九州電力が値上げをしない理由は?値上げが起きた時にできる対処方法を分かりやすく解説
2023年5月26日
2023年5月16日、政府は電力会社7社が申請していた規制料金の値上げを認めました。昨年11月からニュースで取り上げられていた電力会社の大幅な値上げが実施される見通しです。
しかし、九州地方を管轄する九州電力は今回の値上げに含まれていません。
そこで今回は九州電力が値上げをしない理由について解説します。また、九州電力で値上げが起きた時にできる対象方法を紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
電力会社の値上げはどうなった?
昨年11月から取り上げられていた電力会社の値上げは、2023年6月1日より実施される予定です。値上げする電力会社と値上げ率は以下の通りです。
電力会社 | 平均引き上げ率 | 値上げ額の目安(※) |
---|---|---|
北海道電力 | 20.1% | 3,223円 |
東北電力 | 21.9% | 3,182円 |
東京電力エナジーパートナー | 15.3% | 2,078円 |
北陸電力 | 39.7% | 4,724円 |
中国電力 | 26.1% | 3,802円 |
四国電力 | 23.0% | 3,239円 |
沖縄電力 | 36.6% | 5,323円 |
(※)1ヶ月あたり400kWh利用した場合の値上げ額の目安です。
燃料価格の高騰や電力市場価格の上昇などを受けて、当初は30%~40%ほどの値上げを予定していました。
しかし、昨年11月から現在にかけて燃料価格の高騰がやや収まりつつあることと、エネルギー価格が下落したこともあり、政府は当初案からの見直しを電力会社に要求し、再審議の結果上記の値上げ率に圧縮されています。
つまり、当初予定していたほどの値上げよりは、ある程度引き下げられています。
ただし、上記の平均引き上げ率は政府が出した査定方針です。電力会社7社は上記の査定方針を踏まえて、国に改めて値上げの申請を行い、経済産業大臣が認可した場合、6月からの電気料金の値上げとなります。
そのため、実際の値上げが上記と異なる可能性があるので注意しましょう。
九州電力が値上げをしない理由は?
2023年5月中旬時点で、九州電力が電力会社7社のような大幅な値上げを実施する予定は発表されていません。
九州電力が値上げをしない理由は幾つかありますが、一番大きい理由は原子力発電の割合が高いことが挙げられます。
日本のエネルギー基本計画では、温室効果ガスの削減のために、火力発電の割合を減らし再生エネルギーと原子力発電の割合を増やすことを目指していました。
上記の計画は、再生エネルギーの大量導入と化石燃料の価格低下が前提として進められていましたが、昨今の社会情勢の大幅な変化により化石燃料の価格は高騰し、電力量料金に大きな影響を及ぼしています。
そのため、今回値上げに踏み切った電力会社7社は業績が赤字に転落しており、規制利用金の値上げは経営存続のために必須の選択肢と言えます。
実は、九州電力も燃料費の高騰を受けて赤字に転落しています。しかし、2023年2月に行われた記者会見では、当面は値上げを行わないと発表し、話題を集めました。
九州電力とほかの電力会社の違い
九州電力とほかの電力会社の大きな違いは原子力発電の有無です。
次の表は、九州電力と値上げ申請を行った電力会社7社の電源構成の内訳をまとめたものです。
火力発電 | 再エネ(その他も含める) | 原子力発電 | |
---|---|---|---|
九州電力 | 36% | 19% | 36% |
北海道電力 | 64% | 36% | 0% |
東北電力 | 78% | 24% | 0% |
東京電力エナジーパートナー | 77% | 14% | 0% |
北陸電力 | 52% | 48% | 0% |
中国電力 | 59% | 41% | 0% |
四国電力 | 44% | 49% | 7% |
沖縄電力 | 94% | 6% | 0% |
上記の表にあるように、値上げ申請を行った電力会社7社は原子力発電の割合が0%か、極端に低いです。一方、九州電力は原子力発電の割合が全体の36%を占めており、ほかの電力会社に比べて火力発電の割合が抑えられています。
つまり、九州電力は原子力発電と再エネの発電比率が高いため、火力発電の燃料費が高騰しても、ほかの電力会社ほどの影響を受けない電力会社です。
火力発電と原子力発電のコストの違い
2021年に発表された「総合資源エネルギー調査会発電コスト検証ワーキンググループ」の試算によると、燃料ごとの1kWhあたりの発電コストは以下の通りです。
- 石油…約9円以上
- 天然ガス…7円以上
- 石炭…6円以上
- 原子力発電…7円以上
- 太陽光発電…2円以上
天然ガスの価格は2021年に比べて2倍以上に上がっているので、現在の発電コストは1kWhあたり21円以上かかる可能性があります。
また、施設の老朽化が進めば、発電効率が減少するため、実際にかかっている発電コストは上記の価格以上となっていても不思議ではありません。
つまり、現状の原子力発電や太陽光発電の発電コストは、火力発電に比べると安いです。
九州電力は発電コストが抑えられている原子力発電の割合が高い
九州電力はほかの電力会社に比べて原子力発電の割合が高く、火力発電の割合が低いです。発電コストは原子力発電のほうが抑えられているので、原子力発電の割合が高い九州電力は燃料費の高騰の影響を受けづらく、現時点で値上げをする必要がありません。
また、2023年3月に玄海原子力発電所4号機が通常運転に戻っているので原子力発電の割合が増えている可能性もあるため、当面値上げをする必要はないです。
九州電力が値上げを行う可能性
原子力発電の割合が高い九州電力では、規制料金の値上げを行う予定は現時点でありません。
しかし、将来的に値上げを行う可能性は否定できません。
まず、九州電力は2023年期通期の連結最終損益が750億円の赤字になる見通しを発表しています。火力電力の割合は低いとはいえ、燃料費の高騰の影響は九州電力にとっても深刻だったと伺えます。
また、原子力発電はテロ対策工事により一時的に停止していたことも赤字につながった原因です。
記者会見では過去5番目の赤字で苦しい状況にあると説明しつつも、燃料価格や円安は緩和傾向にあり、方向性としては回復基調にあるとしています。
しかし、状況が悪化すれば赤字幅が広がるリスクは依然として高いため、九州電力が今後値上げを絶対に行わないとは断言できません。
九州電力で値上げが起きた時にできる対処方法は?
九州電力で値上げが起きた時にできる対処方法は以下の通りです。
- 節電
- 太陽光発電や蓄電池の導入
- 省エネ性能の高い住宅機器の購入
上記の方法を順番に解説します。
節電
電気料金の規制料金は使用電力量に応じて段階的に電力量料金が高くなります。例えば、九州電力の従量電灯Bでは電力量料金が次のようになっています。
区分 | 単位 | 値上げ前 | |
---|---|---|---|
基本料金 | 10A | 1契約 | 316.24円 |
15A | 474.36円 | ||
20A | 632.48円 | ||
30A | 948.72円 | ||
40A | 1,264.96円 | ||
50A | 1,581.20円 | ||
60A | 1,897.44円 | ||
電力量料金 | 最初の120kWhまで | 1kWh | 18.28円 |
120kWh~300kWhまで | 23.88円 | ||
300kWh~ | 26.88円 | ||
最低月額料金 | 1契約 | 334.26円 |
使用電力量が多いほど電気量料金が高くなるので、使わない部屋の照明を切る、電化製品をコンセントから抜くなどの簡単な節電から始めて、使用電力量をへらすことを意識してみましょう。
また、LEDや高性能なエアコンに買い替えるなど、省エネ性能に優れた電化製品に買い替えることで、使用電力量を抑えることもできます。
太陽光発電や蓄電池を導入する
太陽光発電や蓄電池などの住宅機器を導入すれば、電気料金の値上げの対策になります。
太陽光発電を設置すれば、自宅で電力を発電するようになり、電力会社から購入する電力量を減らすことが可能です。また、蓄電池があれば太陽光発電の余剰電力を貯めておき、夕方に消費するといった使い方もできます。
ただし、太陽光発電や蓄電池は高額な住宅機器です。購入する際は、国や地方自治体が行っている補助金を活用しましょう。
省エネ性能の高い住宅機器の購入
エコキュートのような省エネ性能の高い住宅機器を購入して、家庭全体の支出を減らすことも検討してみましょう。
エコキュートは電気と空気の熱を利用してお湯を沸かす給湯器のため、ほかの給湯器に比べてお湯を沸かすためのランニングコストが抑えられています。
エコキュート | 電気温水器 | 石油給湯機 | ガス給湯器 | |
---|---|---|---|---|
北海道電力エリア | 約32,400円 | 約108,000円 | 約81,600円 | 約109,200円 |
東北電力エリア | 約21,600円 | 約80,400円 | 約73,200円 | 約104,400円 |
北陸電力エリア | 約20,400円 | 約82,800円 | 約72,000円 | 約118,800円 |
東京電力エナジーパートナーエリア | 約24,000円 | 約102,000円 | 約67,200円 | 約78,000円 |
中部電力エリア | 約24,000円 | 約99,600円 | 約68,400円 | 約87,600円 |
関西電力エリア | 約20,400円 | 約86,400円 | 約64,800円 | 約81,600円 |
中国電力エリア | 約22,800円 | 約91,200円 | 約68,400円 | 約112,800円 |
四国電力エリア | 約26,400円 | 約126,000円 | 約67,200円 | 約99,600円 |
九州電力エリア | 約18,000円 | 約78,000円 | 約66,000円 | 約108,000円 |
沖縄電力エリア | 約10,800円 | 不明 | 約56,400円 | 約54,000円 |
実際のランニングコストはエコキュートの性能や家族の人数によって変動するため、表の年間ランニングコストはあくまでも目安です。しかし、エコキュートがほかの給湯器に比べて抑えられていることは分かります。
現在、国は省エネ性能の高いエコキュートの導入のために50,000円の補助金を出す「給湯省エネ事業」を行っています。
予算規模は300億円で、住んでいる地域が条件に含まれていないので、九州地方のどこに住んでいても申し込むことができます。2023年12月31日まで行っている予定ですが、予算が尽きた時点で終了します。
2024年以降に同様の補助金制度を行うかは不明なので、エコキュートをお得に購入したいと考える方は、給湯省エネ事業の活用をおすすめします。
まとめ
以上が、九州電力が値上げをしない理由の解説です。九州電力は発電コストが安い原子力発電の割合が高いため、現時点では値上げを実行する予定がありません。
ただし、九州電力もほかの電力会社と同様に赤字となっており、状況が悪化すれば値上げに踏み切る可能性はあります。そのため、今のうちに節電や太陽光発電システム、エコキュートなどの導入を行いましょう。
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