薄型エコキュートのメリットやデメリットは?薄型エコキュートを購入する際の注意点も分かりやすく解説
2022年9月11日
エコキュートの貯湯タンクユニットは正方形に近い角型が主流です。ただし、製品によっては、長方形のスリムな薄型タイプも販売されています。
薄型だと、角型に比べてスペースを取らない、設置しやすいなどのメリットがありますが、思いもよらないデメリットもあります。
そこで今回は、薄型エコキュートのメリットやデメリットを解説します。薄型エコキュートを購入する際の注意点も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
エコキュートの薄型とは?
エコキュートの薄型とは、貯湯タンクユニットの厚み(奥行)が薄い製品のことを指します。
エコキュートは電気と空気の熱を利用してお湯を作る給湯器で、大気の熱を圧縮して高温にするヒートポンプユニット、沸いたお湯を貯めておく貯湯タンクユニット、製品の設定やコントロールを行うリモコンユニットの3つに分かれています。
ヒートポンプユニットと貯湯タンクユニットは外に置くのですが、貯湯タンクユニットのデザインは製品によって異なります。
デザイン | 概要 |
---|---|
角型 |
|
薄型 |
|
低背 |
|
スリム |
|
コンパクト |
|
エコキュートの貯湯タンクユニットのデザインは角型が最も多いです。どのメーカーでも販売されており、横幅や奥行はそれほど変わりません。貯湯容量は370L、460L、540Lのパターンが多く、貯湯容量が増えても底面積は変わらず、高さが高くなります。
一方、薄型エコキュートは貯湯タンクユニットの横幅が角型より長く、奥行きが短いデザインとなっています。角型では設置できない狭小スペース向けの製品で、貯湯容量は主に370Lと460Lが多いです。
なお、角型や薄型とは別に、低背やスリム、コンパクトなどの製品もあります。
特定のメーカーでしか販売されていない、他のタイプに比べて貯湯容量が少ないなどのデメリットはありますが、角型や薄型でも設置できないような特殊な条件下でも対応できるので、興味がある方はチェックしてみましょう。
薄型エコキュートのメリット
薄型エコキュートのメリットは以下のとおりです。
- 狭小スペースでも設置しやすい
- デザイン性に優れている
- 追加費用が発生しにくい
上記のメリットを順番に解説します。
狭小スペースでも設置しやすい
薄型エコキュートの最大のメリットは、狭小スペースでも設置しやすいことです。
角型の貯湯タンクユニットは製品にもよりますが横幅が600mm、奥行きは700mm程度あります。一方で、薄型の貯湯タンクユニットは横幅が1,080mm、奥行きは450mm程度と角型に比べて薄くなっています。
角型は横幅と奥行の長さにそれほど違いがないため底面は正方形に近いですが、薄型は長方形です。そのため、薄型はベランダの隅や敷地のデッドスペースなど、ちょっとした狭小スペースでも設置しやすいです。
狭小スペースに設置しやすいということは、設置場所を選ばないというメリットがあります。実際に薄型エコキュートを購入した方の多くは、隣家との隙間や車と外壁の間など、浴室から近く、角型では設置できない場所に設置しています。
デザイン性に優れている
製品にもよりますが薄型エコキュートはデザイン性に優れており、角型よりも目立ちにくいので家の外観や雰囲気を損なわないというメリットがあります。
貯湯タンクユニットを自宅の裏側や人目に付かない場所に設置するなら問題ありません。しかし、家の間取りやスペースの問題から、玄関先や庭など目に付く場所に置く場合、角型だと存在感を主張しやすいです。
薄型の製品なら存在感をそれほど主張しないため、玄関や庭などの人目に付く場所にも設置しやすいです。
追加費用が発生しにくい
薄型エコキュートのメリットとして、角型よりも設置がしやすいため、追加費用が発生しにくいことも挙げられます。
エコキュートはデザインやサイズ、住環境によっては人力で運べないので重機を用意したり、人手を増やしたりすることがあります。重機や人手を増やせば、工事費に加算されるので、初期費用が増えます。
薄型エコキュートは貯湯タンクユニットがスリムなため、角型よりも設置がしやすいので、追加費用が発生しにくいです。
薄型エコキュートのデメリット
薄型エコキュートのデメリットは以下のとおりです。
- 製品の種類が少ない
- 角型よりも販売価格が高い
- 年間給湯保温効率が下がる
- 耐震強度が角型よりも低い
上記のデメリットを順番に解説します。
製品の種類が少ない
薄型エコキュートの最大のデメリットは、製品種類が少ないことです。
例えば、東芝のフルオートタイプのエコキュートは以下のとおりです。
グレード | 概要 |
---|---|
プレミアム |
|
ハイグレード |
|
スタンダード |
|
ベーシック |
|
上記のエコキュートの貯湯タンクユニットは角型が基本となっており、薄型のモデルがあるのは、ハイグレードとスタンダードのみとなっています。つまり、角型エコキュートを設置できない方は、東芝のプレミアムやベーシックを購入できません。
また、ハイグレードは貯湯容量が370L、460L、560Lの3種類があり、スタンダードは370L、460Lの2種類がありますが、東芝の型の貯湯容量は370Lのみです。
つまり、薄型エコキュートは製品や貯湯タンクユニットのサイズなどの選択肢が角型よりも少ないです。選択肢が少ないと、ライフスタイルや家族の人数に合ったエコキュートを選ぶのが難しくなります。
角型よりも販売価格が高い
薄型エコキュートは角型よりも販売価格が高いです。
次の表は、2022年9月現在「エコパパのお店」で販売している東芝のエコキュートで、ハイグレードモデルの薄型と角型の販売価格を比較したものです。
システム品番 | HWH-B376HW-R | HWH-B376HA-R |
---|---|---|
形状 | 薄型 | 角型 |
貯湯容量 | 370L | 370L |
販売価格 | 518,800円(税込) | 468,800円(税込) |
どちらも、貯湯容量は370Lですが、薄型のハイグレードモデルのほうが、角型よりも5万円高いです。
貯湯容量以外の機能や仕様などは薄型と角型で大きな違いはありません。しかし、同じ機能を搭載し、同じ貯湯容量でも、角型よりも薄型の販売価格が高くなりやすいです。
年間給湯保温効率が下がる
薄型エコキュートはグレードや貯湯容量が同じ角型よりも年間給湯保温効率が下がりやすいです。
次の表は、東芝のエコキュートで、ハイグレードモデルの薄型と角型の年間給湯保温効率を比較したものです。
システム品番 | HWH-B376HW-R | HWH-B376HA-R |
---|---|---|
形状 | 薄型 | 角型 |
貯湯容量 | 370L | 370L |
年間給湯保温効率 | 3.3 | 2.8 |
年間給湯保温効率とは、エコキュートを運転した時の単位消費電力量あたりの給湯熱量や保温熱量を示す数値です。数値が高いほど給湯保温効率が良く、省エネ性能が高いことを表しています。
表にあるようにグレードや貯湯容量は同じなのに、角型より薄型エコキュートのほうが年間給湯保温効率は低いです。
薄型エコキュートの年間給湯保温効率が下がるのは、仕組みに理由があります。角型は貯湯タンクユニット内部の缶が1つなのに対して、薄型は内部の缶が2つ並んでいます。
そのため、製品にもよりますがグレードや貯湯容量が同じでも、角型より薄型エコキュートのほうが年間給湯保温効率は下がりやすいです。
年間給湯保温効率が低いと、お湯を沸かすためのランニングコストが高くなるので、注意しましょう。
耐震強度が角型よりも低い
薄型エコキュートは、角型よりも耐震強度が低い傾向があります。
エコキュートの貯湯タンクユニットは本体だけで60kg~90kg、満水時には400kg~600kgになるため、地震が起きた時に倒れないように耐震強度を高くしています。
角型の製品は「耐震クラスS」を獲得しており、病院や学校などの災害時に避難場所となる施設に設置可能な耐震強度となっています。しかし、薄型は「耐震クラスA」を獲得していることが多いです。
「耐震クラスA」は一般住宅と同等以上の耐震強度なので、住宅設備としては十分な性能です。また、エコキュートは基礎の上にアンカーボルトや座金を用いて固定するため、すぐに倒れるようなことはありません。
薄型エコキュートを選ぶ際の注意点
薄型エコキュートを選ぶ際は、次の点に注意しましょう。
- 貯湯容量と人数のバランス
- 隣家との距離
- マンションに設置する場合は許可が必要
上記の注意点を順番に解説します。
貯湯容量と人数のバランス
エコキュートは深夜にお湯を沸かして貯湯タンクユニットに貯めて、日中に消費する貯湯式給湯システムです。効率よくお湯を沸かすことができ、電気料金が安い深夜にお湯を作るため、ランニングコストがガス給湯器や電気温水器よりも安くなります。
しかし、お湯を使いすぎてしまうと湯切れを起こしてしまい、電気料金が高い日中にお湯を沸かすことになります。日中にお湯を沸かすことが多いと、エコキュートを導入したのに光熱費がかえって高くなってしまいます。
そのため、エコキュートを選ぶ際は貯湯容量と家族の人数のバランスを見極めることが重要になりますが、薄型エコキュートだと選択肢が少ない場合があります。
次の表は、貯湯容量と家族の人数の目安をまとめたものです。
貯湯容量 | 家族の人数 |
---|---|
370L | 3人~5人 |
460L | 4人~7人 |
500L~ | 5人~8人 |
あくまでも目安ですが、5人以上住んでいる家庭だと貯湯タンクユニットのサイズは500L以上が望ましいです。しかし、薄型でタンクのサイズが500L以上の製品はほとんどありません。また、製品によっては460Lを販売していないケースもあります。
薄型エコキュートは貯湯タンクユニットのサイズの選択肢が少ないので、家族の人数が多い、あるいはお湯を日ごろから多く使う家庭は注意しましょう。
隣家との距離
薄型エコキュートは狭小スペースに設置しやすいですが、隣家と距離が近いと騒音トラブルに発展する恐れがあります。
エコキュートの稼働音は図書館並みの40db(デシベル) 程度のため、かなり静かです。しかし、低周波音を発するため、人によっては不眠や頭痛、めまいの原因となります。
また、狭小スペースは壁や塀などに囲まれており、エコキュートの稼働音を反響させて大きくさせてしまう事例があります。そのため、薄型エコキュートを狭小スペースに設置する場合は、騒音トラブルに発展しないように防音対策をしっかりと行いましょう。
マンションに設置する場合は許可が必要
結論から申し上げますと、マンションにエコキュートを設置はできますが、事前に許可が必要です。
薄型エコキュートは狭い場所に設置できるため、マンションのベランダやバルコニーに取り付けることはできます。
しかし、貯湯容量が370Lのタンクだと満水時には500kg~600kgを超える重量となるため、ベランダやバルコニーが耐えられるかどうかという問題があります。
また、フルオートタイプのエコキュートは追い焚きが可能ですが、そのための配管工事が必要になります。配管を通すためには壁に穴を開けたり、床下を上げて配管スペースを作ったりするなどの大掛かりな工事を行います。
他にも、エコキュートや配管を住んでいる部屋まで運ぶ、電気配線の変更など製品の設置に必要な作業や工事は多いです。そのため、製品を設置したいと考えている方は、事前に管理組合に相談して承認を得ることが必要です。
なお、エコキュートを設置するための工事内容によっては手続きが異なり、マンションによっては製品を設置できないこともあります。まずは、薄型エコキュートの設置が可能なのか、管理組合やマンションの管理会社などに問い合わせてみましょう。
そもそもエコキュートに交換するメリットはあるの?
ガス給湯器や電気温水器からエコキュートに交換するメリットはあります。
エコキュートは電気と空気の熱を利用してお湯を作る給湯器システムのため、ガス給湯器や電気温水器に比べてランニングコストが抑えられています。
次の表は、同じ湯量を沸かすための年間ランニングコストをまとめたものです。
エコキュート | 電気温水器 | 石油給湯機 | ガス給湯器 | |
---|---|---|---|---|
北海道電力エリア | 約32,400円 | 約108,000円 | 約81,600円 | 約109,200円 |
東北電力エリア | 約21,600円 | 約80,400円 | 約73,200円 | 約104,400円 |
北陸電力エリア | 約20,400円 | 約82,800円 | 約72,000円 | 約118,800円 |
東京電力エナジーパートナーエリア | 約24,000円 | 約102,000円 | 約67,200円 | 約78,000円 |
中部電力エリア | 約24,000円 | 約99,600円 | 約68,400円 | 約87,600円 |
関西電力エリア | 約20,400円 | 約86,400円 | 約64,800円 | 約81,600円 |
中国電力エリア | 約22,800円 | 約91,200円 | 約68,400円 | 約112,800円 |
四国電力エリア | 約26,400円 | 約126,000円 | 約67,200円 | 約99,600円 |
九州電力エリア | 約18,000円 | 約78,000円 | 約66,000円 | 約108,000円 |
沖縄電力エリア | 約10,800円 | 不明 | 約56,400円 | 約54,000円 |
家族の人数やライフスタイル、給湯保温効率によって実際のランニングコストは異なりますが、ガス給湯器や電気温水器に比べてお得にお湯を沸かせます。
お湯を作るための光熱費を節約したいと考えている方は角型や薄型エコキュートの設置を検討してみましょう。
まとめ
以上が、薄型エコキュートのメリット、デメリットの解説になります。薄型エコキュートとは、貯湯タンクユニットの形状が長方形の機種を指します。底面が長方形で、奥行きが短いので、狭い場所でも設置しやすいというメリットがあります。
一方で、製品の選択肢が少ない、角型よりも販売価格が高いなどのデメリットもあり、人によってはあまりおすすめできません。
「エコパパのお店」は他店に負けない価格と、業界に精通した商品知識豊富な専門スタッフが丁寧に対応いたします。薄型エコキュートを購入するかどうか迷っているのでしたら、ぜひご連絡ください。