エコキュートの追い焚きの仕組みは?ランニングコストの節約やお手入れ方法なども紹介
2022年10月14日
エコキュートは貯湯式給湯器のため、追い焚きができないと思われがちですが、フルオートタイプのエコキュートなら可能です。ただし、エコキュートの追い焚きはガス給湯器と仕組みが違うため、注意すべきポイントがあります。
そこで今回は、エコキュートの追い焚きについて解説します。追い焚きの仕組みやランニングコストの節約、お手入れ方法などをわかりやすく紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
エコキュートの追い焚きの仕組み
追い焚きとは、風呂のお湯を循環させて設定温度まで温めなおす機能のことです。
エコキュートはフルオートタイプ、オートタイプ、給湯専用タイプの3種類があり、主にフルオートタイプのエコキュートに搭載されています。
メーカーによって追い焚きの仕組みは多少異なりますが、基本的には浴槽内のお湯が循環ポンプにより汲み出され、エコキュートの熱交換器によって温められて、湯船に戻ってきます。
エコキュートに戻る時は、風呂配管とは別の追い焚き専用の配管を通り、貯湯タンクユニット内部のお湯と混ざらないように温められます。そのため、浴槽の湯が貯湯タンクユニットに貯めてあるお湯と混ざることはありません。
追い焚きと足し湯の違いは?
足し湯は湯船に新しいお湯を足して、設定温度まで温める機能です。フルオートタイプやオートタイプのエコキュートに搭載されています。
追い焚きは浴槽のお湯を温め直すため新たにお湯は足しませんが、足し湯はタンクの熱湯を新たに給湯するため、水道代が増えるというデメリットがあります。
概要 | 水道代 | |
---|---|---|
追い焚き | 浴槽のお湯を循環させて温め直して戻す | 増えない |
足し湯 | 冷めたお湯を減らして高温のお湯を足して設定温度まで引き上げる | 増える |
また、足し湯は通常の足し湯機能と、高温足し湯の2種類があります。
通常の足し湯機能は貯湯タンクユニットに貯めてある熱湯と水を混ぜて適温となったお湯を追加します。
一方、高温足し湯は貯湯タンクユニットに貯めてあるお湯を薄めずに、そのまま浴槽に流します。そのため、次のようなメリット、デメリットがあります。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
通常の足し湯 | 湯量を増やすのに役立つ | 水道代が余分にかかる |
高温足し湯 | 通常の足し湯よりも速くお湯が温まる | 高温の湯がそのまま流れてくるので熱い |
通常の足し湯はタンクの熱湯と水を混ぜるので、高温足し湯よりも水道代が余分にかかります。しかし、高温足し湯は熱湯がそのまま流れてくるので、座っている位置や浴槽の人数によっては熱湯に触れて熱くなることがあります。
足し湯を利用する時は、上記のデメリットに注意しましょう。
追い焚きと自動保温の違いは?
自動保温は、一定時間まで湯はり後の湯船が設定温度になるように自動的に追い焚きする機能です。メーカーや機種によって設定時間は異なりますが、大抵は最長6時間まで設定できます。
フルオートタイプのエコキュートに搭載されている機能で、設定時間内ならいつでも温かいお湯に浸かることができます。
追い焚きと自動保温の違いは、自動で実行されるかどうかです。自動保温が点いている間は、自動的に追い焚きがおこなわれ、設定温度を維持します。一方、追い焚きは基本的に手動で操作し、設定温度に到達したら終了します。
追い焚きと違って自動保温は入浴前に操作する必要はありませんが、設定時間内に湯温が下がれば自動で追い焚きを始めます。そのため、余分なコストが発生する点に注意しましょう。
追い焚きと足し湯と自動保温ならどれが節約できる?
結論から申し上げますと、節約を考えるなら足し湯がおすすめと言われています。
自動保温は設定時間内に湯温が下がると余分に追い焚きをおこなうので、便利な機能ではありますが余分なランニングコストが発生しやすいです。そのため、節約を考えるなら自動保温はあまり多用しないほうが望ましいです。
次に、追い焚きと足し湯を比較した場合、足し湯は追い焚きに比べて水道代がかかるイメージがあるので、ランニングコストが高いように思えます。
しかし、追い焚きは貯湯タンクユニットに貯めてあるお湯の熱を利用して温めなおす仕組みとなっています。そのため、追い焚きを多用すると、貯湯タンクユニットに貯めてあるお湯の湯温が下がってしまうことがあります。
エコキュートは電気代の安い深夜にお湯を作る給湯器ですが、追い焚きによって貯湯タンクユニットの湯温が下がると、「タンク内に給湯できるお湯が無い」湯切れの状態だと判断します。
つまり、追い焚きを利用すると、エコキュートを余分に動かすことにつながります。
そのため、深夜以外の時間帯にお湯を沸かそうと稼働するので、結果としてランニングコストが高くなってしまう恐れがあります。光熱費の節約を考えるなら、自動保温は止めて、追い焚きの使用頻度は少なくして、足し湯を使うようにすると良いです。
なお、エコキュートによっては搭載している機能により、足し湯よりも追い焚きのほうが光熱費の節約につながる場合があります。購入する際に、メーカーや販売業者に質問してみましょう。
追い焚きの魅力
追い焚きの魅力は安心して使用できることです。
足し湯はシャワーや給湯、お湯はり以外にお湯を消費するため、使いすぎると湯切れを起こす可能性があります。また、高温足し湯は熱湯がそのまま流れ込んでくるため、子供やお年寄りが火傷を負うかもしれません。
追い焚きは浴槽の湯を循環して設定温度になるようにコントロールされています。使いすぎると貯湯タンクユニット内の湯温が下がるリスクはありますが、貯湯量を減らさず、やけどの心配をする必要がありません。
追い焚きの注意点
追い焚きを利用する際は、ランニングコスト以外に次のことに注意しましょう。
- 衛生面に注意する
- 入浴剤に注意する
上記の注意点を順番に解説します。
衛生面に注意する
節約のために前日の湯船を追い焚きで温めなおそうとしている方は、衛生面に注意しましょう。衛生微生物研究センターの発表によると、入浴後のお風呂を一晩放置していると、細菌の数は1,000倍以上に増えます。
人間と共生している細菌なので、一晩放置したお湯を追い焚きしたからと言って体調を崩すことは通常ならありえません。しかし、免疫力が低下している、あるいは小さな子供や高齢者だと体調を崩すケースが報告されているので注意が必要です。
特に、レジオネラ属菌が原因で死亡した事例があります。レジオネラ属菌は36度前後が最も増殖に適した温度で、お風呂や加湿器内で増殖します。
レジオネラ属菌を含むしぶきや液体が口に入ると感染し、高熱や筋肉痛、吐き気などの症状を引き起こします。重症化傾向の強いレジオネラ肺炎を発症すると、急激に重症化して、亡くなるケースもあります。
入浴剤に注意する
追い焚きは浴槽のお湯を循環させて温めなおす機能です。浴槽のお湯に入浴剤が混じっていると、成分によっては配管内部でスケール詰まりを起こす原因となり、給湯効率の低下や故障を招く恐れがあります。
そのため、メーカーはエコキュートで使用できる入浴剤を指定しています。メーカーごとに違いはありますが、基本的にとろみ成分の入っている入浴剤は使用できません。
そのため、追い焚き機能があるフルオートタイプのエコキュートを購入するときは、使用できる入浴剤の種類を確認しておくと良いです。
エコキュートのお手入れ
追い焚きを利用するなら、エコキュートのお手入れは欠かせません。特にレジオネラ属菌はぬめりの中で繁殖するので、浴槽の掃除だけでなく、追い焚き配管の清掃も必要です。
追い焚き配管の清掃は一定の湯量と、清掃用の洗浄剤が必要です。エコキュートメーカーによっては洗浄剤が指定されていることがあるので、ドラックストアやスーパー、インターネットショップなどで購入しましょう。
追い焚き配管の清掃手順は以下のとおりです。
1. 浴槽内の穴より約5cm以上の水位があることを確認する
2. 洗浄剤を投入して溶けるのを待つ
3. 2分~3分程度追い焚きをする
4. 10分程放置して排水する
5. 浴槽に水を貯めて5分程追い焚きする
6. 排水して洗い流す
追い焚き配管の清掃は、洗剤を染み込ませた水を循環させて、配管内部の汚れを洗い流す作業になります。そのため、ある程度の水が必要なので、浴槽内の穴より約5cm以上の水位があるか確認し、足りなかったらシャワーで足しましょう。
追い焚き配管用の洗浄剤を投入して、白く泡立ったら追い焚きをおこないます。なお、残り湯が温かいと追い焚きできない場合があるので、少し水を入れて冷ますと良いです。
追い焚きが終わったら10分程待ってから、風呂の栓を抜きます。洗剤入りのお湯が排水されたら、栓を閉めて、再び浴槽内の穴より約5cm以上の水位になるように水を貯めます。
水が溜まったら追い焚きをおこない、配管内部をすすぎます。最後に、お風呂の栓を抜き、残った洗剤を洗い流せば追い焚き配管の清掃は完了です。
上記の作業を3ヶ月に1度のペースでおこなっておくと、清潔な状態を保てます。
まとめ
以上が、エコキュートの追い焚きの解説になります。エコキュートの追い焚きは浴槽内のお湯を循環させて温めなおす機能です。足し湯と違って水道代は余分にかからず、適温のお湯が流れてくるので小さい子供がいても安心して利用できます。
しかし、追い焚きを多用すると貯湯タンクユニット内部の湯温が下がってしまうため、深夜以外の時間帯に沸き上げをおこなうことがあります。そのため、ランニングコストを節約するなら追い焚きよりも足し湯の方がおすすめです。
エコキュートはメーカーや機種によって搭載している機能が異なり、お得に追い焚きができる機種もあります。エコキュートの追い焚き機能に興味がある方は、業界知識が豊富なスタッフが対応する「エコパパのお店」までご相談ください。