エコキュート配管水漏れの応急処置!危険な水漏れ判断と緊急停止手順
2025年10月27日

エコキュートの配管や本体から水漏れを発見した場合、非常に焦るでしょう。水漏れは、電気製品であるエコキュートの故障や漏電、さらには建物への被害にもつながるため、迅速な対応が不可欠です。
結論からお伝えすると、最優先で行うべきは「給水元栓を閉める」ことによる水の緊急停止です。そして、水漏れ箇所が「正常な水滴」なのか「緊急度の高い故障」なのかを正しく判断し、被害を最小限に抑えながら応急処置を行います。
例えば、ポタポタと水滴が落ちている場合でも、それが配管の接続部からの漏れであれば、時間とともに被害は拡大します。まずは冷静に、給水元栓と漏電ブレーカーを切ることが、その後の修理費用を抑え、安全を確保するための最善の行動です。
この記事では、水漏れ箇所を特定するチェックポイントから、いますぐできる安全な応急処置、そしてその後の適切な業者への連絡方法までを具体的に解説します。
水漏れを発見したら最優先で行うべき「3つの緊急停止手順」
エコキュートからの水漏れは、漏電の危険と建物への浸水被害を伴います。応急処置を考える前に、まず以下の手順で機器を停止し、安全を確保してください。
手順1:漏電防止のための「ブレーカーOFF」
水漏れ箇所が機器の内部や電気配線に近い場合、水が電気回路に触れて漏電を引き起こす可能性があります。感電や機器の二次故障を防ぐため、最優先で電源を切ります。
- 分電盤を確認: ご自宅の分電盤(ブレーカーボックス)を探します。
- エコキュート専用ブレーカーをOFF: エコキュート専用のブレーカー(通常は「給湯器」や「エコキュート」と記載されている200Vの大きなブレーカー)を「切」にします。
- 確認: ブレーカーを切ると、リモコンの表示が消え、沸き上げなどの運転が完全に停止します。
手順2:水漏れを止めるための「給水元栓を閉める」
水漏れによる被害拡大を止めるため、エコキュートへの水の供給を断ちます。
- 給水元栓を探す: 貯湯タンクの足元(本体の横側や裏側)に設置されている止水栓または給水元栓を探します。
- 元栓を閉める: 元栓を時計回り(右方向)に回して完全に閉めます。ハンドル式の場合は手で、マイナスドライバーが必要なタイプもあります。
- 注意点: 給水元栓を閉めると、家全体の水道は止まりませんが、エコキュートからお湯や水が出ることはなくなります。
手順3:リモコンでの給湯停止操作(二次被害の防止)
給水元栓を閉めたことで水漏れは止まりますが、念のためリモコン側でも給湯停止操作を行います。
- 通常、ブレーカーを切ることでリモコン操作は不要になりますが、機種によっては操作が必要です。リモコンの「給湯停止」や「運転停止」ボタンを押して、エラー表示の有無を確認してください。
この3つの手順を完了すれば、水漏れによる「水の供給」と「電気の供給」が遮断され、安全に応急処置や業者への連絡に移ることができます。
【水漏れの箇所別】危険度と故障判断のチェックポイント
水漏れだと勘違いしやすい「正常な水滴」と、緊急性の高い「故障による水漏れ」を判断することが重要です。
| 水漏れ箇所 | 状態と水量 | 危険度と判断 |
|---|---|---|
| 逃し弁・減圧弁 | チョロチョロと少量、または水滴が落ちている。お湯を使うと増える。 | 正常。沸き上げ時に膨張したお湯の圧力を逃がすための動作であり、故障ではない場合が多い。 |
| 貯湯タンク下部の排水口 | 排水チューブから水が出ている(特に沸き上げ後)。 | 正常。タンク内にたまった水を排出する「ドレン水」の排出である可能性が高い。 |
| ヒートポンプ配管接続部 | 接続ナット周辺からポタポタと、連続的に水滴が落ちている。 | 緊急度高。パッキンの劣化、配管の緩み、または凍結によるひび割れの可能性。放置すると水量が増える。 |
| 貯湯タンク本体や缶体 | 本体外装の隙間や、内部の保温材が濡れている。 | 最緊急。タンク内部の腐食や溶接部の破裂の可能性。修理ではなく、本体交換が必須となる可能性が極めて高い。 |
逃し弁・減圧弁からの水漏れ(正常な場合が多い)
エコキュートは貯湯タンクに圧力がかかるため、安全弁である逃し弁(または減圧弁)から水が出て圧力を逃がす設計になっています。これは正常な動作であり、通常は少量であれば問題ありません。
- チェック: 逃し弁のレバーを上げ下げしてみて、レバーを戻した後に水漏れが止まれば問題ありません。水が止まらない場合は故障の可能性があります。
ヒートポンプ配管(接続部)からの水漏れ(緊急度高)
貯湯タンクとヒートポンプユニット(室外機)を繋ぐ配管からの水漏れは、最も多い故障原因の一つです。特に銅管や配管カバーの接続ナット周辺の確認が必要です。
- 原因: 経年劣化によるパッキンの硬化、施工不良によるナットの緩み、冬季の凍結による配管のひび割れなどが考えられます。
- 対応: 継続的に水漏れしている場合は、すぐに給水元栓を閉めてください。
貯湯タンク本体や缶体からの水漏れ(交換の可能性高)
タンク本体から水漏れしている場合は、内部の缶体が破裂したり、溶接部が腐食している可能性が高く、非常に危険です。
- 対応: この場合、修理はほぼ不可能で本体交換となります。すぐに電源と元栓を切り、業者に「本体からの水漏れ」であることを伝えてください。
水漏れの種類別に見る「具体的な応急処置」とNG行動
緊急停止措置を完了した後、業者が到着するまでの間に、被害の拡大を抑えるための応急処置を行います。
応急処置:配管のひび割れに対する「防水テープ」の使い方
配管にひび割れや小さな穴が開いているのを発見した場合、一時的に水漏れを抑えるために防水テープ(ブチルテープや自己融着テープなど)が有効です。
- 水気を拭き取る: 配管の表面を乾いた布で拭き、水気や汚れを完全に除去します。
- テープを巻き付ける: ひび割れや穴を覆うように、テープを引っ張りながらしっかりと密着させて巻き付けます。
- 重要: この処置は給水元栓を閉めて水圧がかかっていない状態で行ってください。テープは水圧に耐えるほどの強度はないため、元栓を閉めずにテープを巻いても水漏れは止まりません。
応急処置:接続部の緩みに対する「締付け」はNG!
接続部のナットが緩んでいるように見えても、絶対に自分で工具を使って強く締め付けないでください。
- 危険性: 配管やナットの素材は、強く締め付けすぎると破損したり、ねじ山を潰してしまうリスクがあります。特にパッキンが劣化している場合は、締め付けによってさらにパッキンを傷つけ、水漏れが悪化する原因になります。
- 正しい対処: 緩みを発見しても触らず、現状のまま業者に連絡し、専門工具での適切な締付けを依頼してください。
絶対にやってはいけない「自己流の修理」の危険性
以下の自己流の修理は、故障の悪化や高額修理につながるため、避けてください。
- 接着剤・パテの使用: 応急処置として配管に接着剤やシリコンパテを塗っても、水圧や高温に耐えられずにすぐに剥がれます。また、修理業者が本来の修理をする際に、接着剤を剥がす手間がかかり、結果的に工賃が高くなる場合があります。
- 配管の切断・加工: 配管を切断したり、無理に曲げたりすると、メーカー保証の対象外となるだけでなく、別の箇所から水漏れが発生する原因になります。
応急処置後の適切な行動:業者選びと修理費用の目安
緊急停止と応急処置が完了したら、速やかに専門業者に連絡し、修理を手配します。
業者に伝えるべき3つの情報(箇所・流量・エラー)
業者がスムーズに対応できるよう、電話で以下の情報を正確に伝えてください。
- 水漏れの箇所: 「ヒートポンプの接続部」「貯湯タンクの足元(逃し弁)」「浴槽循環口の近く」など、具体的な場所。
- 水漏れの流量: 「ポタポタと水滴程度」「チョロチョロと細く流れ続けている」「勢いよく噴き出している」など。
- エラーコード: リモコンにエラーコード(例:E3、C5など)が表示されている場合は、その番号を伝えます。
修理か交換か?保証期間と修理費用の判断基準
水漏れが発生した場合、まず保証期間を確認してください。
- 本体保証: 通常1年〜3年
- 冷媒回路(ヒートポンプ)保証: 3年〜5年
- タンク(缶体)保証: 5年〜10年
保証期間内であれば、無償修理となる可能性が高いです。保証期間外で、修理費用が15万円以上になる場合は、エコキュートの寿命(10年〜15年)を考慮し、いっそのこと本体交換を検討する方が、長期的なコストメリットが高い場合があります。
水漏れ修理・部品交換にかかる費用の相場
| 故障箇所 | 修理内容の目安 | 費用相場の目安(部品代+工賃) |
|---|---|---|
| パッキン・Oリング | 部品の交換、接続部の増し締め | 1.5万円〜3万円 |
| 配管本体のひび割れ | 配管の一部交換、補修 | 3万円〜8万円 |
| 逃し弁・減圧弁 | 弁本体の交換 | 3万円〜7万円 |
| ヒートポンプユニット内部 | 内部部品(熱交換器など)の交換 | 5万円〜20万円 |
水漏れトラブルを未然に防ぐ「日常点検と配管の保護」
水漏れは予期せぬタイミングで発生しますが、日頃の点検と簡単なメンテナンスでリスクを減らすことができます。
日常点検:ドレン水・逃し弁の水滴は正常か確認する
水漏れの勘違いを防ぐため、正常な水滴が出る場所を把握しておきましょう。
- ドレン水: ヒートポンプユニット(室外機)の下から水が出ているのは、空気中の水分が熱交換器で冷やされて結露したもので、正常です。
- 逃し弁: 沸き上げ後や追い焚き後に、貯湯タンク上部の逃し弁から少量の水が流れるのは、圧力調整のための正常な動作です。
配管の劣化を防ぐ「保温材とカバーの重要性」
屋外に設置されている配管は、紫外線や風雨にさらされて劣化しやすく、これがひび割れや水漏れの原因になります。
- 保温材のチェック: 配管を覆っている保温材が破れたり、ボロボロになっていないか定期的に確認しましょう。
- 配管カバー: 特に配管の紫外線対策として、プラスチック製の配管カバーを設置することで、劣化スピードを大幅に遅らせることができます。
- 冬季の凍結対策: 冬場は配管の凍結防止のため、水抜きや自動凍結防止運転(リモコン設定)を忘れずに行いましょう。
まとめ
エコキュートの配管水漏れを発見したら、「給水元栓を閉める」と「エコキュート専用ブレーカーを切る」の2点を最優先で行い、水と電気の供給を遮断してください。
- 水漏れ箇所が逃し弁などからの正常な水滴なのか、配管や本体からの故障による水漏れなのかを正確に判断しましょう。
- 配管のひび割れには防水テープでの応急処置が可能ですが、水圧がかかっている状態では効果がなく、決して自己流でナットを締め付けたり、強力な接着剤を使ったりしないでください。
- 緊急停止後は、水漏れの状況を正確に業者に伝え、保証期間と修理費用を考慮し、修理か交換かを判断しましょう。
迅速かつ適切な対応が、ご自宅の被害と高額な修理費用を防ぐための最善策となります。


































