エコキュートの故障診断と修理・交換費用!損をしない判断基準
2025年11月26日

ある日突然、エコキュートが止まってお湯が出なくなったら、誰もが不安になるでしょう。しかし、故障かな?と感じたとき、「修理で済むのか」「交換すべきか」を適切に判断できるかどうかで、数万円から数十万円もの出費が変わってきます。
エコキュートの故障は、使用年数によってその対応が大きく異なります。使用開始から日が浅ければ修理で済みますが、寿命目安の10年を超えている場合は、修理よりも交換の方が経済的に有利になるケースがほとんどです。
この記事では、まず故障の初期診断法から、部位別の具体的な修理費用の目安を解説します。そして、最も重要な「修理 vs 交換」の判断基準を明確にお伝えします。この記事を読めば、焦らず冷静に、ご自宅のエコキュートにとって最適な選択ができるはずです。
エコキュートの故障箇所を特定する2つのステップ
故障が疑われる場合、専門業者に連絡する前に、以下の2つのステップで状況を整理しておくと、修理依頼がスムーズになり、診断時間も短縮できます。
ステップ1:リモコンのエラーコードを確認する
故障のサインは、必ずリモコンに表示されるエラーコードに現れます。
- エラーコードの重要性: Eから始まるコード(センサー異常など)や、H、Fから始まるコード(ヒートポンプの深刻な異常)など、コードはメーカーごとに故障箇所を示しています。
- 対処法: 表示されたエラーコードをメモし、取扱説明書やメーカーのウェブサイトで「何を意味しているか」と「自分でできる簡単な対処法」を確認しましょう。
エラーコードが分かれば、業者は電話口で故障部位をある程度絞り込めるため、訪問時の対応も早くなります。
ステップ2:水は出るか?電源は入るか?の確認
エラーコードがない、またはエラーコードが表示されていても、以下の動作確認は重要です。
- 水は出るか?: お湯側の蛇口から水(冷水)は出るか確認します。水も出ない場合は、エコキュートの故障ではなく、断水や凍結、給水止水栓の閉鎖など、外部の要因である可能性が高まります。
- 電源は入るか?: リモコンや本体の電源ランプ、漏電ブレーカーが「入」になっているか確認します。停電やブレーカーが落ちたことが原因の場合、電源を入れ直すだけで直ることもあります。
これらの初期チェックで直らない場合、次に具体的な故障の症状を確認します。
故障のサインと症状別診断:どこが壊れているかをチェック
エコキュートの故障は、大きく分けて「お湯を沸かす(ヒートポンプ)」か「お湯を貯める・出す(貯湯ユニット)」のどちらかに原因があります。
症状A:お湯がわかない・ぬるい(ヒートポンプの異常)
お湯が全く沸き上がらない、または設定温度まで温まらない症状は、主にヒートポンプユニット(室外機)の異常を示しています。
- ヒートポンプの故障: お湯の元となる熱を効率よく作れないため、タンクの湯量が減る一方になります。
- エラーコードの傾向: HやFといった、圧縮機や基盤の異常を示す深刻なコードが出やすいです。
症状B:水漏れがする(貯湯ユニットや配管の異常)
貯湯ユニットの周辺や、ヒートポンプとの接続部から水が漏れている症状です。
- 貯湯ユニット内部の故障: タンク内部の安全弁や減圧弁、電磁弁などのパッキンや部品が劣化している可能性があります。
- 配管の破損: ヒートポンプとタンクをつなぐ配管や、浴槽への循環配管の接続部が劣化し、水漏れを起こしているケースです。
水漏れは放置すると、水道代が高くなるだけでなく、周囲の基礎部分を傷める原因にもなるため、すぐに止水栓を閉めて業者に連絡が必要です。
症状C:異音や異臭がする(ポンプや圧縮機の異常)
特にヒートポンプユニットから「ガリガリ」「キュルキュル」といった異音や、焦げ付いたような異臭がする場合は、内部の重要部品が損傷している可能性が高いです。
- 圧縮機の故障: ヒートポンプの心臓部である圧縮機が劣化し、異音を出している場合、高額な修理または交換が必要です。
- 循環ポンプの故障: 浴槽の追い焚きや保温に必要な循環ポンプが、異物を噛み込むなどして異音を出すことがあります。
故障部位別の修理費用の目安と保証期間の活用
故障の診断ができたら、次に気になるのが修理費用です。エコキュートの修理費用は、交換部品の単価とメーカーの出張費・技術料によって決まります。
修理費用が安い故障(センサー、電磁弁):3万円〜8万円
比較的安価に済む故障は、主に水の流れを制御したり、温度を測ったりする消耗部品の交換です。
| 故障部品 | 費用の目安(部品代+工賃) | 備考 |
|---|---|---|
| 温度センサー | 3万円〜5万円 | センサー類の交換は技術的な難易度が低い |
| 電磁弁・逃し弁 | 5万円〜8万円 | タンク内の圧力を調整する重要な弁の交換 |
これらの故障は、使用年数にかかわらず発生することがあり、一般的に修理で済ませるのが経済的です。
修理費用が高い故障(基盤、圧縮機):10万円〜40万円
エコキュートの心臓部や頭脳部にあたる部品が故障すると、修理費用は一気に高額になります。
| 故障部品 | 費用の目安(部品代+工賃) | 備考 |
|---|---|---|
| ヒートポンプの基盤 | 10万円〜20万円 | ヒートポンプを制御する電子回路。高額になりやすい |
| ヒートポンプの圧縮機 | 20万円〜40万円 | 機器の核となる部品であり、費用が交換費用に近づく |
特に、圧縮機の故障は高額な上、交換しても他の部品が連鎖的に故障するリスクがあるため、「修理 vs 交換」の判断が重要になります。
メーカー保証と延長保証の確認方法
故障が確認されたら、まず最初に保証期間内かどうかを確認しましょう。
- 一般保証: 本体は1年間、ヒートポンプの冷媒系統は3年間、貯湯タンクは5年間が一般的です。
- 延長保証: 販売店や工事店で10年などの延長保証に加入している場合は、修理費用が全額または一部免除になる可能性があります。
保証期間内であれば、費用を気にせず修理を依頼できます。保証書が見当たらない場合は、購入した販売店や設置工事店に問い合わせてみましょう。
【最重要】修理で済ませるか、交換すべきかの判断基準
修理費用が高額になる場合、単に直すだけでなく、エコキュート本体を交換すべきかを冷静に判断することが、将来的な出費を防ぐ鍵になります。
判断基準1:機器の「使用年数」が10年を超えているか
エコキュートの故障が発生した時点で、設置から10年を超えているかどうかが最も重要な判断基準です。
- 10年未満: 基本的に修理で対応します。
- 10年〜15年: 修理費用が15万円を超える場合や、主要部品の故障の場合は交換を推奨します。今後、次々と部品が寿命を迎え、何度も修理費用がかかる「ドミノ倒し故障」のリスクが高いためです。
- 15年以上: 性能も大幅に落ちているため、高額な修理は避け、交換が最善の選択です。
判断基準2:修理費用が交換費用の半分を超えていないか
エコキュートの交換費用(工事費込み)の相場は30万円〜55万円です。
- 修理費用が交換費用の半分(約15万円〜25万円)を超える場合、新品に交換する方が経済的です。新品であれば、10年間の保証と最新の省エネ性能が付いてくるため、修理の不安と毎月の電気代を同時に解消できます。
判断基準3:部品の保有期間が終了していないか
エコキュートの部品には、メーカーによる「部品の保有期間」が設定されています。これは、製造終了後、修理に必要な部品を保管しておく期間のことです。
- 期間目安: 製造終了後、8年〜10年程度
- 問題点: 保有期間を過ぎている場合、修理に必要な部品がメーカーになく、修理自体が不可能になります。この場合は、強制的に交換せざるを得ません。
製造年や機種名を業者に伝え、部品の保有状況を確認してもらいましょう。
故障時の交換費用を安く抑えるための賢い選択
高額な故障修理を避け、交換を決断した場合、その交換費用をいかに安く抑えるかが次の課題となります。
補助金(給湯省エネ事業など)を最大限に活用する
故障による交換であっても、国の「給湯省エネ2025事業」などの補助金制度は利用できます。
- 補助金活用: 補助金を活用することで、実質的な交換費用を数十万円単位で削減できます。
- 申請の注意: 補助金の申請は、国に登録された業者を通して行う必要があるため、交換を依頼する業者選びの際に、補助金対応の業者か必ず確認しましょう。
補助金の予算は限りがあり、早期に終了することもあるため、故障が発覚したらすぐに補助金の情報をチェックすることが重要です。
複数業者から見積もりを取り、相場を把握する
故障時は一刻も早く直したい気持ちから、最初に連絡した業者に全て任せてしまいがちですが、これでは高値で契約してしまう可能性があります。
- 相見積もりの重要性: 最低でも3社以上から見積もりを取り、本体価格や工事費用の内訳を比較しましょう。
- 交換の費用相場: 相場(30万円〜55万円)を大きく超える業者や、見積もり内訳が不透明な業者は避けるべきです。
故障時に迅速に対応しつつ、適正価格を提示してくれる信頼できる業者を選ぶことが、費用削減の最終手段です。
故障の再発を防ぐ!エコキュートの寿命を延ばす方法
適切なメンテナンスは、故障を防ぎ、エコキュートの寿命を最大限に延ばすことにつながります。
定期的な「お手入れ」(配管洗浄、水抜き)の重要性
- 水抜き(ドレン): 貯湯タンクの下部にある排水栓を開けて、年に数回、タンク内の不純物(沈殿物)を排出します。これが部品の詰まりや劣化を防ぎます。
- 配管洗浄: 浴槽とエコキュートをつなぐ配管を、メーカー推奨の洗剤や機能を使って定期的に洗浄し、汚れの蓄積を防ぎます。
冬場の「凍結防止対策」を徹底する
故障ではないものの、配管の凍結は一時的なお湯の停止や、最悪の場合、配管の破裂という故障に繋がります。
- 配管の保温: むき出しの配管に保温材を巻き付けます。
- 自動凍結防止機能: リモコンで低温注意報が出た際、浴槽にお湯を残したり、少量の水を流しっぱなしにするなど、メーカーの指示に従って凍結予防を行いましょう。
まとめ
エコキュートの故障は、使用年数によって「修理か交換か」の判断が分かれます。
- 故障の診断: まずはリモコンのエラーコードを確認し、故障部位を特定します。自分でできるのはブレーカーリセットまでです。
- 修理費用の目安: 軽微な部品交換は3万円〜8万円ですが、基盤や圧縮機など重要部品の故障は10万円〜40万円と高額になります。
- 交換の判断基準: 使用年数10年超かつ、修理費用が15万円を超える場合は、新品への交換を強く推奨します。新品交換であれば、保証と省エネ性能の両方でメリットが得られます。
故障時は焦らず、必ず複数の業者から見積もりを取り、補助金情報も確認しながら、最も経済的で安心できる選択をしましょう。


































