中国電力の値上げの影響は?中国電力の値上げ額をプランごとにわかりやすく解説
2023年4月4日
中国電力は昨今の社会情勢や経済環境の変化などにより、2023年4月1日より電気料金の値上げを実行する予定です。低圧部門のすべての電気料金プランが影響を受けるので、中国電力と契約している方は契約内容や値上げ額などを確認しましょう。
そこで今回は、中国電力の値上げについて解説します。主要な料金プランの値上げ額も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。なお、本記事は2023年3月末時点の情報に基づいて作成しております。
中国電力の値上げは燃料価格や電力市場価格の高騰が原因
中国電力は低圧部門の規制料金プランと自由料金プランの値上げを経済産業大臣に申請しました。値上げ予定日は2023年4月1日以降で、中国電力の申請がすべて認められれば現行料金から平均31.33%の値上げとなります。
中国電力は2008年に電気料金の見直しを実行して以降、15年間本格的な値上げを実行していません。しかし、昨今の燃料価格や電力市場価格の上昇は企業の収支や経営に大きな影響を与えており、2022年度は過去最大の赤字になると予想されています。
そのため、2023年4月1日より規制料金プランと自由料金プランが見直されて、現行料金よりも高くなる可能性があるので注意しましょう。
なお、記事執筆時点では国の審査会が終わっていないので、2023年4月1日より電気料金が見直されるかどうかは不明です。
中国電力の値上げ後の値上げ率や支払額
中国電力は低圧部門の規制料金プランと自由料金プランの値上げを予定しています。低圧とは契約電力が50kW未満の低圧電力のことで、主に家庭向けの料金プランを指します。
主要な料金プランの値上げ額や値上げ率、支払額などを順番に解説します。
なお、厳密には電気料金の見直しなので、見直し前・見直し後と表記するべきですが、本記事では理解しやすさを優先して値上げ前・値上げ後と表記します。
従量電灯A
「従量電灯A」は主に家庭向けの規制料金プランです。電灯やコンセントなどで使用する電気機器の最大容量が6kVA未満の方を対象としています。使用電力量によって電力量料金が上昇し、基本料金は設定されていませんが、最低料金があることが特徴です。
区分 | 単位 | 料金単価 | ||
---|---|---|---|---|
値上げ前 | 値上げ後 | |||
最低料金(最初の15kWhまで) | 1契約 | 384.71円 | 496.91円 | |
電力量料金 | 15kWhを超え 120kWhまで |
1kWh | 23.95円 | 31.39円 |
120kWhを超え 300kWhまで |
30.63円 | 40.95円 | ||
300kWh超過分 | 32.75円 | 44.08円 |
例えば、1カ月の使用電力量が260kWhの家庭の場合、値上げ前の電気料金が月額8,029円だったのに対して、値上げ後は10,428円に上昇しており、値上げ率は29.88%で、値上げ額は2,399円です。
従量電灯B
「従量電灯B」は主に商店や事務所、飲食店、家庭などで小型機器を多く使用する方向けの規制料金プランです。電灯やコンセントなどで使用する電気機器の最大容量が6kVA以上50kVA未満の方を対象としています。
従量電灯Aと同様に、使用電力量に応じて電力量料金が変動しますが、基本料金が設定されています。
区分 | 単位 | 料金単価 | ||
---|---|---|---|---|
値上げ前 | 値上げ後 | |||
基本料金 | 1kVA | 407.00円 | 429.00円 | |
電力量料金 | 120kWhまで | 1kWh | 21.26円 | 17.91円 |
120kWhを超え 300kWhまで |
27.35円 | 21.12円 | ||
300kWh超過分 | 29.22円 | 23.63円 |
例えば、契約容量が15kVAで1ヵ月の使用電力量が1,950 kWhの場合、値上げ前の電気料金が月額68,464円だったのに対して、値上げ後は89,979円に上昇しており、値上げ率は31.43%で、値上げ額は21,515円です。
低圧電力
「低圧電力」とは、主に工場や商店、事務所などで業務用エアコンや冷蔵庫、工作機械などを使用する方向けの規制料金プランです。低圧で電気の供給を受け、契約電力が50kW未満の方が対象です。
規制料金プランですが、使用電力量によって電力量料金が変動しません。ただし、毎年7月1日~9月30日までを夏季として、ほかの時期に比べて電力量料金が高くなる仕組みです。
区分 | 単位 | 料金単価 | ||
---|---|---|---|---|
値上げ前 | 値上げ後 | |||
基本料金 | 1kW | 1,111.00円 | 1,110.45円 | |
電力量料金 | 夏季 | 1kWh | 18.20円 | 27.95円 |
その他季 | 16.91円 | 25.41円 |
例えば、契約電力が8kWで力率が85%、1ヵ月の使用電力量が560kWhの場合、値上げ前の電気料金が20,098円だったのに対して、値上げ後は25,554円に上昇し、値上げ率は27.15%、値上げ額は5,456円です。
ぐっとずっとプラン スマートコース
「ぐっとずっとプラン」は中国電力が提供している自由料金プランで、コースごとに特徴が異なります。スマートコースの場合は、規制料金プランのように使用電力量で電力量料金が変動しますが、時間帯区分がありません。
区分 | 単位 | 料金単価 | ||
---|---|---|---|---|
値上げ前 | 値上げ後 | |||
最低料金(最初の15kWhまで) | 1契約 | 443.02円 | 417.71円 | |
電力量料金 | 15kWhを超え120kWhまで | 1kWh | 35.15円 | 31.39円 |
120kWhを超え 300kWhまで |
41.83円 | 40.95円 | ||
300kWh超過分 | 43.95円 | 44.08円 |
スマートコースでは、最低料金と1段階目、2段階目の電力量料金が下がっています。そのため、使用電力量によっては、値上げ後の電気料金が安くなる逆転現象が起きます。
例えば、1カ月の使用電力量が260kWhの家庭の場合、値上げ前の電気料金が月額10,886円だったのに対して、値上げ後は10,348円に減少しており、値上げ率はマイナス4.94%で、値上げ額はマイナス538円です。
なお、3段階目の電力量料金は値上げしているので、1カ月の電力使用量が300kWh以上の家庭では電気料金が高くなる可能性があるので注意しましょう。
ぐっとずっとプラン 電化Styleコース
「ぐっとずっとプラン 電化Styleコース」はオール電化住宅やエコキュートなどを利用している方向けの自由料金プランです。使用電力量ではなく、電力を使用する時間帯で電力量料金が変動します。
区分 | 単位 | 料金単価 | |||
---|---|---|---|---|---|
値上げ前 | 値上げ後 | ||||
基本料金 | 最初の10kWまで | 1契約 | 1,650.00円 | 1710.50円 | |
10kWを超えて1kWにつき | 1kW | 407.00円 | 429.00円 | ||
電力量料金 | デイタイム | 夏季 | 1kWh | 47.04円 | 46.16円 |
その他季 | 44.98円 | 44.10円 | |||
リビングタイム | 29.23円 | 29.25円 | |||
ナイトタイム | 29.23円 | 29.25円 |
電化Styleコースでは、時間帯と季節を下記の区分で分けています。
- デイタイム…平日の9時から21時まで
- ナイトタイム…平日の21時~翌平日の9時まで
- ホリデータイム…土曜日、日曜日、祝日などの全日
- 夏季…7月1日から9月30日
- その他季…4月1日から6月30日と10月1日から翌年3月31日まで
電化Styleコースではデイタイムの電力量料金が若干下がり、リビングタイムとナイトタイムで若干上がっています。そのため、デイタイムの使用電力量の割合が多い家庭では、電気料金が下がる可能性があります。
例えば、契約電力が10kWで、1カ月の使用電力量が530Whの家庭でデイタイムの割合が大きい場合、値上げ前の電気料金が月額21,217円だったのに対して、値上げ後は21,175円で、値上げ率はマイナス0.20%、値上げ額はマイナス42円です。
ファミリープランⅡ
ファミリープランⅡとは、エコキュートや電気給湯器などを使用している方向けの自由料金プランです。ファミリープランⅠは基本料金が割高で電力量料金は割安、プランⅡは基本料金が割安で電気量料金が割高という特徴があります。
区分 | 単位 | 料金単価 | |||
---|---|---|---|---|---|
値上げ前 | 値上げ後 | ||||
基本料金 | 10kVAまで | 1契約 | 1,210.00円 | 1,270.50円 | |
10kVA超過 | 1kVA | 407.00円 | 429.00円 | ||
電力量料金 | デイタイム | 夏季 | 1kWh | 50.04円 | 49.93円 |
その他季 | 44.92円 | 44.80円 | |||
リビングタイム | 42.78円 | 44.56円 | |||
ナイトタイム | 27.62円 | 29.08円 | |||
最低月額料金 | 1契約 | 418.00円 | 418.00円 |
ファミリープランⅡでは、電化住宅割引として上限3,300円が割引されます。ただし、値上げ前は基本料金と電力量料金の合計から10%割引だったのに対して、値上げ後は8%割引となっています。
例えば、契約容量が10kVAで、1カ月の使用電力量が530Whの家庭の場合、値上げ前の電気料金が月額20,882円だったのに対して、値上げ後は21,267円で、値上げ率は1.84%、値上げ額は385円です。
中国電力の値上げ額の一覧
中国電力の主要な電力プランの値上げ率は以下の通りです。
値上げ額 | 値上げ率 | |
---|---|---|
従量電灯A | 2,399円 | 29.88% |
従量電灯B | 21,515円 | 31.43% |
低圧電力 | 5,456円 | 27.15% |
ぐっとずっとプラン スマートコース | マイナス538円 | マイナス4.94% |
ぐっとずっとプラン 電化Styleコース | マイナス42円 | マイナス0.20% |
ファミリープランⅡ | 385円 | 1.84% |
上記の値上げ率や値上げ額はシミュレーション上の結果であり、実際の電気料金を保証するものではありません。
中国電力の値上げは昨今の燃料価格や電力市場価格の高騰により、電力の原価が大幅に上昇していることが原因です。
自由料金プランは燃料費調整額の上限が設定されていないので、原価が大幅に上がっても対応できます。しかし、規制料金プランは上限が設定されているため、上限を超えた分は電力会社の持ち出しとなります。
つまり、今回の値上げは料金原価の高騰に合わせて規制料金プランの電気量料金を引き上げることが目的で、自由料金プランへの影響は少ないです。
そのため、使用電力量やライフスタイルによっては規制料金プランから自由料金プランに乗りかえたほうがお得になる場合はあります。
しかし、燃料費調整が上限を超過する場合では自由料金プランよりも規制料金プランの方が割安になる可能性があるので注意しましょう。
中国電力の値上げへの対策
中国電力の値上げが実施されると、従量電灯Aに加入していて1カ月の電力使用量が260kWhの場合、電気料金が1カ月あたり約2,400円、1年で約28,800円も増えます。
規制料金プランの場合、使用電力量が多いほど、支払う電気料金も割高になる傾向があるので、値上げについて次のような対策を検討してみましょう。
- 節電を行う
- 太陽光発電システムや蓄電池を検討してみる
- エコキュートを導入する
電力会社の値上げに対抗する方法は、使用電力量を減らすことです。無駄な電力の使用を控える節電や、エネルギーを生み出す太陽光発電システムなどの導入は使用電力量を減らすことに繋がります。
また、エコキュートのような省エネ性能の高い住宅機器の導入は支出を大きく減らすことが可能です。
次の表はエコキュートと他の給湯器の年間ランニングコストを比較したものです。
エコキュート | 電気温水器 | 石油給湯機 | ガス給湯器 | |
---|---|---|---|---|
北海道電力エリア | 約32,400円 | 約108,000円 | 約81,600円 | 約109,200円 |
東北電力エリア | 約21,600円 | 約80,400円 | 約73,200円 | 約104,400円 |
北陸電力エリア | 約20,400円 | 約82,800円 | 約72,000円 | 約118,800円 |
東京電力エナジーパートナーエリア | 約24,000円 | 約102,000円 | 約67,200円 | 約78,000円 |
中部電力エリア | 約24,000円 | 約99,600円 | 約68,400円 | 約87,600円 |
関西電力エリア | 約20,400円 | 約86,400円 | 約64,800円 | 約81,600円 |
中国電力エリア | 約22,800円 | 約91,200円 | 約68,400円 | 約112,800円 |
四国電力エリア | 約26,400円 | 約126,000円 | 約67,200円 | 約99,600円 |
九州電力エリア | 約18,000円 | 約78,000円 | 約66,000円 | 約108,000円 |
沖縄電力エリア | 約10,800円 | 不明 | 約56,400円 | 約54,000円 |
エコキュートは電気と空気の熱を利用してお湯を沸かす給湯器です。実際のランニングコストは給湯器の性能や家族の人数などで異なりますが、エコキュートは他の給湯器に比べて年間ランニングコストを大幅に節約することができます。
例えば、中部電力エリアでガス給湯器からエコキュートに交換すれば、年間72,600円の節約が可能なので、中部電力の規制料金プランの値上げ対策として有効です。
エコキュートに交換すると料金プランが変更になる、お湯の使い方が変わる、使用電力量が増えるなどの注意点はありますが、電気料金の大幅な値上げに有効なので検討してみましょう。
まとめ
以上が、中国電力の値上げの解説です。主に規制料金プランが大幅な値上げとなるので、規制料金プランを契約している方は電気料金の値上げに対して対策を検討してみましょう。
電力会社の大幅な値上げに対しては、節電や太陽光発電システムや蓄電池、エコキュートなどの導入がおすすめです。
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