冬になる前にやっておきたいエコキュートの故障対策は?凍結予防やメンテナンスのやり方を紹介
2022年11月30日
エコキュートは外気の熱を利用してお湯を作る給湯器です。そのため、外気温が下がる冬は給湯効率も下がり、エコキュートに余計な負荷がかかりやすくなります。余計な負荷がかかると、故障するリスクが高まります。
そこで今回は、冬になる前にやっておきたいエコキュートの故障対策について解説します。凍結予防やメンテナンスの方法を紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
エコキュートは冬に弱い給湯器
エコキュートは空気の熱を圧縮して温め、生まれた熱でお湯を作り、貯湯タンクユニット内部に貯めて必要に応じて各所に給湯します。
空気の熱を利用する給湯器のため、外気温が下がる冬になれば、必要な熱を生みだすためにエコキュートは通常よりも多く稼働するようになります。また、給水温度が下がれば、水道水を設定温度まで温めるために必要な熱エネルギーも多くなります。
他にも、貯湯タンクユニット内部は保温加工が施されていますが、他の季節に比べて温度が下がりやすくなっているため、機種や状況によってはタンク内部のお湯を温めなおすために、エコキュートが稼働することもありえます。
つまり、エコキュートは冬になると給湯効率が下がり、余計な負担がかかる可能性が高いです。次の表は、三菱エコキュートの「SRT-W375D」を愛知県名古屋市に暮らす4人家族で使用した場合の1年間のランニングコストと、他の給湯器のコストをまとめたものです。
エコキュートのランニングコスト | 都市ガスのランニングコスト | LPガスのランニングコスト | 灯油のランニングコスト | |
---|---|---|---|---|
1月 | 4,787円 | 9,471円 | 15,759円 | 6,314円 |
2月 | 4,291円 | 8,528円 | 14,114円 | 5,580円 |
3月 | 4,311円 | 8,899円 | 14,766円 | 5,876円 |
4月 | 2,701円 | 7,466円 | 12,278円 | 4,773円 |
5月 | 2,473円 | 6,796円 | 11,123円 | 4,275円 |
6月 | 1,908円 | 5,743円 | 9,303円 | 3,476円 |
7月 | 1,535円 | 5,323円 | 8,586円 | 3,164円 |
8月 | 1,307円 | 4,889円 | 7,843円 | 2,845円 |
9月 | 1,582円 | 5,243円 | 8,444円 | 3,103円 |
10月 | 2,232円 | 6,284円 | 10,239円 | 3,890円 |
11月 | 2,694円 | 7,289円 | 11,971円 | 4,648円 |
12月 | 4,207円 | 8,533円 | 14,131円 | 5,602円 |
あくまでもシミュレーションの結果のため、実際のランニングコストとは異なる場合があります。それでも、4月~11月までのランニングコストに対して、12月と1月~3月までのランニングコストは大きく違います。
愛知県名古屋市の給水温度と外気温は12月と1月~3月にかけて大幅に下がる傾向があるので、ランニングコストの増加と一致します。つまり、エコキュートは冬になると給湯効率が下がり、稼働する時間が増え、余計に負荷が掛かってしまう可能性があると言えます。
エコキュートの冬の故障
エコキュートの冬場のトラブルで最も多いことは、配管が凍結してしまい、お湯が出なくなることです。
エコキュートは一般的に機器が屋外に設置されており、水道水やお湯は配管内部を通って移動します。配管内部に水が移動せずに残っているときに、急激に低下して0℃以下になってしまうと凍結する恐れがあります。
寒冷地以外でも配管が凍結する事例は報告されています。例えば、2018年1月下旬に起きた強烈な寒波により、北陸地方を中心に全小國各地で給水管が破裂し、最大30,000戸が断水、あるいは減水の被害を受けています。
また、エコキュートは冬になると給湯効率が下がり負荷がかかるため、故障しやすい季節とも言われています。特にエコキュートの心臓部分であるヒートポンプユニットは精密部品の塊のため、故障しやすい機器のため、注意が必要です。
冬になる前にやっておくエコキュートの故障対策
エコキュートは冬になると配管の凍結やヒートポンプユニットが故障する確率が高くなります。そのため、冬になる前に次の対策を行っておきましょう。
- 配管凍結予防の方法を確認しておく
- 業者に依頼して配管に保温材を設置する
- 冬になる前にメンテナンスや点検を行っておく
上記の対策を順番に紹介します。
配管凍結予防の方法を確認しておく
エコキュートの配管が凍結してしまう理由は、配管内部で水が循環していない部分が凍ってしまうことが原因です。つまり、気温が大幅に下がりそうな日の前日から蛇口をわずかに開けておけば、水が移動して凍結を防げます。
メーカーや機種によって手順や指示の内容が多少異なりますが、基本的にお湯の温度を水に設定して、給湯栓側を少し開けておけば凍結予防になります。
給湯栓側を開けておくことで、エコキュート側の配管が開くため、水が循環されるようになります。給水栓側を開けておくと水道水だけが流れるので、エコキュートの配管凍結の予防にはならないため、注意しましょう。
また、エコキュートによっては入浴後のお湯を利用して凍結予防や凍結防止を行える機能を搭載しています。使用済みのお湯を循環させるので、余分な水道代がかからないというメリットがあるので、購入時に機能を搭載しているか確認しておくと良いです。
業者に依頼して配管に保温材を設置する
配管凍結を予防するもう1つの方法は、配管に追加の保温材や凍結防止用のヒーターを設置することです。基本的にエコキュートの配管周りは保温材や断熱材によって保護されていますが、気になる方は更に保温材や保護カバーを設置しましょう。
また、最近は配管に巻き付けて一定以下の外気温になると稼働する凍結防止用ヒーターもあります。設置のハードルはやや高いため、配管周りに保温材や凍結防止用ヒーターを取り付けたい方は、施工業者に依頼すると良いです。
冬になる前にメンテナンスや点検を行っておく
エコキュートの寿命は10年~15年と言われていますが、定期的にメンテナンスや点検を行っていた場合になります。特に、冬はエコキュートに負荷がかかりやすくなる季節のため、寒くなる前に次のメンテナンスを行っておくことが望ましいです。
- 貯湯タンクユニット内の掃除
- ヒートポンプユニットの水抜き
- 給水口ストレーナーの掃除
- 配管の清掃
- 漏電遮断器の動作確認
- 逃し弁の動作確認
- 水漏れの点検
上記の中で、特に重要なメンテナンスを順番に解説します。なお、メーカーや機種ごとにメンテナンスの手順や名称が異なる場合があります。
また、事前にメーカーや施工業者に依頼して点検を行っておけば、摩耗した部品の交換ができ、故障する確率を抑えることができるので検討しましょう。
貯湯タンクユニット内の掃除
貯湯タンクユニットは空気と触れない設計となっており、内部のお湯は65度~90度の高温のため雑菌は繁殖しません。しかし、水道水に含まれるミネラルや不純物がタンク内部に沈殿し、配管に目詰まりを起こす原因となります。
そのため、貯湯タンクユニットの排水栓からお湯を流して、ゴミを取り除きましょう。タンク内の掃除の手順は以下の通りです。
- 1. 貯湯タンクの下部の脚部カバーを取り外す
- 2. 給水配管に付いている止水栓を閉める
- 3.「逃し弁」カバーを開け、中に入っているレバーを引く
- 4. 排水栓を開き、約1~2分間、水を出し続ける(高温が出る可能性があるので注意)
- 5. 排水栓を閉じて、給水配管の止水栓を開ける
- 6. 排水口から水があふれるようになったら、逃し弁のレバーを元に戻す
ヒートポンプユニットの水抜き
ヒートポンプユニットの配管も、半年に1度のペースで水抜きをする必要があります。
ヒートポンプユニットの水抜きの手順は以下のとおりです。
- 1. 機器側面にある「水抜き栓」を回す
- 2. 約1~2分間排水させる
- 3. 排水が終わったら水抜き栓を閉める
なお、ヒートポンプユニットの水抜きは内部の水を全て流さないように注意しましょう。水抜き栓を回す時は軽く緩める程度にしておくと良いです。
メーカーごとの配管凍結のエラーコード
エラーコードとは、エコキュートでトラブルが起きたときに表示されるコードのことです。リモコンユニットに英単語と数字の組み合わせで表示されますが、メーカーごとに異なります。
次の表は、メーカーごとの配管凍結のエラーコードをまとめたものです。
凍結の可能性があるエラーコード | |
---|---|
ダイキン | HJ |
三菱 | 103 120 C03 C19 C20 C21 C23 C26 C27 C30 |
東芝 | U:27 HU:E9 |
パナソニック | U22 |
日立 | Er15 Er24 HE22 |
コロナ | E14 E16 |
ダイキンやパナソニックのように配管凍結だけを示すエラーコードもあれば、三菱のようにエラーの原因が配管凍結を含めた幾つかの可能性があることを示すエラーコードもあります。
エラーコードが表示されたら、公式サイトや取扱説明書を確認して、適切な対処をとるようにしましょう。
配管が凍結した場合の対処方法
配管内部が凍結してしまい、お湯が出ないときの対処法は以下の通りです。
- 気温が上昇するまで待つ
- 配管にぬるま湯をかけてみる
上記の方法を順番に解説します。
気温が上昇するまで待つ
場所や気候にもよりますが、エコキュートの配管凍結は日中になると溶けてしまい、解消されることが多いです。
地中に埋まっている水道管と違い、エコキュートの配管は外気にさらされているため、気温の上昇により溶け出すのを待ちましょう。
配管にぬるま湯をかけてみる
天気予報で気温が上昇しにくいと分かっている、あるいはすぐにでもお湯を使いたい方は、配管にぬるま湯をかけてみましょう。ぬるま湯の熱により、配管内部の凍結が溶けることがあります。
ただし、直接濡らすと配管が劣化する恐れもあるので、配管をタオルで巻いて、人肌よりも少し暖かい程度のお湯をかけます。配管で凍結しやすい箇所は貯湯タンクユニットとヒートポンプユニットを繋ぐ配管と、貯湯タンクユニットと浴槽を繋ぐふろ配管です。
上記の配管にお湯をかけても凍結が解消されないときは、別の場所にもお湯をかけてみましょう。
まとめ
以上が、冬になる前にやっておくエコキュートの故障対策の解説になります。エコキュートは冬になると給湯効率が下がり、負荷がかかりやすくなるため、事前に対策をやっておくことが重要です。
社会情勢の変化により、エコキュートの部品が不足しており、業者や機種によってはすぐに修理できないことがあります。また、メーカーも生産を中止、あるいは減産していることもあって、すぐに新しいエコキュートに交換できないケースも増えています。
そのため、エコキュートは冬になる前に故障の対策を行っておきましょう。「エコパパのお店」ではエコキュートへの知識が深いスタッフが対応しておりますので、エコキュートの冬のトラブルで相談がありましたら、ぜひご相談ください。