エコキュートは停電時にどうなるの?停電後に復旧してもお湯が出ないときの対処法も解説
2022年7月7日
エコキュートは電気と空気の力によってお湯を作る給湯器システムです。そのため、停電が起きると利用できなくなると思われますが、実際は違います。
そこで今回は、エコキュートは停電時にどうなるのか、分かりやすく解説します。停電後に復旧してもお湯が出ない時の対処法も説明しますので、ぜひ最後までご覧ください。
エコキュートってどんな給湯器?
エコキュートは電気と空気の力を利用してお湯を作る給湯器システムです。電気をエネルギーとして稼働するヒートポンプユニットが、外気を取り込んで圧縮し、取り出された熱を用いてお湯を作ります。
ヒートポンプユニットによって作られたお湯は貯湯タンクユニットに貯められ、必要に応じて各所に給湯されます。
なお、貯湯タンクユニット内部に貯められているお湯は非常に高温です。台所や風呂場などに給湯する際は、水道水と混ぜて温度を下げます。
そのため、貯湯タンクユニットにお湯が貯めてあっても、断水時だとシャワーや蛇口からお湯を出すことや、浴槽にお湯をはることはできません。
停電時にエコキュートにできること
エコキュートは停電していても、貯湯タンクユニットにお湯が貯めてあり、なおかつ断水されていない時はシャワーや蛇口からお湯を使用することが可能です。ただし、お風呂のお湯はりはできません。
次の表は、停電した場合、断水した場合、停電と断水が両方起きた場合にエコキュートにできることをまとめたものになります。
停電のみ | 断水のみ | 停電と断水 | |
---|---|---|---|
シャワーからお湯を出す | 可能 | 不可能 | 不可能 |
蛇口からお湯を出す | 可能 | 不可能 | 不可能 |
お風呂のお湯はり | 不可能 | 不可能 | 不可能 |
表にあるように、停電だけなら貯湯タンクユニット内部のお湯でシャワーを浴びたり、お湯で手を洗ったりできます。ただし、停電時は湯温調整ができないので、高温のお湯が出てくる可能性があるので注意しましょう。
また、機種によって停電時にシャワーや蛇口からお湯を出せるかどうかは異なります。例えば、コロナのエコキュートは2008年4月以降に発売されたモデルは可能となっていますが、2008年以前の一部のモデルだと使えません。
エコキュートを購入する前に、停電時でもお湯が利用できるかどうかを確認しておくと良いです。
ほかにも、停電中だと電気がないので、エコキュートでお湯を作ることができません。貯湯タンクユニットに貯めてあるお湯を使いきると、電気が復旧するまでお湯は利用できなくなるので注意しましょう。
停電と断水の両方が起きた時にエコキュートにできること
停電と断水の両方が起きていると、エコキュートは次のことができなくなります。
- お湯を作る
- シャワーや蛇口からお湯を出す
- お風呂のお湯はり
停電と断水が同時に起きると、エコキュートにできることはありません。ただし、貯湯タンクユニット内部に貯めてあるお湯を生活用水として使用することは可能です。
機種によって細かい手順は異なりますが、次の方法で貯湯タンクユニットからお湯を取り出すことができます。
- 1. 貯湯タンクの漏電遮断器をオフにする
- 2. 給水止水栓、もしくは家の水道メーター横の止水栓が閉まっているか確認
- 3. 逃し弁レバーを上げる
- 4. 非常用水取出口にホースを差し込む
- 5. 非常用取水栓を開けてお湯を出す
- 6. 必要な分を出したら非常用取水栓を閉める
- 7. 逃し弁レバーを上げる
- 8. 非常用水取出口のホースを外す
エコキュートの一般的な貯湯容量は370Lです。仮に、貯湯タンクユニットにお湯が満タンに入っていたら、2Lのペットボトル約185本分のお湯を利用できる計算になります。
つまり、エコキュートがあれば停電と断水の両方が起きた時に、2Lのペットボトル約185本分の生活用水を簡単に確保できます。
ただし、エコキュートの貯湯タンクユニットから取り出したお湯は生活用水として使用できますが、飲料水として使用するのは止めましょう。
エコキュートのお湯が飲料水に向かない理由
エコキュートのお湯は飲料水に向きません。メーカーの公式サイトや取扱説明書にも、エコキュートのお湯はそのまま飲むのに適していないと記載されています。
エコキュートのお湯が飲料水に向かない理由は次の2つです。
- タンク内部のお湯が水道法の基準を満たしていない
- タンク内部の汚れが混ざっている可能性がある
上記の理由を順番に解説します。
タンク内部のお湯が水道法の基準を満たしていない
基本的に貯湯タンクユニットに貯める前の時点で、お湯は空気に触れることなく煮沸消毒されているので、汚れている訳ではありません。
しかし、沸かした時点で水道水に含まれるカルキなどの消毒が消えてしまうため、日本の水道法における水質基準を満たしていない可能性があります。
そのため、エコキュートメーカーは「お湯は飲用水に適していない」と説明しています。
タンク内部の汚れが混ざっている可能性がある
エコキュートを長年使用していると、貯湯タンクユニット内部に汚れが蓄積されます。
定期的にメンテナンスをしていれば問題ありませんが、放置しているとお湯のなかにタンクの汚れが混ざっている可能性があります。
衛生面が気になる方は、貯湯タンクユニットのメンテナンスを定期的に行いましょう。
エコキュートのお湯の生活用水としての利用方法
エコキュートのお湯は飲用水としては不向きですが、生活用水として次のような利用方法があります。
- 身体を拭く
- 皿やコップなどの食器を洗う
- トイレを流す
停電や断水で水が使えない時は、エコキュートのお湯で身体を拭いたり、皿やコップなどの食器を洗ったりしましょう。飲用水に適していないだけで、上記の方法で利用しても問題ありません。
特に便利なのが、トイレを流すための水として利用できることです。
停電や断水によってトイレが流れない場合、バケツ1杯(6L~8L)の水で汚物を一気に流し込むようにして排出します。最後に、便器内の水位が通常の高さになるように、3L~4Lの水を注ぎます。
つまり、停電や断水によってトイレが流れない時は、汚物を排出するのに10L~12Lの水が必要になります。
お風呂の残り湯は、水の中に髪の毛やゴミなどが入っており、汚物を排出するのに利用すると、なんらかの悪影響を及ぼすと考えられます。かといって、トイレのために備蓄していた水を消費するのは勿体ないので、エコキュートがあると非常に便利です。
なお、地震などの災害で排水管が壊れていると、汚物をそのまま排出すると汚水があふれたり逆流したりする恐れがあります。用心のために、水を使わずに処理できる災害用トイレも備蓄しておきましょう。
停電中や停電から回復したらやっておくこと
停電が発生したら機器のスイッチをオフにしておくと安全です。そして、停電から回復した時は、説明書に沿ってリモコンの時刻設定や再設定を行っておきましょう。
リモコンの時刻がズレていると、電気料金の安い時間帯にお湯を作ることができなくなるので、ランニングコストが増えてしまいます。
また、停電中にお湯を使用していて、残湯量が少ないときは沸き増し運転を行うと良いでしょう。
停電後にお湯が出ない場合の対処方法
停電から回復したのにお湯が出ない場合は次の可能性が考えられます。
- 断水している
- 湯切れを起こしている
- 停電が影響してエコキュートが故障している
停電から回復したら、まずはエコキュートの時刻設定を行い、状況を把握しましょう。断水が起きているなら、リモコンにエラーコードが表示されています。
次の表は、各メーカーの断水時のエラーコードをまとめたものになります。
エラーコード | |
---|---|
パナソニック | U22 |
三菱電機 | P21 |
コロナ | E14 |
ダイキン | C15、C16 |
日立 | Er15、Er16 |
東芝 | U27 |
断水が原因でなければ、湯切れを起こしていないか確認しましょう。お湯が足りない場合は、沸き増し運転をして、お湯ができるのを待ちます。
上記のどちらでもない場合は、停電が原因でエコキュートが故障している可能性が高いです。エコキュートの電源を落とし、修理業者やメーカーに相談しましょう。
停電に備えて用意しておきたい住宅設備
エコキュートは停電中でも、貯湯タンクユニット内部にお湯があれば、シャワーや蛇口からお湯を出すことは可能です。しかし、停電が長引けば貯湯タンクユニットに貯めてあるお湯を使いきってしまい、湯切れとなります。
停電中に湯切れが起きるのを回避したいなら、太陽光パネルや蓄電池の設置を検討してみましょう。
太陽光パネルや蓄電池があれば、停電中でもお湯を沸かすことが可能です。また、エコキュート以外の冷蔵庫やテレビ、照明器具などを稼働することもできるので、太陽光パネルや蓄電池は停電に備えて用意しておきたい住宅設備になります。
断水時にやっておくべきこと
停電から回復してもお湯が出ない原因が断水の場合、次のことを真っ先にやっておきましょう。
- エコキュートの給水止水栓を閉める
- 家の水道メーター横の止水栓を閉める
止水栓とは、水が流れてくる配管の栓のことで、閉めると文字通り水が止まります。そのため、止水栓を緩めない限りは、エコキュートや他の蛇口、家電製品で水を使用することはできません。
断水時に止水栓を閉めるのは、エコキュートや蛇口などに泥水や空気などの不純物が混じらないようにするためです。
例えば、地震による断水が発生している場合、排水管内部に亀裂が生じ、泥や空気が混ざってしまう恐れがあります。断水から回復して、そのままエコキュートを使用すると、泥や空気が混ざった水が貯湯タンクユニットに流れます。
泥水や空気が混じると、故障の原因になる可能性があります。そのため、断水が発生したらまずはエコキュートや水道メーター横の止水栓を閉めて、泥水や空気が間違って入ってこないように対策をします。
そして、断水が終わったら段階的に蛇口を緩めて、泥水や空気を排出してからエコキュートを稼働するようにしましょう。
次の記事は、エコキュートを利用中に断水した場合の対象方法をまとめてあるので、参考にしてください。
まとめ
以上が、エコキュートの停電時についての解説になります。基本的に、エコキュートは停電時にやっておくことは、電源を落としておくことです。停電から復旧したら、リモコンの時刻設定を行えば、対処は完了です。
停電のみ発生している場合だと、お湯はりはできませんが、シャワーや蛇口からお湯を出すことができます。しかし、断水時はシャワーや蛇口からお湯を出すこともできなくなり、停電時に比べてやるべきことが増えるので注意しましょう。
「エコパパのお店」では、エコキュートに関する知識を身に着けたスタッフが対応いたします。停電から復旧してもお湯が出ない場合は、故障して居る可能性もあるので、「エコパパのお店」にご連絡ください。