太陽熱温水器とは?エコキュートとの違いやランニングコストなどを比較
2023年9月21日
エコキュートと太陽熱温水器はお湯を沸かすためのランニングコストを抑えられる給湯器です。給湯は家庭用エネルギー消費の約3割を占めているので、家庭の支出を減らしたい場合はランニングコストを抑えられる給湯器に買い替えを検討してみましょう。
ただし、給湯器によって導入費用や仕組みなどが異なるので、事前に知っておくと良いです。
そこで今回は、エコキュートと太陽熱温水器の違いを分かりやすく解説します。ぜひ最後までご覧ください。
エコキュートとは?
エコキュートとは、電気と空気の熱の力を利用してお湯を沸かす給湯器です。エアコンにも用いられているヒートポンプ技術により空気の熱を高温にしてお湯を沸かすと、貯湯タンクユニットで貯めておき必要に応じて各所に給湯します。
お湯を沸かすためのエネルギーが電気のみになるので、ガス会社と契約する必要はありません。ただし、お湯を事前に沸かして貯めておく貯湯式給湯器なので、お湯を使いすぎてしまうと湯切れとなり、すぐにお湯が使えない事態が発生するので注意しましょう。
なお、エコキュートという名称は関西電力の登録商標で、正式な名称は「自然冷媒ヒートポンプ給湯器」です。現在では、エコキュートという名称が「自然冷媒ヒートポンプユニット」全般を指す用語として用いられています。
太陽熱温水器とは?
太陽熱温水器とは、太陽光の熱エネルギーを利用してお湯を沸かす給湯器です。ソーラーパネルにタンクを付けたような見た目ですが、太陽光を浴びることでパネル部分(集熱器)が熱を溜め込んで、お湯を沸かす仕組みとなっています。
メーカーや機種によってお湯の沸かし方が異なり、一般的には平版型太陽熱温水器と真空管型太陽熱温水器の2種類があります。
平版型太陽熱温水器はシンプルな構造で、黒い板状の集熱器で太陽の熱を集めて、水と接触させて熱交換して沸かします。シンプルな構造なので本体価格は抑えられていますが、冬場にはお湯を沸かせない場合があります。
真空管型太陽熱温水器は細長い円筒状の棒が二重のガラス管となっており、魔法瓶のような構造により熱を集めてお湯を沸かします。熱を逃がしにくい構造のため、冬のように外気温が低い季節でもお湯を利用できます。
エコキュートと太陽熱温水器の違いは?
次の表は、エコキュートと太陽熱温水器の違いをまとめたものです。
エコキュート | 太陽熱温水器 | |
---|---|---|
必要なエネルギー | 電気 | 太陽熱(場合によってはガスや石油) |
導入費用 | 40万円~70万円 | 15万円~100万円 |
年間ランニングコスト | 約2万円~約5万円 | 0円(理論上) |
搭載されている機能 | 多い | 少ない |
太陽光発電システムとの相性 | 良い | 悪い |
エコキュートと太陽熱温水器はどちらも貯湯式給湯器ではありますが、お湯を沸かすためのエネルギーや導入費用などに大きな違いがあります。
上記を順番に解説します。
必要なエネルギー
エコキュートは電気のみを利用する給湯器ですが、太陽熱温水器は太陽熱だけでお湯を沸かすことが可能な給湯器です。太陽光がしっかりと差し込み、外気温が下がりにくい場所なら、どこでも設置できます。
ただし、太陽光は安定して差し込むとは限りません。周囲の環境や季節、天気によって日照時間や日照量は変動するので、太陽熱温水器でお湯を常に効率良く沸かすことは難しいです。
そのため、太陽熱温水器は単独での使用もできますが、ガス給湯器や石油給湯器との併用が可能な仕組みとなっており、太陽熱温水器で足りない分をカバーします。ガス給湯器と併用した場合はガスが、石油給湯器と併用した場合は石油が必要です。
導入費用
エコキュートは複数のメーカーから販売されており、工事費込みの導入費用は約40万円~約70万円です。基本的に給湯効率が高く、機能を多く搭載している機種ほど価格が高くなる傾向があります。
一方、太陽熱温水器の工事費込みの導入費用は約15万円~約100万円程度です。
太陽熱温水器は給湯方法が自然落下式と水道直結式(ハイブリッド型)の2種類があります。
自然落下式とは、太陽熱温水器を高い場所に設置して、沸かしたお湯を真下にある湯船に流すタイプです。構造上、太陽熱温水器で沸かしたお湯をシャワーで使用することができませんが、シンプルな仕組みなので導入費用は約15万円~約30万円と抑えられています。
水道直結式(ハイブリッド型)とは、太陽熱温水器で沸かしたお湯を別の給湯器に供給するタイプです。既存の給湯器を経由するので、自然落下式と違ってシャワーのお湯が使えて、温度調節もできます。ただし、導入費用は約50万円~約100万円と高額な傾向があります。
- 自然落下式の太陽熱温水器…約15万円~約30万円
- エコキュート…約40万円~約70万円
- 水道直結式(ハイブリッド型)の太陽熱温水器…約50万円~約100万円
太陽熱温水器の導入費用は、自然落下式ならエコキュートよりも抑えられていますが、水道直結式(ハイブリッド型)なら同程度、あるいは高額になると覚えておきましょう。
年間ランニングコスト
次の表は、エコキュートとほかの給湯器のお湯を沸かすための年間ランニングコストを比較したものです。
エコキュート | 電気温水器 | ガス給湯器 | 石油給湯機 | |
---|---|---|---|---|
北海道電力エリア | 約54,000円 | 約184,800円 | 約104,400円 | 約78,000円 |
東北電力エリア | 約48,000円 | 約189,600円 | 約98,400円 | 約70,800円 |
北陸電力エリア | 約42,000円 | 約166,800円 | 約112,800円 | 約70,800円 |
東京電力エナジーパートナーエリア | 約37,200円 | 約158,400円 | 約73,200円 | 約81,600円 |
中部電力エリア | 約25,200円 | 約100,800円 | 約81,600円 | 約67,200円 |
関西電力エリア | 約20,400円 | 約87,600円 | 約75,600円 | 約63,600円 |
中国電力エリア | 約43,200円 | 約176,400円 | 約108,000円 | 約67,200円 |
四国電力エリア | 約44,400円 | 約193,200円 | 約93,600円 | 約66,000円 |
九州電力エリア | 約20,400円 | 約84,000円 | 約102,000円 | 約64,800円 |
沖縄電力エリア | 約27,600円 | 不明 | 約62,400円 | 約55,200円 |
実際のランニングコストは給湯器の性能や人数になどによって異なりますが、エコキュートのランニングコストが抑えられていることが分かります。
一方、太陽熱温水器の年間ランニングコストは、理論上は0円です。なぜなら、お湯を沸かすために電気やガス、石油などを購入する必要がなく、太陽光を当てていれば自然とお湯が沸くからです。
エコキュートはほかの給湯器に比べてランニングコストを大幅に節約できますが、太陽熱温水器はエコキュートよりもランニングコストを抑えられる可能性がある給湯器になります。
ただし、水道直結式(ハイブリッド型)を採用しているならポンプを稼働させるための電気が必要になり、お湯が不足した時に備えてガス給湯器や石油給湯器と併用している場合はガス代や石油代などが発生するので注意しましょう。
搭載されている機能
エコキュートはメーカーや機種によって異なりますが、次のような機能を搭載している傾向があります。
概要 | |
---|---|
フルオートやオートタイプ | ボタン1つでお湯はりから追い焚き、たし湯などが行える |
バブル機能 | 細かい泡によって、毛穴の奥まで汚れが落ち、保温や保湿効果を期待できる |
除菌機能 | 深紫外線の照射によって湯船の雑菌を除去して、嫌なニオイやヌメリを抑える |
多くの機能を搭載している機種は高額な傾向がありますが、エコキュートはお風呂の時間を快適に過ごすことができます。
一方で、太陽熱温水器はお湯を沸かすことに特化した給湯器なので、お風呂の時間を快適に過ごせるような機能は搭載していません。
太陽光発電システムとの相性
太陽光発電システムとは、太陽光により電気を発電するソーラーパネルや、発電した電気を自宅で消費したり、電力会社に売電したりできるように変換するパワーコンディショナーなどを含めた住宅機器のことを指します。
エコキュートはお湯を沸かすために電気が必要です。通常は電気料金単価が安い深夜にお湯を沸かしますが、太陽光発電システムがあれば日中に発電した電力の余剰分で稼働できます。
つまり、太陽光発電システムがあればエコキュートを稼働するための電力を減らすことができ、ランニングコストの更なる節約が期待できます。そのため、エコキュートと太陽光発電システムとの相性は良いです。
一方、太陽光発電システムと太陽熱温水器の相性は悪く、場合によってはお互いの発電・発熱効率を下げる可能性があります。
太陽光発電システムと太陽熱温水器は太陽光をエネルギーとして稼働します。そのため、太陽光発電システムと太陽熱温水器の理想的な設置場所は被ってしまう可能性があります。
理想的な設置場所に両方設置できれば問題ありませんが、片方だけでは残ったほうの効率が悪くなります。
また、太陽熱温水器はお湯を沸かすのに電気は不要なので、太陽光発電システムで発電した電力の恩恵を受けにくいです。
以上の理由から太陽熱温水器は太陽光発電システムとの相性は良くありません。
エコキュートと太陽熱温水器のどちらを選ぶべき?
結論から申し上げますと、エコキュートと太陽熱温水器で迷うならエコキュートを選びましょう。
太陽熱温水器は年間ランニングコストが理論上0円になる給湯器ですが、安定してお湯を給湯できるとは限りません。夏場でも雨や曇りが多ければ太陽熱が足りなくなり、機種によっては冬場の給湯は難しいです。
また、自然落下式の太陽熱温水器は約15万円~約30万円で購入できますが、シャワーに給湯できない、温度が設定できないなどのデメリットが多いです。
水道直結式(ハイブリッド型)は自然落下式のデメリットが改善されますが、導入費用が約50万円~約100万円と高額です。
エコキュートは導入費用の相場が約40万円~約70万円で、年間ランニングコストが約2万円~約5万円です。
太陽熱温水器のランニングコスト0円は魅力的ではありますが、季節や天気によって給湯が不安定になるデメリットを考えると、安定して給湯できるエコキュートのほうをおすすめします。
エコキュートと太陽熱温水器の併用はできる?
太陽熱温水器は太陽光が足りないときに備えてガス給湯器や石油給湯器との併用が可能です。
水道直結式(ハイブリッド型)なら、沸かしたお湯をガス給湯器や石油給湯器に給湯して、温度を調節してから各所に給湯するという仕組みになっています。
つまり、太陽熱温水器はほかの給湯器との併用が可能な給湯器ですが、エコキュートと太陽熱温水器の併用は次の理由によっておすすめできません。
- 水道直結式(ハイブリッド型)ではエラーが起きる
- 合計した導入費用が高額になる
エコキュートはメーカーや機種によって異なりますが、30℃以上の温水が給水口から流れ込むとエラーが表示される場合があります。また、水道直結式(ハイブリッド型)と連携できるエコキュートは販売されていません。
そのため、給湯器を経由せずに直接湯船にお湯を給湯できる自然落下式ならエコキュートとの併用はできます。
しかし、自然落下式の太陽熱温水器の導入費用は約15万円~約30万円です。エコキュートの導入費用が約40万円~約70万円なので、合計すれば約55万円~約100万円となり、水道直結式(ハイブリッド型)の太陽熱温水器を導入する費用と同程度になります。
ガス給湯器や石油給湯器を併用するよりもエコキュートを併用したほうがランニングコストを抑えられる可能性は高いですが、導入費用が高額となってしまうので購入時の負担が大きくなります。
また、エコキュートは貯湯式給湯器なので、ガス給湯器や石油給湯器に比べるとシャワーの水圧が弱いというデメリットがあります。
以上の理由により、トータルコストを考えるならエコキュートと併用するよりも、太陽熱温水器はガス給湯器や石油給湯器と併用したほうがお得と言えます。
まとめ
以上が、エコキュートと太陽熱温水器の違いの解説です。エコキュートと太陽熱温水器の違いは以下のとおりです。
エコキュート | 太陽熱温水器 | |
---|---|---|
必要なエネルギー | 電気 | 太陽熱(場合によってはガスや石油) |
導入費用 | 40万円~70万円 | 15万円~100万円 |
年間ランニングコスト | 約2万円~約5万円 | 0円(理論上) |
搭載されている機能 | 多い | 少ない |
太陽光発電システムとの相性 | 良い | 悪い |
太陽熱温水器は太陽熱によってお湯を沸かす給湯器で、ランニングコストが理論上は0円です。
ただし、種類が2種類あり、シャワーが使えない自然落下式は約15万円~約30万円、シャワーが使えて温度調節も可能な水道直結式(ハイブリッド型)は約50万円~約100万円と、エコキュートよりも高額な傾向があります。
理論上とは言え、ランニングコストが0円になるのは魅力的です。しかし、導入費用が高額で、搭載している機能が少なく、太陽光発電システムと設置場所を取り合いになるなどのデメリットを考えると、給湯器を買い替えるならエコキュートがおすすめです。
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