ガス給湯器からエコキュートへ交換するメリットは?交換にかかる工事費や交換費用なども解説
2022年6月20日
ガス給湯器とエコキュートはどちらも給湯器システムですが、お湯の作り方と貯湯タンクユニットの有無などの違いがあります。そのため、ガス給湯器からエコキュートへ交換する場合は、ランニングコストやデメリットなどを改めて知っておく必要があります。
そこで今回は、ガス給湯器からエコキュートへ交換するメリットや、交換にかかる工事費用などを解説します。交換するべきかどうかの結論も出しているので、ぜひ最後までご覧ください。
ガス給湯器からエコキュートへ交換できるの?
ガス給湯器からエコキュートへ交換することは可能です。ただし、ガス給湯器とエコキュートはどちらも給湯器システムですが、お湯の作り方や貯湯タンクユニット、配管の本数などで違いがあるため、交換する場合には次のような工事が必要です。
- ガス給湯器の撤去
- エコキュート本体の搬入・設置・アンカー止め
- 給水・給湯配管接続
- 電気配線接続
- 排水管接続
- リモコン取付
- 試運転
最初におこなうことは、ガス給湯器の撤去です。施工業者によって対応は異なりますが、廃棄費用が発生する場合があります。次にエコキュートを設置するために、コンクリートの基礎土台を作成し、設置、アンカー止めなどの基礎工事を行います。
一般的なガス給湯器は瞬間式給湯器のため、貯湯タンクユニットを置くスペースがありません。そのため、ガス給湯器からエコキュートへ交換する際は、貯湯タンクユニットを置くために下記のいずれかの工事が必要です。
内容 | |
---|---|
土間打ち(現場打ち) | 地面に砂利を突き固めて敷き込み、上からコンクリートを打ち込んで作る土台 工期はかかるが、地盤が弱い場所でもエコキュートを設置できる |
エコベース | 既にできているコンクリート土台を設置する 地盤が弱い場所では不向きだが、工期は短くなる |
エコキュートを設置したら、配管工事を始めます。現場の状況にもよりますが、給水・給湯配管はガス給湯器で使用していた既存配管を使用しますが、追い焚き用の配管は新設するケースが多いです。
配管接続が終われば、電気配線や排水管の接続工事を行います。基本的にはガス給湯器で使用していた既設設備を利用しますが、現場の状況によっては追加工事が必要になります。
最後にエコキュートのリモコンユニットを設置すれば基本工事(標準工事)は終了です。エコキュートの試運転をおこない、問題が無ければ購入者に引き渡します。
上記の工事は、ガス給湯器からエコキュートへ交換するのに必要な基本的な工事です。工事費は施工業者にもよりますが、10万円~17万円が相場です。
ただし、ガス給湯器からエコキュートへ交換する場合は、次のような追加工事が必要になる可能性が高いので、工事費用は高くなる可能性があります。
工事内容 | 工事費用の目安 | |
---|---|---|
分電盤交換・主幹ブレーカー交換 | 200Vに対応している分電盤に交換する工事 | 3万5千円~6万円 |
浴槽穴あけ | 必要な配管を通すために穴を開ける工事 | 1万円~1万5千円 |
幹線交換 | 200Vに対応している配線に交換する工事 | 2万5千円~5万5千円 |
ガス給湯器からエコキュートへ交換する場合は、追加工事が必要になる可能性が高いので、事前に見積もりを取って検討しておくことが大事です。
ガス給湯器とエコキュートの違い
ガス給湯器とエコキュートの違いは次のとおりです。
- お湯の作り方
- ランニングコスト
- 設置スペース
上記の違いを順番に解説します。
お湯の作り方
ガス給湯器は給湯と同時に加熱をおこなっている瞬間式給湯器です。水が通る水管部にヒーターが取り付けられており、給湯のために給湯栓が開くと同時に給水した水を直接温めて、各所に給湯します。
一方で、エコキュートは電気と空気の力を利用してお湯を作る貯湯式給湯器です。ヒートポンプユニットが空気を圧縮して取り出した熱によってお湯を温めると、貯湯タンクユニットで貯めておき、必要に応じて各所に給湯します。
つまり、ガス給湯器はガスの力でお湯を作り、エコキュートは電気と空気の力でお湯を作る給湯器となります。
瞬間式給湯器と貯湯式給湯器のメリット、デメリットは次のとおりです。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
瞬間式給湯器(ガス給湯器) | 水道管の水圧を利用できる 湯切れの心配がない コンパクトなサイズ |
断水時に利用できない ランニングコストが高い |
貯湯式給湯器(エコキュート) | 断水時でも生活用水が利用できる ランニングコストが安い |
水圧が弱くなる 湯切れのリスクがある 貯湯タンクユニットを置くスペースが必要 |
上記のメリット・デメリットで注目したいのがランニングコストと湯切れです。
ランニングコスト
本記事では、お湯を作るために支払い続ける光熱費(ガス代や電気代)のことをランニングコストと呼んでいます。
ガス給湯器は住んでいるエリアによって異なりますが、都市ガスとプロパンガスのどちらかを使用してお湯を作ります。一方で、エコキュートは電気と空気の熱を利用してお湯を作るため、ランニングコストが下記のように違います。
- ガス給湯器…1のお湯を作るのに3のエネルギーが必要
- エコキュート…1のお湯を作るのに1のエネルギーが必要
電気とガスのエネルギー単価は、ガスの方が安い傾向はあります。実際、ガス給湯器と電気温水器(電気のみでお湯を作る給湯器)では、同じ湯量を作るのに必要なランニングコストは電気温水器の方が高いです。
しかし、エコキュートは電気と空気の熱の両方を利用してお湯を作っているため、同じ量のお湯を作るのに必要なランニングコストがガス給湯器よりも安くなります。
設置スペース
瞬間式給湯器は給湯時にお湯を作ります。一方で、貯湯式給湯器は作ったお湯を貯湯タンクユニットに貯めておき、必要に応じて給湯をします。
そのため、エコキュートには貯湯タンクユニットを置くスペースが必要になります。貯湯タンクユニットの大きさは機種によって異なりますが、370L(一般的な容量)でベーシックな角型タイプだと横幅630mm前後、奥行き730mm前後、高さ2,175mm前後は必要です。
ガス給湯器は壁掛け式が一般的で、省スペースとなっています。そのため、ガス給湯器からエコキュートへ交換したいと考えても、スペースが無いから難しいといわれることがあります。
ガス給湯器からエコキュートへ交換するメリット・デメリットは?
ガス給湯器からエコキュートへ交換するメリット・デメリットは次の表のとおりです。
ガス給湯器からエコキュートへ | |
---|---|
メリット | ランニングコストが安くなる 断水時でも生活用水が利用できる |
デメリット | 湯切れのリスクがある 水圧が弱くなる 本体費用や設置費用が高い |
ガス給湯器からエコキュートへ交換するメリットとデメリットについて順番に解説します。
ガス給湯器からエコキュートへ交換するメリット
ガス給湯器からエコキュートへ交換する最大のメリットはランニングコストが安くなることです。パナソニックの発表によると、ガス給湯器とエコキュートの東京電力エリアでのランニングコストは以下のとおりです。
- ガス給湯器(都市ガス)…年間約78,000円
- エコキュート…年間約24,000円
ガス給湯器に比べて、エコキュートの方が効率よくお湯を作ることができます。また都市ガスは地域によって価格に違いがあるので、住んでいるエリアによってはガス給湯器からエコキュートへ交換すると、他所のエリアよりもランニングコストを大幅に節約できます。
次の表は各地域のエコキュートとガス給湯器のランニングコストの目安をまとめたものです。なお、実際のランニングコストはエコキュートの種類や家族の人数、ライフスタイルによって変動するので、あくまでも目安として参考にしてください。
エコキュートの月平均のランニングコスト(税込) | エコキュートの年間のランニングコスト(税込) | ガス給湯器の年間ランニングコスト(税込) | |
---|---|---|---|
北海道電力エリア | 約2,700円 | 約32,400円 | 約109,200円 |
東北電力エリア | 約1,800円 | 約21,600円 | 約104,400円 |
北陸電力エリア | 約1,700円 | 約20,400円 | 約118,800円 |
東京電力エリア | 約2,000円 | 約24,000円 | 約78,000円 |
中部電力エリア | 約2,000円 | 約24,000円 | 約87,600円 |
関西電力エリア | 約1,700円 | 約20,400円 | 約81,600円 |
中国電力エリア | 約1,900円 | 約22,800円 | 約112,800円 |
四国電力エリア | 約2,400円 | 約28,800円 | 約99,600円 |
九州電力エリア | 約1,500円 | 約18,000円 | 約108,000円 |
沖縄電力エリア | 約900円 | 約10,800円 | 約54,000円 |
また、エコキュートは貯湯タンクユニットにお湯を貯めているので、断水時でも生活用水を利用できます。ただし、貯湯タンクユニットに貯めてあるお湯は飲用水に適していないので、飲み水として使用するのは止めておきましょう。
ガス給湯器からエコキュートへ交換するデメリット
ガス給湯器からエコキュートへ交換する際のデメリットは、湯切れのリスクがあることです。エコキュートは深夜の電力料金が遅い時間帯に翌日分のお湯をまとめて作って貯めておきます。
日中にお湯を使いすぎると湯切れとなり、電気料金の高い時間帯にお湯を作ることになり、ランニングコストが高くなる可能性があります。そのため、ガス給湯器からエコキュートへ交換した方は、湯切れを起こさないように注意する必要があります。
また、ガス給湯器は水道管の水圧をそのまま利用できるため、シャワーの水圧が強いです。一方で、エコキュートは貯湯タンクユニットでお湯を貯める際に減圧をしているので、ガス給湯器に比べると弱い傾向があります。
最近のエコキュートはパワフル高圧給湯タイプが増えているため、水圧も改善されています。しかし、ガス給湯器からエコキュートに交換したことで水圧が弱いと感じる方もいます。
最後のデメリットは、ガス給湯器からエコキュートへ交換すると本体費用や設置費用などの初期費用が高いことです。
メーカーや機種、業者によって異なりますが、エコキュートの初期費用の相場は50万円前後です。一方、ガス給湯器の初期費用は15万円~40万円となっており、エコキュートに比べると安い傾向があります。
最終的なトータルコストはガス給湯器からエコキュートへ交換すれば上回ります。しかし、初期費用はエコキュートの方が高いと覚えておきましょう。
ガス給湯器からエコキュートへ交換しない方が良いの?
結論から申し上げますとガス給湯器からエコキュートへ交換できる方は、交換した方がお得です。なぜなら、エコキュートの方が効率よくお湯を作れるので、ランニングコストの節約効果を期待できます。
例えば、次のようなエコキュートとガス給湯器を購入したとします。
- ガス給湯器…初期費用20万円
- エコキュート…初期費用50万円
初期費用の差額は30万円ですが、ランニングコストを比較するとエコキュートの方が年間約78,000円(東京電力エリアの場合)を節約できます。
つまり、上記のケースでガス給湯器からエコキュートへ交換すると約4年で初期費用の差額を回収でき、残りの期間で年間約78,000円のランニングコストを節約できます。家計の節約を考えている方は、エコキュートへの交換をおすすめします。
まとめ
以上が、ガス給湯器からエコキュートへ交換する場合の解説になります。ガス給湯器からエコキュートへ交換する際は湯切れのリスクや水圧、初期費用などのデメリットはあります。
しかし、長期使用した場合のランニングコストやトータルコストを比較すると、ガス給湯器からエコキュートへ交換した方がお得です。また、エコキュートは機種や業者によっては低価格で購入できるので、初期費用を節約したい方はお店に相談してみましょう。
「エコパパのお店」はエコキュートに関する専門知識が豊富なプロのスタッフが対応しております。
親切で丁寧、迅速な対応を心がけております。エコキュートに関する疑問や、電気温水器からエコキュートへの交換でご相談がありましたら、ぜひ「エコパパのお店」までお気軽にご連絡ください。