漏電や二次故障を防ぎます。
- 専門業者へ連絡: 現状(水漏れ箇所、水量、エラーコードなど)を正確に伝え、修理を手配します。
配管接続部からの水漏れに対する応急処置とNG行動
応急処置は、あくまで業者が来るまでの「被害を最小限に抑える」ためのものです。
- 応急処置: 水漏れ箇所の下にバケツやタオルを置き、濡れている地面や周辺を拭き取ります。配管にひび割れがある場合は、水圧がゼロの状態で防水テープを巻いても構いません。
- NG行動: 給水元栓を閉めずに防水テープを巻いたり、自分で接続ナットを工具で強く締め直すのは避けてください。故障を悪化させ、修理費用が高くなる可能性があります。
【故障の場所別】室外機周辺の水漏れの原因と修理費用の目安
室外機周辺の故障による水漏れは、主に以下の3パターンに分けられます。
接続配管からの水漏れ(パッキン・ナットの劣化)
最も頻度が高い水漏れです。ヒートポンプと貯湯タンクを繋ぐ配管の接続部にあるパッキン(Oリング)が、熱や経年で劣化・硬化することで隙間ができ、水漏れが発生します。
- 原因: パッキンの寿命、施工時のナットの締め付け不足/過剰。
- 修理: パッキンの交換、ナットの増し締め。
- 費用目安: 1.5万円〜4万円程度。
内部からの水漏れ(熱交換器・冷媒回路の故障)
室外機本体のカバーの隙間から水が出ている場合、内部の部品が破損している可能性があります。
- 原因: 熱交換器の破損、冷媒回路の異常(凍結やサビによる穴あき)など。この場合、部品ではなくユニットごとの交換になることも多いです。
- 修理: 内部部品の交換、またはヒートポンプユニット全体の交換。
- 費用目安: 5万円〜20万円以上(ユニット交換の場合は高額)。
冬季の凍結による配管のひび割れリスク
特に寒冷地や急激な冷え込みがあった場合、配管内の水が凍結し、体積膨張によって配管がひび割れ、水漏れを引き起こすことがあります。
- 原因: 冬季の気温低下、凍結防止ヒーターの故障や設置漏れ。
- 修理: 破裂箇所の配管切断と交換、凍結防止ヒーターの再設置。
- 費用目安: 3万円〜10万円(広範囲の交換が必要な場合)。
ドレン水によるトラブルを防ぐ「排水経路の適切な管理」
正常なドレン水でも、放置すると周囲に水たまりができたり、冬場には凍結して危険な状態になることがあります。適切な管理が必要です。
ドレン水が溜まる・凍る問題と排水ガイド(ドレン配管)
室外機の下が常に濡れていたり、水たまりができてしまう場合は、ドレン水の処理が不適切である可能性があります。
- 夏場の問題: 湿気が高まり、カビやコケが発生しやすくなります。
- 冬場の問題: 排水が凍結し、氷の塊ができて室外機のファンに接触したり、排水口を塞いで内部に水が溜まることで故障の原因となることがあります。
これを防ぐには、ドレン水の出口にドレン配管(排水ガイド)を設置し、水を離れた排水溝まで安全に流すことが有効です。ホームセンターで資材を購入し、簡単に設置できるものもあります。
室外機の設置場所と基礎の重要性
ドレン水によるトラブルは、設置環境によっても異なります。
- 基礎: 室外機は水平な場所に設置されたコンクリート基礎やブロックの上に置かれているべきです。土の上に直接置かれていると、ドレン水が溜まりやすくなります。
- 排水: 設置場所の周囲に排水溝がない場合は、ドレン配管を用いて、水が流れるように勾配をつけて誘導することが大切です。
ドレン水の凍結を防ぐための冬季対策
冬季のドレン水トラブルの多くは、凍結によって引き起こされます。
- 配管の保温: ドレン配管が長く、冷気に触れる時間が長い場合は、配管自体に凍結防止用の保温材を巻き付けるか、専用のヒーター(電熱線)を設置して凍結を防ぎます。
- 周囲の除雪: 大雪が降った場合、室外機の吸気口・排気口だけでなく、排水口周辺も雪や氷で塞がれていないか確認し、こまめに除雪を行いましょう。
- 設置場所の風通し: 凍結は、風通しが悪く湿気がたまりやすい場所で起こりやすくなります。室外機の周囲に物を置かず、空気の流れを確保することが大切です。
まとめ
エコキュートの室外機からの水は、その9割以上が正常な「ドレン水(結露水)」であり、故障ではありません。まずは焦らず、水が出ている場所を確認しましょう。
- 正常なドレン水は、室外機下部の排水口から出ており、水温は冷たいのが特徴です。
- 故障による水漏れは、配管の接続部や本体カバーの隙間など排水口以外から出ています。
- 故障と判断した場合、必ず貯湯タンク側の給水元栓とブレーカーを切り、水と電気の供給を遮断してから、業者へ連絡してください。
ドレン水によるトラブルを防ぐためにも、冬季の凍結に注意し、適切な排水管理を行いましょう。


































