エコキュートの寿命は部位で違う!交換サインと修理・交換の判断基準
2025年11月26日

ある日突然、エコキュートが止まってお湯が出なくなったら、誰もが不安になるでしょう。しかし、故障かな?と感じたとき、「修理で済むのか」「交換すべきか」を適切に判断できるかどうかで、数万円から数十万円もの出費が変わってきます。
エコキュートの寿命は、ヒートポンプユニットが約5〜10年、貯湯ユニットが約10〜15年と、部位によって大きく異なります。もし、10年を超えて主要部品が故障した場合、修理費用が15万円以上かかるなら、新品への交換を選んだ方が経済的です。
ヒートポンプユニットの主要部品(圧縮機・基盤)は高額で、一度修理しても他の部品が連鎖的に劣化するリスクが高いためです。また、新品に交換することで、新しい10年保証と最新機種の大幅な省エネ効果が得られ、長期的にコストを抑えられます。
この記事では、エコキュートの部位ごとの寿命の目安と、修理が高額になった場合の「交換すべきか否か」を判断するための明確な基準を解説します。ご自宅の機器の製造年とエラーコードを確認し、最も損をしない選択を見極めましょう。
エコキュートの部位別寿命と交換サインの基本
エコキュートは、熱を作る「ヒートポンプユニット」と、お湯を貯める「貯湯ユニット」の二つの機器で構成されています。それぞれ役割や環境が異なるため、寿命の目安も異なります。
貯湯ユニット(10〜15年)とヒートポンプ(5〜10年)の違い
| 機器の部位 | 役割 | 寿命の目安 | 保証期間(一般) |
|---|---|---|---|
| 貯湯ユニット(本体) | お湯を貯める、供給する | 10年〜15年 | タンク:5年 |
| ヒートポンプ(室外機) | お湯を沸かす(熱を作る) | 5年〜10年 | 冷媒回路:3年 |
ヒートポンプユニットは、屋外で常に稼働し、圧縮機や基盤などデリケートな電子部品が多く使われているため、貯湯ユニットよりも早く寿命を迎える傾向があります。貯湯ユニット自体は、魔法瓶のような構造で比較的頑丈です。
エラーコードは故障サイン!メーカー保証の確認方法
機器の寿命が近づき故障が始まるサインは、リモコンに表示されるエラーコードです。エラーコードは、故障箇所を特定するための重要な情報となります。
- Eから始まるエラー: センサーや電磁弁など、軽度な不具合を示すことが多いです。
- HやFから始まるエラー: ヒートポンプユニット内の圧縮機や基盤など、深刻な故障を示すことが多いです。
故障が発覚したら、まず保証期間を確認しましょう。期間内であれば、費用をかけずに修理できる可能性があります。保証書が見当たらない場合は、メーカーや販売店に問い合わせて確認してください。
【短命】ヒートポンプユニット(室外機)の寿命と高額修理の目安
ヒートポンプユニットの寿命は5年〜10年と短く、エコキュートの交換を検討する最大の要因となります。ここが故障すると、お湯自体が作れなくなります。
故障しやすい主要部品と修理費用の目安(基盤・圧縮機)
ヒートポンプユニット内の故障で最も高額になりやすいのが、以下の部品です。保証期間(一般的に3年)を過ぎた後の修理は、特に注意が必要です。
| 故障部品 | 役割 | 修理費用の目安 | 寿命判断への影響 |
|---|---|---|---|
| 制御基盤 | 運転を制御する頭脳 | 10万円〜20万円 | 高額修理のため交換を検討すべきライン |
| 圧縮機 | 熱を作る心臓部 | 20万円〜40万円 | 修理費用が交換費用に迫るため交換推奨 |
特に、圧縮機の故障は修理費用が非常に高額になるため、使用年数が10年を超えている場合は、修理をせず交換を選ぶ方が圧倒的に経済的です。
異音・異臭・お湯がぬるいはヒートポンプの寿命サイン
ヒートポンプユニットの寿命が近づいているサインは、エラーコード以外にも動作に現れます。
- 異音・大きな振動: 「ガリガリ」「キュルキュル」といった音や、以前より明らかに大きな振動は、圧縮機やファンモーターの摩耗を示しています。
- 沸き上げ時間の長期化/お湯がぬるい: 設定温度までお湯が沸かない、または沸き上げに異常に時間がかかるのは、熱効率が落ちている証拠です。これは毎月の電気代の増加にも直結します。
- 焦げたような異臭: 内部の配線や基盤がショート寸前である可能性があり、非常に危険なサインです。すぐに電源を切り、業者に連絡しましょう。
【長寿命】貯湯ユニット(本体)の故障サインと対応
貯湯ユニットはヒートポンプに比べて長寿命ですが、内部の部品劣化や、経年による問題が発生することがあります。
貯湯タンクからの水漏れや錆(サビ)の危険性
貯湯ユニットから水が漏れている場合、パッキンの劣化や、内部の配管のひび割れが考えられます。
- 軽微な水漏れ: 設置から時間が経ったパッキンの劣化が原因の場合、比較的安価な修理で済みます。
- タンクからの水漏れ: タンク本体が錆びて穴が開いている場合、タンクの修理は非常に難しいため、機器全体の交換が必要になります。
本体カバーを開けた内部や、排水口周りに赤いサビが目立つ場合は、内部の金属部分の劣化が進んでいるサインです。
弁(電磁弁・逃し弁)の故障による軽微なトラブル
お湯の温度を調整したり、タンク内の圧力を逃がしたりする弁の故障は、比較的よくあるトラブルです。
- 電磁弁の故障: 適切な温度のお湯が供給できず、水しか出なくなったり、ぬるくなったりします。修理費用は3万円〜8万円程度で済むことが多いです。
- 逃し弁の異常: タンク内の圧力が適切に逃げない、または水がずっと排出され続けるといった問題が起こります。
これらの部品は消耗品に近い性質を持つため、10年未満でも故障することがありますが、修理費用が安価なため、交換せずに修理で対応するのが一般的です。
修理 vs 交換:損をしないための経済的な判断基準
エコキュートの寿命が近づき、故障が発生した際に最も重要なのは、「修理費用をかけて延命させるか」、「新品に交換して安心を買うか」の判断です。
判断基準1:使用年数が10年を超えているか
- 10年未満: 基本的に修理で対応します。修理費用が高額でも、まだ機器全体の寿命は残っている可能性が高いです。
- 10年〜15年: 交換を検討すべき時期です。この期間の主要部品の故障は、ドミノ倒し故障や部品保有期間切れのリスクを伴います。
- 15年以上: すぐに交換すべき時期です。修理してもすぐに別の箇所が壊れる可能性が極めて高く、電気代の効率も悪いため、経済的メリットはありません。
判断基準2:修理費用が15万円を超えるか
エコキュートの交換費用(工事費込み)の相場が30万円〜55万円であることを考えると、修理費用がその半分(約15万円〜25万円)を超える場合は、新品交換の方が経済的です。
修理に15万円を払っても、保証期間はわずか数ヶ月〜1年程度です。一方で新品交換なら、10年間の保証と最新の省エネ性能が手に入り、今後の故障リスクや電気代の不安から解放されます。
判断基準3:メーカーの部品保有期間が終了しているか
メーカーは、機種の製造終了後、修理に必要な部品を8年〜10年程度しか保有していません。
- 保有期間終了の場合: 故障が発生しても修理部品が手に入らず、強制的に交換せざるを得なくなります。
- 確認方法: 業者に製造年を伝え、修理に必要な部品の在庫と保有期間を確認してもらいましょう。
寿命が来たら考える交換費用と補助金によるコスト削減
交換を決断した場合でも、費用を抑える方法はあります。計画的に進めることで、故障時の緊急交換よりも大幅に安く済ませられます。
交換総額の相場(30万円〜55万円)と費用の内訳
エコキュートの交換にかかる総額の目安は、30万円〜55万円です。この費用は「本体価格」と「工事費用」に分けられます。
- 本体価格: 費用の約7〜8割を占めます。多機能なハイグレードモデルではなく、必要な機能に絞ったスタンダードモデルを選ぶことで、本体価格を抑えられます。
- 工事費用: 既存機器の撤去・処分、新しい機器の設置、配管接続などが含まれます。既存のエコキュートからの交換は工事がスムーズなため、費用は安価です。
補助金(給湯省エネ事業など)の活用で実質費用を抑える
故障による交換であっても、高効率な給湯器への交換であれば、国の「給湯省エネ2025事業」などの補助金制度を利用できます。
- 補助額: 機種や性能によって異なりますが、数十万円単位の補助金が交付される可能性があります。
- 注意点: 補助金は、国に登録された専門業者を通じて申請する必要があります。交換を依頼する業者に、補助金対応が可能か必ず確認しましょう。
寿命を延ばすために!自分でできる日頃のメンテナンス
適切なメンテナンスを行うことで、メーカーが定める寿命目安よりも長く、快適にエコキュートを使い続けることが可能です。
タンクの寿命を延ばす「水抜き」(年に数回)
貯湯ユニットのタンク内には、水道水に含まれる不純物(ミネラルなど)が沈殿していきます。これが電磁弁などの部品の詰まりや劣化の原因となります。
- 目的: タンク底に溜まった不純物を排出する。
- 方法: 貯湯ユニット下部の排水栓(ドレン)を開けて水を抜き、新しい水を入れ直す作業を年に2〜3回行いましょう。
配管の寿命を延ばす「風呂配管の洗浄」
追い焚きや保温に使用される風呂配管には、浴槽のお湯に含まれる皮脂や雑菌が蓄積します。これがポンプやセンサーの故障、異臭の原因になります。
- 方法: 定期的に専用の配管洗浄剤を使用するか、フルオート機種の自動洗浄機能を活用して、配管内の汚れを徹底的に洗い流しましょう。
まとめ
エコキュートの寿命は、ヒートポンプが5〜10年、貯湯ユニットが10〜15年と部位によって異なります。特にヒートポンプは早めに寿命が来ることが多いため、注意が必要です。
- 交換の経済的判断: 使用年数が10年を超えており、修理費用が15万円以上かかる場合は、新品への交換が経済的に有利です。
- 交換のメリット: 新品交換(30万円〜55万円)であれば、10年間の保証と最新の省エネ性能による電気代の節約が得られ、今後の不安を解消できます。
ご自宅のエコキュートの状況を冷静に診断し、この記事の判断基準に基づき、補助金も活用しながら、最も損をしない交換計画を立てましょう。

































