灯油ボイラーとエコキュートのメリットやデメリットを比較!エコキュートに切り替えるべき理由を解説
2022年8月24日
灯油ボイラーはガス給湯器やエコキュートに比べると導入している家庭は少ないです。しかし、築年数が古い住宅や山の上にある住宅では、今でも使用されています。
しかし、灯油ボイラーをこのまま使用するよりは、エコキュートに交換した方がお得という考えはあります。
そこで今回は、灯油ボイラーとエコキュートを比較して、本当にエコキュートに切り替えた方がお得なのか解説します。ぜひ、最後までご覧ください。
灯油ボイラーとは?
灯油ボイラーとは、灯油をエネルギーにお湯を作る石油給湯器のことです。形状は商品によって異なり、円筒形もあれば、角形などもあります。
一般的なガス給湯器と同じで、多くの灯油ボイラーが水道直圧式となっており、水道管から給水した水をボイラー内部のバーナーが温めて各所へ給湯します。そのため、水道管の水圧をそのまま利用できます。
ただし、自宅で井戸水や地下水など不純物を多く含んでいる水を使用している場合は、貯湯式の灯油ボイラーを使用しているケースがあります。
一般的な灯油ボイラーはコストの関係もあって排水管が銅パイプを使用していることが多いです。井戸水や地下水のようにカルシウムを多く含んだ水だと、銅パイプが腐食してしまい、水漏れを起こすリスクがあります。
そのため、井戸水や地下水を使用している地域で灯油ボイラーを設置する場合、ステンレスパイプを使用している貯湯式灯油ボイラーのケースが多いです。
エコキュートとは?
エコキュートとは、電気と空気の力でお湯を作る給湯器のことです。機種やメーカーによって機能に違いはありますが、ヒートポンプユニット、貯湯タンクユニット、リモコンユニットの3つで構成されています。
ヒートポンプユニットはエコキュートの心臓部分で、外気を取り込むと圧縮して生み出した熱を使ってお湯を作ります。ヒートポンプユニットにて作られたお湯は貯湯タンクユニットに貯められて、必要に応じて各所に給湯します。
大抵のエコキュートは貯湯式給湯器です。電気料金の安い深夜にお湯を作り、翌日に消費する仕組みとなっています。そのため、使い慣れていないと日中に湯切れを起こすリスクはあります。
一方で、一部のメーカーでは水道直圧式のエコキュートを販売しています。貯湯タンクユニットに貯めたお湯で水道管より給水した水を温める仕組みとなっており、灯油ボイラーやガス給湯器のような使い方が可能です。
灯油ボイラーとエコキュートの比較
灯油ボイラーとエコキュートのメリット、デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット | |||
灯油ボイラー | ガス給湯器や電気温水器よりもランニングコストは安い 水圧は強い |
オイルタンクの水抜きや定期的な投入が必要 燃焼時にニオイを発生させる |
||
エコキュート | 灯油ボイラーよりもランニングコストは安い 多彩な機能を搭載している |
定期的なメンテナンスが必要 初期費用が高額になりやすい 稼働時に低周波音が発生する 水圧は弱い |
上記のメリット、デメリットを比べると、灯油ボイラーとエコキュートは次のような特徴があります。
- ランニングコストはエコキュートの方が安い
- 定期的なメンテナンスはどちらも必要
- どちらも周囲にある程度の影響は与える
- エコキュートは使いすぎると湯切れのリスクがある
- 水圧はエコキュートのほうが弱い
上記の特徴を順番に解説します。
ランニングコストはエコキュートの方が安い
灯油ボイラーはガス給湯器や電気温水器に比べると、ランニングコストが安いというメリットがあります。実際、次の表のように他の給湯機に比べると、灯油ボイラーの方が安いです。
灯油ボイラーの年間ランニングコスト(税込) | 電気温水器の年間ランニングコスト(税込) | ガス給湯器の年間ランニングコスト(税込) | ||||
中部電力エリア | 約68,400円 | 約99,600円 | 約87,600円 |
しかし、エコキュートは灯油ボイラーよりもランニングコストは圧倒的に安いです。次の表はエコキュートと灯油ボイラーの年間ランニングコストを比較したものです。
エコキュートの年間ランニングコスト(税込) | 灯油ボイラーの年間ランニングコスト(税込) | |
北海道電力エリア | 約32,400円 | 約81,600円 |
東北電力エリア | 約21,600円 | 約73,200円 |
北陸電力エリア | 約20,400円 | 約72,000円 |
東京電力エリア | 約24,000円 | 約67,200円 |
中部電力エリア | 約24,000円 | 約68,400円 |
関西電力エリア | 約20,400円 | 約64,800円 |
中国電力エリア | 約22,800円 | 約68,400円 |
四国電力エリア | 約28,800円 | 約67,200円 |
九州電力エリア | 約18,000円 | 約66,000円 |
沖縄電力エリア | 約10,800円 | 約56,400円 |
表にあるように、全てのエリアで灯油ボイラーに対してエコキュートの年間ランニングコストが3分の1以下となっています。
エコキュートは電気と空気の力を利用して熱を生みだす給湯器です。少ないエネルギーで効率よくお湯を作ることができるため、給湯器の中では最もランニングコストを抑えられます。
定期的なメンテナンスはどちらも必要
灯油ボイラーもエコキュートも、次のような定期的なメンテナンスが必要な給湯器です。
定期的なメンテナンス | ||
灯油ボイラー | 灯油ボイラーの水抜き オイルタンクに灯油を入れる |
|
エコキュート | 貯湯タンクユニットの水抜き ヒートポンプユニット周りの掃除 |
灯油ボイラーは早朝や夜間に氷点下まで下がってしまう地域だと、配管が凍るリスクがあります。配管が凍ってしまうと、お湯が出なくなるだけでなく、灯油ボイラー自体が壊れることもあります。
そのため、寒いシーズンになったら灯油ボイラーの水抜きを定期的に行いましょう。
また、灯油ボイラーを動かす灯油はガスや電気のように自動で供給されるわけではありません。定期的に灯油を補充しないと、燃料切れとなってしまいます。燃料切れに備えて灯油を保管する場合、消防法において保管・取扱い方法が決まっています。
つまり、灯油ボイラーは水抜きや燃料入れなどの定期的な作業の他に、灯油を取り扱うスペースを設置したり、取扱い方法を注意したりするなどの手間があります。
一方、エコキュートは使用を続けると貯湯タンクユニット内部に汚れや不純物が沈殿します。汚れや不純物が沈殿すると目詰まりを起こすので、定期的に水抜きを行いましょう。メンテナンスをするとエコキュートの寿命が延びて、長持ちします。
また、ヒートポンプユニット周りが汚れていたり、ファンに霜が付いていたりすると、給湯効率が下がってしまいます。水抜きをするときに、一緒に周りを掃除すると良いです。
上記のように、灯油ボイラーとエコキュートは購入してから定期的なメンテナンスが必要な給湯器になります。
どちらも周囲にある程度の影響は与える
灯油ボイラーは灯油を燃焼してお湯を作ります。ガス給湯器に比べて灯油は燃焼すると独特の匂いを発生させるため、近隣住宅との距離が違いと不快に思われることがあります。
一方、エコキュートの稼働音は図書館並みの静かさと言われており、音の大きさで問題になることは少ないです。しかし、独特の低周波音を発するので、エコキュートによって頭痛がする、家が振動するなどの隣人トラブルに発展する恐れはあります。
つまり、灯油ボイラーとエコキュートはどちらも周囲にある程度の影響を与える可能性があります。設置する時は、隣家との距離や対策などを考えましょう。
エコキュートは使いすぎると湯切れのリスクがある
水道直圧式の灯油ボイラーは基本的に湯切れの心配はありません。しかし、貯湯タンクユニットにお湯を貯めるエコキュートは、使いすぎてしまうと湯切れを起こしてしまいます。
エコキュートが日中に湯切れを起こすと、お湯を沸かすまで使用できなくなります。しかし、日中は電気料金が高い時間帯のため、日中にお湯を沸かすとランニングコストがかえって高くなってしまいます。
そのため、エコキュートを利用する方は残湯量に注意しましょう。
水圧はエコキュートのほうが弱い
水圧とは、水による圧力のことで数値が高いほどシャワーや給水の勢いが強いです。水道直圧式の灯油ボイラーは水道管の水圧をそのまま利用するので、シャワーや給湯の勢いは強いままです。
しかし、貯湯式給湯器のエコキュートはお湯を貯湯タンクユニットに貯める際に、水道管の水圧を下げます。減圧をしないと、貯湯タンクユニットが圧力に耐えられずに破損する恐れがあるからです。
そのため、灯油ボイラーとエコキュートの水圧を比較すると、灯油ボイラーのほうがシャワーや給湯の勢いは強いと言えます。ただし、エコキュートの中には水道直圧式もあり、水道管の水圧をそのまま利用できます。
エコキュートで水圧の強い機種を使いたい方は、日立の「ナイアガラ タフネス」を検討してみましょう。
灯油ボイラーとエコキュートのどちらが良いの?
灯油ボイラーとエコキュートのメリット、デメリットやそれぞれの特徴を考えると、おすすめの給湯機はエコキュートです。エコキュートがおすすめの理由は、ランニングコストが安いため、最終的なトータルコストも抑えられるからです。
トータルコストとは、給湯機を購入、設置にかかる工事費などを含めた初期費用に、年間のランニングコストを加えた費用のことです。
中部電力エリアの灯油ボイラーとエコキュートの年間ランニングコストは以下のとおりです。
エコキュートの年間ランニングコスト(税込) | 灯油ボイラーの年間ランニングコスト(税込) | |||
中部電力エリア | 約24,000円 | 約68,400円 |
上記の表によれば、灯油ボイラーとエコキュートの年間ランニングコストの差額は約44,400円です。仮に、灯油ボイラーとエコキュートの初期費用の差額を40万円とした場合でも、エコキュートを10年以上使いづけると初期費用の差額を回収できる計算です。
10年目以降は年間ランニングコストの差額である約44,400円分が毎年お得になります。また、エコキュートをお得に購入すれば、初期費用の差額は減るので早期に回収できます。
エコキュートをおすすめする理由はもう1つあり、灯油ボイラーに比べて機能が豊富なことです。
エコキュートは機種やメーカーによっては自動お湯はり機能や追い焚き機能、マイクロバブルなど様々な機能を搭載しています。お風呂の時間を快適に過ごせる機能ばかりなので、入浴時間を良くしたい方におすすめです。
エコキュートを選ぶポイント
エコキュートを選ぶ時のポイントは以下のとおりです。
- 給湯方法
- 貯湯容量
- 利用したい機能
上記のポイントを解説します。
給湯方法
エコキュートの給湯方法は大きく分けると次の3種類があります。
- フルオート
- オート
- 給湯専用
フルオートはボタン1つでお湯はりが自動で行われるタイプです。お湯はり機能だけでなく、たし湯や追い焚きまで自動で行う保温機能も付いています。オートや給湯専用に比べると価格は高い傾向はありますが、お風呂を入れる手間がかかりません。
オートはお湯はりまでは自動で行うタイプです。設定した温度のお湯が一定の高さに到達すると、センサーによって自動的にお湯はりが終了します。お湯を張る時に余分なコストが発生しません。
給湯専用は給湯の機能しか搭載していないタイプです。自分でお湯の温度を設定して、給湯を開始します。タイミングを見計らって給湯を止めないと、お湯が浴槽から溢れる可能性があるので注意しましょう。
給湯専用は浴槽に湯を張る手間が掛かりますが、ほかのタイプに比べると価格が抑えられているので、コストパフォーマンスにこだわる方におすすめです。
貯湯容量
エコキュートは貯湯式給湯器です。商品によって貯湯容量が異なるため、家族の人数やライフスタイルに合ったサイズを購入すると良いでしょう。
次の表は、貯湯容量と家族の人数の目安をまとめたものです。
貯湯容量 | 家族の人数 |
370L | 3人~5人 |
460L | 4人~7人 |
500L~ | 5人~8人 |
あくまでも目安ですが、エコキュートを選ぶ時の参考にしてください。
利用したい機能
エコキュートは機種やメーカーによって機能が異なります。次の表は主要なエコキュートメーカーの代表的な機能をまとめたものです。
メーカー | 代表的な機能 | |
三菱電機 | ホットあわー キラリユキープ バブルおそうじ ホットりたーん |
|
パナソニック | AIエコナビ リズムeシャワープラス 温浴セレクト |
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日立 | きらりUVクリーン シルキー快泡浴 |
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東芝 | ESTIA i 銀イオンの湯 光タッチリモコン |
|
コロナ | 入浴お知らせ ES制御 |
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ダイキン | ウルトラファインバブル入浴 温浴タイム |
メーカーによってエコキュートの機能や特徴は異なるので、自分や家族に合った商品を選ぶようにすると良いです。
メーカーごとの特徴については以下の記事でも詳しく解説しています。
灯油ボイラーからエコキュートへ交換する方法
灯油ボイラーからエコキュートへの交換は可能です。交換する場合は、次の工事が必要になります。
- 既存給湯器の撤去
- 基礎工事
- エコキュート本体取付工事
- 配管工事
- 電気工事
- リモコン設置工事
灯油ボイラーは水道直圧式給湯器に対して、エコキュートは貯湯式給湯器です。ヒートポンプユニットの他に貯湯タンクユニットの設置や、新しい配管、電気回線などを行います。
灯油ボイラーから灯油ボイラー、あるいはガス給湯器への交換よりも手間が掛かり、内容も複雑になるので、信頼できる施工業者に依頼するのが一番です。
「エコパパのお店」は創業23年、施工件数20,000件を突破しています。主に、中部・中四国・九州・関西・関東の地域に対応しているので、該当しているエリアに住んでいて灯油ボイラーからエコキュートへの交換を考えている方はご相談ください。
まとめ
以上が、灯油ボイラーとエコキュートの比較の解説になります。灯油ボイラーとエコキュートを比較すると、エコキュートのほうがランニングコストを抑えられます。
ランニングコストの差額は年間数万円と大きく、最終的なトータルコストでも灯油ボイラーを上回ります。また、エコキュートはお風呂の時間が快適になる機能を数多く搭載しています。そのため、エコキュートに乗り換えることが可能な方は検討をおすすめします。
「エコパパのお店」には、エコキュートに関する専門的な知識を持った専門スタッフが在籍しています。メーカー正規品を低価格で販売しているので、エコキュートの購入を考えている方は、ぜひご連絡ださい。