給湯省エネ事業とは?給湯省エネ事業の対象機器や条件などをわかりやすく解説
2023年3月9日
2023年3月下旬から申請開始を予定している給湯省エネ事業はエコキュートやハイブリッド給湯器などの導入に対して補助金を出します。高額な省エネ給湯器をお得に購入できるチャンスです。
そこで今回は、給湯省エネ事業の対象機器や条件などをわかりやすく解説します。エコキュートやハイブリッド給湯器に興味がある方は参考にしてください。なお、本記事は2023年3月上旬時点での情報を基に作成しているので、最新の情報と異なる場合があります。
給湯省エネ事業とは?
給湯省エネ事業とは、戸建住宅や共同住宅などに省エネ性能の高い給湯器を導入する際に補助金を貰える制度です。
正式名称は「高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金(令和4年度補正予算(第2号))」ですが、本記事では給湯省エネ事業と略します。
給湯器を購入した場合だけでなく、リースの場合でも補助金が貰えることが可能で、全国を対象とした補助金制度のため、条件を満たしていれば誰でも補助を受けられます。
給湯省エネ事業の対象機器
給湯省エネ事業の対象機器は以下の通りです。
- エコキュート
- ハイブリッド給湯器
- エネファーム
上記の対象機器のうち、一定の性能を満たしている給湯器システムが給湯器システムの補助対象となります。
上記の対象機器を順番に解説します。
エコキュート
エコキュートとは、エアコンでも使用されているヒートポンプの原理を用いてお湯を作る給湯器です。夜間電力や太陽光で発電した電力を有効に利用して冷媒の圧縮・膨張サイクルによりお湯を沸かし、貯湯タンクに蓄えて必要なときにお湯が使えます。
電気と空気の熱の力を利用してお湯を沸かすため、ほかの給湯器システムに比べてランニングコストを抑えることが可能です。
次の表は同じ湯量を沸かした場合の年間ランニングコストを、ほかの給湯器システムと比べたものになります。
エコキュート | 電気温水器 | 石油給湯機 | ガス給湯器 | |
---|---|---|---|---|
北海道電力エリア | 約32,400円 | 約108,000円 | 約81,600円 | 約109,200円 |
東北電力エリア | 約21,600円 | 約80,400円 | 約73,200円 | 約104,400円 |
北陸電力エリア | 約20,400円 | 約82,800円 | 約72,000円 | 約118,800円 |
東京電力エナジーパートナーエリア | 約24,000円 | 約102,000円 | 約67,200円 | 約78,000円 |
中部電力エリア | 約24,000円 | 約99,600円 | 約68,400円 | 約87,600円 |
関西電力エリア | 約20,400円 | 約86,400円 | 約64,800円 | 約81,600円 |
中国電力エリア | 約22,800円 | 約91,200円 | 約68,400円 | 約112,800円 |
四国電力エリア | 約26,400円 | 約126,000円 | 約67,200円 | 約99,600円 |
九州電力エリア | 約18,000円 | 約78,000円 | 約66,000円 | 約108,000円 |
沖縄電力エリア | 約10,800円 | 不明 | 約56,400円 | 約54,000円 |
表のランニングコストはあくまでも目安で、実際のランニングコストと異なる場合はありますが、エコキュートはほかの給湯器システムに比べてお湯を沸かすための光熱費を節約できます。
給湯省エネ事業では、年間給湯保温効率が2025年度の目標基準値以上に達したエコキュートを購入する際に、1台につき5万円の補助金が貰えます。
基準値は機種や貯湯容量によって次のように異なります。
想定世帯数 | 仕様 | 2025年度目標基準値 |
---|---|---|
少人数 | 一般地 | 3.0 |
寒冷地 | 2.7 | |
標準 | 一般地 | 3.1~3.5 |
寒冷地 | 2.7~2.9 |
なお、一部のメーカーから販売されているおひさまエコキュートの場合は、2025年度の目標基準値を満たしていなくても対象とします。
ハイブリッド給湯器
ハイブリッド給湯器とは、エコキュートとガス給湯器の特徴を兼ね備えた給湯器システムです。ヒートポンプユニットとガスの2つの熱源を効率的に用いることで、高効率な給湯が可能となります。
給湯省エネ事業では、次の条件を満たしているハイブリッド給湯器に対して、1台につき5万円の補助金が貰えます。
- 熱源設備として電気式ヒートポンプとガス補助熱源機を併⽤するシステムで、貯湯タンクを持つ機器である
- 一般社団法人日本ガス石油機器工業会の規格(JGKAS A705)で、年間給湯効率が108%以上のものである
ハイブリッド給湯器は基本的にエコキュートと同じ仕組みでお湯を沸かし、お湯が切れたときはガス給湯器の仕組みでお湯を沸かそうとします。
湯切れが起きてもすぐにお湯を沸かすことが可能なので、家族が多い方や床暖房でお湯を多く使う方におすすめです。
エネファーム
エネファームとは、都市ガスやLPガスから水素を作り、水素と酸素を化学反応させて発電した際に生じた排熱でお湯を沸かす給湯器システムです。つまり、電気とお湯の2つを生み出すことができます。
一般社団法人燃料電池普及促進協会(FCA)が公表する登録機器リストに登録されている製品を1台に購入する場合に、15万円の補助金が貰えます。
発電した電力は自家消費できるので、電気料金の節約を期待でき、ガスが供給されていれば停電時でも発電が可能です。ただし、稼働するためにはガスが必要になります。
給湯省エネ事業の補助金
給湯省エネ事業の補助金は以下の通りです。
補助額 | 補助上限 | |
---|---|---|
エコキュート | 5万円/台 | 戸建住宅:いずれか2台まで 共同住宅:いずれか1台まで |
ハイブリッド給湯器 | 5万円/台 | |
エネファーム | 15万円/台 |
機種ごとに性能要件を満たしたものに限りますが、上記の補助額が満額支給されます。なお、給湯省エネ事業の予算額は300億円なので、エネファームなら最大20万台、エコキュートやハイブリッド給湯器なら最大60万台まで補助の対象になります。
給湯省エネ事業の申請
給湯省エネ事業の申請は、契約を取り交わした事業者が代行できます。ただし、事前に登録がしている必要があるので、エコキュートやハイブリッド給湯器などを購入する際に、販売業者や施工業者に確認を取りましょう。
給湯省エネ事業の申請期間
給湯省エネ事業の申請期間は以下の通りです。
概要 | |
---|---|
契約日の期間 | 2022年11月8日~遅くとも2023年12月31日 |
着工日の期間 | 給湯省エネ事業者(住宅省エネ支援事業者) の登録申請日以降 |
交付申請期間 | 2023年3月下旬~予算上限に達するまで (遅くとも2023年12月31日まで) |
記事執筆時点では、給湯省エネ事業の申請は始まっておりません。交付申請の開始は2023年3月下旬を予定しており、終了は予算上限に達するか、2023年12月31日までとなっています。
なお、交付が可能になるタイミングは、新築注文や新築分譲の場合は住宅の引き渡し、既存住宅の場合は工事の引き渡しか、給湯器の利用開始のいずれか速いほうとなっています。
ただし、建築着工や不動産売買契約を済ませれば交付申請の予約が可能になるので、年内中に契約や着工を進めれば、引き渡しや工事の終了が翌年になっても補助金が貰える可能性はあります。
給湯省エネ事業の注意点
給湯省エネ事業の注意点は以下の通りです。
- 登録されていない事業者との契約は補助対象にならない
- 対象にならない給湯器は補助対象にならない
- 市区町村レベルの補助金との併用は可能
- 国レベルの補助金を重複して受け取ることは不可
上記の注意点を順番に解説します。
登録されていない事業者との契約は補助対象にならない
給湯省エネ事業は登録されていない事業者からエコキュートやハイブリッド給湯器を購入して設置しても、補助金の対象になりません。
登録の有無は公式サイトで確認できます。給湯省エネ事業を利用して補助金を貰いたいと考えている方は、公式サイトで確認するか、施工業者に問い合わせてみましょう。
対象にならない給湯器は補助対象にならない
給湯省エネ事業で補助金が貰える給湯器は次の条件を満たしている必要があります。
条件 | |
---|---|
エコキュート | 年間給湯保温効率が2025年度の目標基準値以上に達した機種 |
ハイブリッド給湯器 | 一般社団法人日本ガス石油機器工業会の規格で、年間給湯効率が108%以上の機種 |
エネファーム | 一般社団法人燃料電池普及促進協会が公表する登録機器リストに登録されている機種 |
上記の条件を満たしていない給湯器を購入しても補助金の対象とならないので、購入する前に条件を満たしているか確認しましょう。
市区町村レベルの補助金との併用は可能
給湯省エネ事業は経済産業省資源エネルギー庁が行っている制度のため、国レベルの補助金制度です。一方で、住んでいる地方自治体によっては、独自の補助金制度があります。
例えば、東京都が行っている「東京ゼロエミポイント」では、エコキュートを購入した都民に対して、1万円相当のポイントが進呈されます。
市区町村レベルの補助金は国レベルの補助金と併用可能な場合があります。つまり、東京都に住んでいる方がエコキュートを購入する場合、給湯省エネ事業と「東京ゼロエミポイント」を合わせて6万円相当の補助金が貰えます。
市区町村レベルの補助金制度の財源が国庫負担となっていない場合は併用できる可能性が高いので、窓口にて相談してみましょう。
国レベルの補助金を重複して受け取ることは不可
給湯省エネ事業とは別に、国土交通省や環境省が給湯器システム導入に対する補助金を出すケースがあります。
- こどもエコすまい支援事業
- 長期優良住宅化リフォーム推進事業
- 既存住宅の断熱リフォーム支援事業など
基本的に、国庫を財源とする補助金制度で補助の対象が重複している場合は補助金を受け取れません。
例えば、こどもエコすまい支援事業はエコキュートの設置を含めた複数のリフォームに対して補助金を受け取れる制度です。
エコキュートに対して27,000円の補助金を出しますが、こどもエコすまい支援事業で補助金の交付を受けたリフォーム工事で給湯省エネ事業の補助金を受け取ることはできません。
併用して申請は可能ですが、対象機器が重複している場合は、金額が大きいほうの補助金制度を優先すると良いです。
まとめ
以上が、給湯省エネ事業の解説になります。給湯省エネ事業はエコキュートの購入やリースなどに対して、1台につき5万円の補助金を出す制度で、全国を対象としているので条件を満たしていれば誰でも申請可能です。
ただし、エコキュートの場合は年間給湯保温効率が一定以上の機種のみとなっているので、すべてのエコキュートが補助の対象とは限りません。給湯省エネ事業を利用したい方は、施工業者や販売業者と相談して、条件を満たしているエコキュートを選びましょう。
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