エコキュートからお湯が出ない!緊急時の原因特定と今すぐできる対処法
2025年11月26日

エコキュートから急にお湯が出なくなると、冬場は特に大きなパニックになります。しかし、慌てる必要はありません。お湯が出ない原因の多くは、故障ではなく「湯切れ」や「凍結」といった簡単な理由です。まずは冷静に、リモコンと本体の状況を確認することが重要です。
この記事では、エコキュートからお湯が出ない時に今すぐできる緊急対処法と、故障を判断するためのステップを、原因の緊急度順に解説します。業者を呼ぶ前に自分でできることを試すだけで、ムダな出費を避けられる可能性があります。この記事を参考に、焦らずにお湯のトラブルを解決しましょう。
まず確認すべき「お湯が出ない」3つの簡単な原因
お湯が出ない、またはぬるいと感じた場合、すぐに故障と決めつける前に、以下の3つの簡単な原因をチェックしましょう。
原因1:単純な「湯切れ」(お湯の使いすぎ)
エコキュートは、夜間の安い電力でお湯を貯湯タンクに貯めておく仕組みです。もし、以下の状況でタンクのお湯を使い切ってしまった場合、一時的に蛇口からお湯が出なくなります。
- 長時間シャワーを使った
- 来客が多かったり、家族が入浴時間をずらしたりした
- 浴槽の自動保温や足し湯を頻繁に利用した
- 冬場で外気温が低く、熱ロスが大きかった
【対処法】
リモコンでタンクの湯量メモリを確認し、残量が極端に少なければ、電気代の高い昼間を避けて夜間まで待つか、「沸き増し」機能を使って必要な分だけお湯を沸かし直しましょう。
原因2:断水や給水止水栓の閉鎖
地域全体で断水している場合や、家の給水システム自体に問題がある場合は、エコキュートだけの問題ではありません。
- 断水: 地域の断水情報を確認するか、エコキュート以外の蛇口(台所など)から水が出るか確認します。
- 止水栓: エコキュートの貯湯ユニットの下部などにある給水止水栓が、掃除や点検などで誤って閉められていないか確認します。止水栓が閉まっているとお湯も水も供給されません。
原因3:設定温度の誤認やリセット忘れ
リモコンの設定が意図せず変更されてしまった場合もお湯が出ない原因になります。
- 給湯温度設定: リモコンの給湯温度が低く設定されていないか確認しましょう。特に冬場は40℃以上に設定しないとぬるく感じやすいです。
- リモコンのロック: 誤操作防止のためリモコンがロックされている場合、設定温度が変わらずお湯が出ないことがあります。
冬場特有のトラブル!給水配管の「凍結」対策と解凍手順
特に気温が氷点下になる寒い日の朝は、エコキュートの給水配管が凍結している可能性が高いです。
凍結が故障ではない理由と見分け方
配管凍結は、機器の故障ではありません。配管内の水が氷になったことで、水の流れが物理的に止まっている状態です。
- 見分け方: リモコンにエラーが表示されていないのに、お湯側の蛇口を開けても「水」も「お湯」も全く出ない場合、凍結の可能性が高いです。ヒートポンプユニットから貯湯タンクに繋がる配管や、水道の元栓付近の配管が凍っていることが多いです。
絶対NG!凍結時の「熱湯厳禁」の理由と正しい解凍方法
凍結した配管に熱湯をかけるのは絶対にやめてください。急激な温度変化により、配管や接続部分が破損し、水漏れなどの大きなトラブルにつながります。
| 対処法 | 方法 | 注意点 |
|---|---|---|
| 自然解凍 | 気温の上昇を待つ(最も安全な方法) | 昼になり気温が上がれば自然に解凍します。 |
| 正しい解凍 | 配管にぬるま湯(30℃〜40℃程度)をゆっくりかける | 凍結箇所が分かれば、そこを集中的にタオルで覆い、ぬるま湯をかけましょう。 |
| ドライヤー | 凍結した配管に、ドライヤーの温風を当てる | 配管から十分離し、熱くなりすぎないように注意します。 |
凍結を予防するための日常的な対策
日頃から以下の対策を行うことで、凍結リスクを大幅に減らせます。
- 配管の保温: むき出しになっている給水配管に、市販の保温材や古布などを巻きつけ、テープで固定します。
- 水を流す: 就寝前に、お湯側の蛇口から水を少量(ポタポタと落ちる程度)流しっぱなしにしておくと、水が動くことで凍結を防げます。
リモコンのエラーコードを確認する:主要メーカー別の対処法
簡単な対処法や凍結対策で直らない場合、エコキュートが内部で異常を検知し、リモコンにエラーコードを表示しているはずです。これが故障診断の第一歩となります。
エラーコードは故障診断の第一歩
リモコンに表示されるエラーコード(例:E3、H24など)は、エコキュートが「どこに問題が起きているか」を自己診断した結果です。このコードを控えておくことで、業者に連絡する際もスムーズです。
| エラーコードの種類 | 示す問題の主な内容 | 深刻度 |
|---|---|---|
| Eから始まるコード | 給湯(水)の供給、センサーの異常など | 比較的軽度、リセットで直る可能性あり |
| HやFから始まるコード | ヒートポンプの回路異常、圧縮機の停止など | 深刻度が高い、専門業者による修理が必要 |
代表的なエラー(E、Hなど)が示す深刻度
多くのメーカーで、Eから始まるエラーは「一時的なセンサーの誤作動」や「断水などの外部要因」が原因であることが多く、一度電源をリセットすれば直るケースがあります。
しかし、HやF、Cなどから始まるエラーは、ヒートポンプユニット内の基盤や、圧縮機といった重要部品の故障を示している可能性が高く、素人による対処は難しくなります。
自分でできる!本体のリセット(応急処置)の手順
エラーコードが表示された場合でも、深刻な故障ではないこともあります。一時的なシステムエラーであれば、リセット(再起動)で直る可能性があります。
リモコンと本体の電源をオフ・オンする手順
リセットは、パソコンの再起動と同じく、機器を一時的に休ませてシステムを正常な状態に戻すための応急処置です。
- リモコンの電源を切る: まず、台所や浴室のリモコンの運転スイッチを切ります。
- 本体の電源を切る(ブレーカーオフ): 貯湯ユニットの近くにある漏電ブレーカー(通常はカバー内にあります)を探し、これを「切」にします。
- 数分待つ: 5分〜10分程度待ち、システムが完全に停止するのを待ちます。
- 電源を再度入れる: 漏電ブレーカーを「入」に戻し、リモコンの運転スイッチを入れ直します。
リセットで直るケースと、再発時の注意点
リセット後にお湯が出るようになれば、システムエラーが原因だった可能性が高いです。
しかし、リセットで一時的に直っても、同じエラーがすぐに再発する場合は、部品の劣化や基盤の不具合が原因である可能性が高いです。この場合は、そのまま使い続けると機器全体に負荷がかかるため、すぐに専門業者に修理を依頼しましょう。
自分で直せない深刻な故障のサインと修理費用の目安
リセットしてもエラーが消えない、またはお湯が出ない状態が続く場合は、いよいよ専門的な修理が必要です。
故障の部位別診断(ヒートポンプ vs 貯湯タンク)
- ヒートポンプユニットの故障(お湯が作れない): リモコンに「ヒートポンプの異常」を示すエラー(Hなど)が出ている場合です。お湯自体を効率よく作れないため、タンクの湯量が全く増えません。
- 貯湯タンクの故障(お湯を運べない): 内部の電磁弁や混合弁、各種センサーの故障です。お湯はタンクに貯まっているのに、蛇口に送る温度調整ができない、または水が漏れているなどの症状が出ます。
ヒートポンプは室外機で外にあり、貯湯タンクは大きな本体のほうだと覚えておきましょう。
故障しやすい部品とその修理費用の相場(例:3万円〜15万円)
故障の部位によって修理費用は大きく異なります。
| 故障部品 | 修理費用の目安(部品代+工賃) | 補足 |
|---|---|---|
| 温度センサー・混合弁 | 3万円〜8万円 | 比較的軽微な故障で対応が早い |
| ヒートポンプの基盤 | 7万円〜15万円 | 制御の中枢であり、部品代が高額になりやすい |
| ヒートポンプの圧縮機 | 20万円〜40万円 | ヒートポンプの心臓部。この場合、交換を検討すべき |
エコキュートの保証期間は「本体1年、冷媒系統3年、タンク5年」が一般的ですが、メーカーによっては「10年保証」を付けている場合もあります。まずは保証期間を確認しましょう。
買い替えを検討すべき判断基準と交換費用の相場
修理費用が高額になる場合や、何度も同じエラーが再発する場合は、修理よりもエコキュート本体の交換を検討する方が賢明です。
寿命(10年〜15年)を超えているかどうかの確認
エコキュートの寿命は、10年〜15年が目安とされています。
- 10年未満: 部品交換の修理で済ませるのが経済的です。
- 10年〜15年: 部品交換費用が15万円を超える場合は、交換を強く推奨します。今後、次々と他の部品も故障するリスクが高いためです。
- 15年以上: ほぼ間違いなく交換すべき時期です。
修理費用が15万円かかるとして、その費用を払っても数年後にまた別の箇所が故障するリスクを考えると、思い切って最新の省エネ機種に交換した方が、電気代の節約にもつながり、トータルで得になることがほとんどです。
高額修理を避けるための交換費用の目安(30万円〜55万円)
エコキュートの交換費用(本体+工事費込み)の相場は30万円〜55万円です。
高額な修理を繰り返すよりも、この費用を支払って新品に交換すれば、メーカー保証と工事保証が新たに10年近く付くことになり、今後10年間は故障の不安から解放されます。
また、交換の際は、国や自治体の補助金制度(給湯省エネ事業など)が利用できる場合があるため、実質的な交換費用を大幅に抑えることが可能です。
まとめ
エコキュートからお湯が出ない緊急事態が発生した場合、まずは落ち着いて原因を特定し、自分でできる対処法を試みましょう。
- 初動対応: リモコンで湯量を確認し、湯切れや断水などの単純な原因でないかチェックしましょう。
- 冬場対策: 給水配管の凍結を疑い、ぬるま湯やドライヤーで優しく解凍を試みましょう。(熱湯厳禁!)
- エラー対応: リモコンのエラーコードを確認し、本体の漏電ブレーカーをオフ/オンすることでリセット(再起動)を試みましょう。
- 専門家の判断: リセットしてもエラーが再発する場合や、深刻なH、Fコードが出ている場合は、すぐに専門業者に修理を依頼します。
エコキュートの寿命(10年〜15年)を超えていて、修理費用が高額になる場合は、新しい省エネ機種への交換を検討することで、今後の不安とムダな電気代をまとめて解消できます。


































