ガス代の高騰はいつまで続く?ガス代が高騰する理由や対策などをわかりやすく解説
2023年6月17日
電気代の高騰が話題になっていますが、実はガス代も同時期に上昇傾向にあります。電気代に比べると大幅な上昇ではありませんが、家計に与える影響は少なくありません。
そこで今回は、ガス代の高騰について解説します。ガス代が高騰する理由や対策なども紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
ガス代の仕組み
一般的なガス代は次のような内訳となっています。
- 基本料金+従量料金(従量料金単価×1カ月のガス使用量)-割引=ガス代
基本料金とは、ガスを全く使用していなくても毎月支払う料金です。ただし、ガス代の基本料金はガスの使用量に応じて高額になる傾向があります。
従量料金はガスの従量料金単価と1カ月のガス使用量をかけて求める料金です。ガス使用量が少ないほど従量料金は安くなりますが、従量料金単価はガス使用量が多いほど割高になる傾向があります。
例えば、東邦ガスの一般契約料金は以下の通りです。
1カ月のガス使用量 | 基本料金 | 従量料金単価 (基準単位料金) |
|
---|---|---|---|
A表 | 0㎥~20㎥ | 759.00円 | 210.52円 |
B表 | 21㎥~50㎥ | 1,588.88円 | 169.03円 |
C表 | 51㎥~100㎥ | 1,833.33円 | 164.14円 |
D表 | 101㎥~250㎥ | 2,077.77円 | 161.70円 |
E表 | 251㎥~500㎥ | 2,648.14円 | 159.41円 |
F表 | 501㎥~ | 7,109.25円 | 150.49円 |
1カ月のガス使用量が40㎥の場合は、次のようにB表の基本料金と従量料金単価を用います。
- 1,588.88+(169.03×40)=約8,350円
ただし、ガス代の従量料金単価は月によって異なるので、ガス使用量が前年同月と同程度なのにガス代が高い、あるいは先月よりもガスを使っているのに安いなどの場合があります。
2022年はガス代が高騰した年
ガス代の従量料金単価は基準単位料金に原料費調整単価を加えます。都市ガスの原料となる液化天然ガスや液化石油ガスなどは社会情勢や経済情勢によって購入価格が変動するため、常に同じ金額で販売することは難しいです。
次の表は、東邦ガスの一般契約料金における従量料金単価の2022年1月から2023年7月検針分までを一部抜粋したものです。
A表の従量料金単価 | B表の従量料金単価 | |
---|---|---|
基準単位料金 | 210.52円 | 169.03円 |
2022年1月検針分 | 192.52円 | 151.03円 |
2022年2月検針分 | 201.34円 | 159.85円 |
2022年3月検針分 | 208.73円 | 167.24円 |
2022年4月検針分 | 211.50円 | 170.01円 |
2022年5月検針分 | 214.52円 | 173.03円 |
2022年6月検針分 | 215.33円 | 173.84円 |
2022年7月検針分 | 220.41円 | 178.92円 |
2022年8月検針分 | 223.26円 | 181.77円 |
2022年9月検針分 | 227.71円 | 186.22円 |
2022年10月検針分 | 235.20円 | 193.71円 |
2022年11月検針分 | 245.53円 | 204.04円 |
2022年12月検針分 | 255.07円 | 213.58円 |
2023年1月検針分 | 255.07円 | 213.58円 |
2023年2月検針分 | 255.07円 | 183.58円 |
2023年3月検針分 | 255.07円 | 183.58円 |
2023年4月検針分 | 222.93円 | 181.44円 |
2023年5月検針分 | 218.38円 | 176.89円 |
2023年6月検針分 | 210.45円 | 168.96円 |
2023年7月検針分 | 201.19円 | 159.70円 |
原料費調整額によっては従量料金単価が基準単位料金を下回ることもあります。しかし、2022年1月検針分以降、従量料金単価は上昇傾向にあり、2022年11月に上限額に達しています。
ほかのガス会社も同じように従量料金単価は上昇しており、東京ガスは2022年7月の時点で上限に達し、同年10月検針分から翌年3月まで段階的に上限金額を引き上げています。
都市ガスの原料である液化天然ガスや液化石油ガスが2022年2月より供給バランスが崩れ、同時期に急激な円安も直撃したため、2022年はガス代の高騰が止まりませんでした。
2023年に入ってある程度改善の兆しが見える
2022年のガス代の高騰を受け、政府は2023年2月検針分より1㎥あたり30円の補助金を出しています。補助金は直接ガス会社に交付され、ガス代に反映されているので、気づきにくいです。
例えば、ガスの1カ月の使用量が40㎥だった場合、ガス代から1,200円が割引されています。
また、2022年は天然ガスの調達価格が一時は3倍以上まで上昇していましたが、現在は上昇が始まる2021年8月時点と遜色ない価格まで下がっています。そのため、各ガス会社の従量料金単価も下落傾向にあり、2023年7月分では基準単位料金を下回る場合もあります。
政府の補助金は2023年10月検針分までで終了してしまうので、11月検針分以降はやや値上がりしたかのように感じられますが、2022年のガス代に比べれば安くなる可能性は高いです。
原料費が高騰した社会情勢や経済情勢のリスクは残っていますが、現在の状況が続けばガス代は安定した価格で落ち着くと予想されています。
ガス代が高騰した場合の対策
現時点でのガス代は落ち着いていますが、社会情勢や経済情勢が悪化したら再び高騰する可能性は十分考えられます。そのため、ガス代が高騰した場合に備えて、今のうちに次のような対策を行っておくと良いでしょう。
- お風呂の使い方を見直す
- キッチンの使い方を見直す
- ガス会社や料金プランを変更する
- ガス機器を変更する
上記の対策を順番に解説します。
お風呂の使い方を見直す
住宅でガスを使う主なシーンは給湯と調理です。特に、給湯は家庭でのエネルギー消費量の約4分の1を占めており、エネルギー消費量の多い用途として挙げられます。
つまり、ガス代を節約したい場合は、まずはお風呂の使い方を見直してみましょう。お風呂の使い方で見直したいポイントは以下の通りです。
- お風呂が沸いたらすぐに入る
- 浴槽に蓋を使用する
- 追い焚きの回数を減らす
- お湯を少なめにする
- 設定温度を下げる
- シャワーの温度を下げる
- シャワーの回数を減らすなど
お風呂で特に注意すべきなのは、お風呂の温度を維持することです。お風呂の温度が下がってしまうと、追い焚きやシャワーの回数が増えてしまい、結果としてガスの使用量が増えてしまう可能性があります。
そのため、お風呂が沸いたらすぐに入り、次の人が入るまでは蓋や保温シートなどを利用して追い焚きを利用しないようにしましょう。また、お湯を少なめにして、設定温度を下げることでもガス代の節約につながります。
湯船に入らない方でガス代を節約したい場合はシャワーの使い方を見直すと良いです。例えば、シャワーの設定温度を下げて、こまめに止めるようにすればある程度の節約効果が認められます。
キッチンの使い方を見直す
キッチンでは給湯や調理などでガスを使うシーンがあります。そのため、ガス代を節約したい方は、次のようなポイントを見直してみましょう。
- お湯の使用を少なくする
- ガスコンロの使用時間を短くする
- 火力を強めない
- 電子レンジや炊飯器などを多用する
- 一度に大量に作って冷凍保存する
- 調理方法を工夫するなど
ガス代はガスの使用量が少なくなると料金も抑えられるので、お湯やガスコンロの使用時間を短くすると良いです。また、火力を強くしない、電子レンジや炊飯器などのガスを使用しない調理器具を使うなどの方法でも、ガスの使用量を減らせます。
ほかにも、一度に大量に料理を作り、冷凍保存して必要に応じて解凍すれば、調理回数が減ってガスの使用量も少なくなります。野菜は細かく切り、沸騰させるときに蓋をするなど、調理方法を工夫することも検討してみましょう。
ただし、キッチンでガス代を節約する方法はあまり多いとは言えず、お風呂に比べると大幅な節約ができるとは限りません。
ガス会社や料金プランを変更する
ガス会社や料金プランによっては従量料金単価が安くなる場合があります。例えば、次の表は東邦ガスの「一般ガス料金」と「がすてきトクトク料金」を比較したものです。
1カ月のガス使用量 | 基本料金 | 一般ガス料金 | がすてきトクトク料金 | |
---|---|---|---|---|
従量料金単価 (基準単位料金) |
従量料金単価 (基準単位料金) |
|||
A表 | 0㎥~20㎥ | 759.00円 | 210.52円 | 208.82円 |
B表 | 21㎥~50㎥ | 1,588.88円 | 169.03円 | 164.30円 |
C表 | 51㎥~100㎥ | 1,833.33円 | 164.14円 | 157.55円 |
D表 | 101㎥~250㎥ | 2,077.77円 | 161.70円 | 155.98円 |
E表 | 251㎥~500㎥ | 2,648.14円 | 159.41円 | 153.71円 |
F表 | 501㎥~ | 7,109.25円 | 150.49円 | 144.92円 |
東邦ガスの「一般ガス料金」と「がすてきトクトク料金」は基本料金が同じで、従量料金単価は「がすてきトクトク料金」のほうが若干ですが安いです。ガス代が高騰していた2022年中も、「がすてきトクトク料金」のほうが抑えられていました。
ガスの料金プランは消費者が自由に決めることができるので、「がすてきトクトク料金」のように従量料金単価が安い料金プランへの乗り換えも検討してみましょう。
ただし、料金プランによって原料費調整額の上限は異なり、場合によっては一般ガス料金よりも高くなる可能性はあります。
ガス機器を変更する
上記の方法でガス代が節約できない場合は、ガス機器を買い替えることも検討してみましょう。基本的に、最新のガス機器はガスの使用効率が良いため、同じ時間使用していても、ガス代が節約できる可能性が高いです。
また、ガスコンロをIHクッキングヒーターに、ガス給湯器をエコキュートに交換することで、ガス代を大幅に節約できます。特におすすめはエコキュートです。
エコキュートとは?
エコキュートとは、電気と空気の熱でお湯を沸かす給湯器です。エアコンでも使用されているヒートポンプ技術を用いており、お湯を沸かすための年間ランニングコストがガス給湯器よりも大幅に節約できます。
エコキュートの年間ランニングコスト | ガス給湯器の年間ランニングコスト | |
---|---|---|
北海道電力エリア | 約32,400円 | 約109,200円 |
東北電力エリア | 約21,600円 | 約104,400円 |
北陸電力エリア | 約20,400円 | 約118,800円 |
東京電力エナジーパートナーエリア | 約24,000円 | 約78,000円 |
中部電力エリア | 約24,000円 | 約87,600円 |
関西電力エリア | 約20,400円 | 約81,600円 |
中国電力エリア | 約22,800円 | 約112,800円 |
四国電力エリア | 約26,400円 | 約99,600円 |
九州電力エリア | 約18,000円 | 約108,000円 |
沖縄電力エリア | 約10,800円 | 約54,000円 |
上記の年間ランニングコストはエコキュートの性能や家族の人数などで異なりますが、中部電力エリアならガス給湯器からエコキュートに交換すると年間約63,600円の節約が見込めます。
エコキュートは定期的にメンテナンスや手入れを行っていれば10年以上使用できる給湯器です。つまり、ガス給湯器からエコキュートに買い替えると10年間で給湯に関する支出を約63万円も節約できる可能性があります。
ただし、エコキュートはガス給湯器と違って貯湯式給湯器です。お湯を貯めて使用する給湯器なのでガス給湯器とは仕組みが違い、選ぶ時のポイントを知っておくことが重要です。
まとめ
以上が、ガス代の高騰の解説です。2022年はガス代が高騰し続けた年ですが、2023年に入りある程度の改善が見られています。しかし、ガス代が高騰した社会情勢や経済情勢の原因は解決していないため、今後再び上昇するリスクは高いです。
エコキュートに買い替えれば、お湯を沸かすためのランニングコストは抑えられますが、エコキュートはガス給湯器と違った仕組みなので、選ぶ時は専門知識が必要になります。
「エコパパのお店」では、専門知識が豊富なスタッフが対応いたします。メーカー正規品を低価格で販売していますので、エコキュートのことで質問がある方は、ぜひご相談ください。