災害時に水はどれだけ必要?トイレの水の流し方やエコキュートがおすすめの理由を解説
2022年10月6日
2022年9月に発生した台風15号は静岡県に記録的な大雨を降らせ、未曾有の水害被害をもたらしました。特に、静岡市清水区は全体の約8割にあたる約63,000軒が断水となり、多くの方が飲料水や生活用水を必要としました。
断水が長引くと、生活に必要な水が不足してしまい、最低限の生活を送ることが難しくなります。また、水回りの住宅機器が故障する恐れもあるので注意が必要です。そこで今回は、災害時に必要な水の種類や量、やっておくべきことなどを分かりやすく解説します。断水が起きる前に準備しておくと、いざという時に役立つので参考にしてください。
災害時に必要な水の種類と量は?
災害時に必要な水は、飲料水と生活用水の2種類です。それぞれの必要な理由と量を順番に解説します。
飲料水
飲料水は文字通り、飲むための水です。健康な成人は毎日体重1キロにつき、約35mlの水が必要と言われています。おおよその目安は以下のとおりです。
- 50kg…1.7L/日
- 60kg…2.1L/日
- 70kg…2.4L/日
- 80kg…2.8L/日
ただし、上記はあくまでも目安で、毎日飲む必要のある水の量は年齢や食事内容、活動レベル、天候によって影響を受けます。例えば、暑い日なら汗をかくため水分を多めにとる必要があり、お年寄りは活動レベルが下がるので目安通りだと飲みすぎてしまいます。
そのため、農林水産省の「緊急時に備えた家庭用食料品備蓄ガイド」では、飲料水は直接飲む量が1日1L、調理などで必要な量を1日2Lとしており、合計で1人あたり1日3Lの水が必要だと推奨しています。
飲料水は国からの支援が届くまでに最低3日分の備蓄があると望ましいです。そのため、断水に備えて飲料水を用意しておく場合は、次の式で必要な量を求めましょう。
- 3L×家族の人数×3日=必要な飲料水の量
身体の中の水分が不足すると、熱中症や脳梗塞、心筋梗塞などの病気になるリスクが高まります。断水はすぐに復旧しない可能性もあるため、あらかじめ一定の飲料水は確保しておくと良いです。
生活用水
生活用水とは、洗濯や風呂、掃除、水洗トイレなどに用いられる水のことを指します。飲料水のように口に入ることはない水ですが、必要な機会は多く、最低限の生活水準を維持するためには1人につき、1日あたり10L~20Lは必要だと言われています。
生活用水も支援が届くまでに最低3日分の備蓄があると望ましいため、次の式を用います。
- 10L~20L×家族の人数×3日=必要な飲料水の量
なお、ペットを飼っている家庭の場合は、ペット用の飲料水や生活用水も確保しておくと良いでしょう。
災害で断水した時はトイレに注意!
災害で断水が起きると、生活用水は様々なシーンで役立ちます。例えば、身体を拭くための水に利用できたり、必要な物資を洗ったりする際などに役立ちます。特に、災害で断水した時のトイレのために生活用水は必須と言えます。
断水が起きていると、トイレの水が流れなくなります。そのため、トイレを利用したら、汚物を流すために便器に水を直接流し込む必要があります。
断水しているトイレに水を流す方法は以下のとおりです。
1. トイレのオート機能を切る
2. トイレの周囲に新聞紙や雑巾を敷く
3. 5L~6Lの生活用水を入れたバケツを用意する
4. 便器に直接、短時間で一気に水を流し込む
5. 汚物が流れたら水位を上げるために静かに水を足す
断水でトイレが流れない時は、便器に直接、大量の水を短時間で流し込むことで、汚物が流れます。実行する際は汚水が水はねする可能性があるので、トイレの周囲に新聞紙や雑巾をしいて保護しておくと良いです。
5L~6L程度の水を一気に流し込み、汚物が流れたら水位を確認しましょう。水位が低いと排水管からニオイがするので、水を静かに足して防ぎます。
なお、何度もバケツで流していると、水流不足で汚物が排水管に詰まってしまう可能性があるので、数回に1回程度はバケツ2杯分(10L~12L)の水で流すと安心です
バケツでトイレを流す際の注意点
バケツでトイレを流す際は、トイレタンクに水を入れてはいけません。
一般的なタンク式のトイレはタンク内部に水が溜まっており、レバーを回すと水が流れていき、汚物を洗い流します。
そのため、タンクに水を入れれば、普段と同じように水が流れると思ってしまいますが、実際はタンクだけでなく、新しく給水した水も洗浄に使用しています。
つまり、タンク内部に入る水の量だけでは水量不足のため、トイレを流すことができず、途中で詰まってしまう原因になる恐れがあります。
また、温水洗浄便座だとタンク周囲にある電気部品が濡れてしまうと故障するケースがあります。断水でトイレが流れない時は、便器に勢いよく、大量の生活用水を流し込むようにしましょう。
災害で断水した際に備えて水を貯めておく方法
飲料水はメーカーが販売している水を必要量購入して保管しておくと良いです。定期的に消費期限を確認し、近づいたら新しいのと交換して、古いのは自分で消費するようにしましょう。
しかし、生活用水は飲料水のように貯めておくことは難しいです。なぜなら、必要な量が飲料水に比べて多いからです。
-
- 3L×家族の人数×3日=必要な飲料水の量
- 10L~20L×家族の人数×3日=必要な飲料水の量
例えば、家族が4人いる場合、飲料水は36L、生活用水は120L~240Lは必要になります。2Lのペットボトルで換算すれば、生活用水だけで60本~120本必要という計算です。
2Lのペットボトルを60本~120本も常備しておくことは難しいです。そのため、生活用水にはお風呂に貯めたお湯を使うことを推奨されています。
浴槽の形状や大きさにもよりますが、満杯まで入れれば200L前後の生活用水を貯めておくことができます。2Lのペットボトルに換算すれば100本程度なので、家族4人が節約しながら3日間過ごす程度の量を確保できます。
しかし、断水前に浴槽に水を貯めておく判断を下すのは難しく、断水が起きてからでは浴槽に貯めておくことはできません。また、残り湯があったとしても、誰かが入った後なので垢やゴミなどが浮かんでいるため、清潔とは言えません。
浴槽に水を貯めて生活用水として利用する方法は一番望ましいですが、実際に上手くいくかどうかは分かりません。そのため、現実的な手段としておすすめの方法は、エコキュートを購入しておくことです。
エコキュートとは?
エコキュートは電気と空気の熱を利用してお湯を作る貯湯式給湯器です。
ヒートポンプユニットで空気の熱を取り出してお湯を作ると、貯湯タンクユニットにお湯を貯めて各所に給湯します。
貯湯タンクユニットに貯めてあるお湯は外部から取り出すことができるので、断水時に生活用水として利用できます。一般的なエコキュートの貯湯容量は300L以上なので、2Lのペットボトル150本以上の水を貯めておくことが可能です。
つまり、エコキュートを購入しておけば、断水が起きたとしても生活用水をある程度確保することができます。水を保管するスペースを自宅に用意する必要がなく、断水が起きたとしても生活用水を貯めたり、取りに行ったりする手間が無いのは魅力的です。
エコキュートで生活用水を取り出す方法
エコキュートで生活用水を取り出す手順は以下のとおりです。
1. 貯湯タンクユニットの漏電遮断器をオフにする
2. 貯湯タンクユニットの給水止水栓を閉める
3. 貯湯タンクユニットの逃し弁レバーを開く
4. 非常用水取出口からお湯(水)を取り出す
5. 栓を回してお湯(水)を止める
エコキュートのメーカーや機種によって手順や必要になる道具、名称が異なる場合はありますが、ポイントは3つです。
漏電遮断器をオフにして、給水止水栓を閉めて、逃し弁レバーを開くとお湯(水)が安全に取り出せます。なお、貯湯タンクユニット内部に貯めてあるお湯は高温のため、取り出す際はやけどに注意しましょう。
また、お湯を取り出したあとは給水止水栓を閉めたままにしておくと良いです。給水止水栓を閉めておくと、断水後の汚れた水が貯湯タンクユニット内部に流入することを防げます。
断水時の対処方法や注意点について次の記事でまとめましたので、参考にしてください。
エコキュートの水は飲料水として利用できないの?
結論から申し上げますと、エコキュートのお湯や水は生活用水として利用できますが、飲料水には適していません。
エコキュートはヒートポンプユニットで温めたことで、水道水に含まれていたカルキが消えてしまうので、飲料水に適している水質基準を満たしていません。また、水抜きやメンテナンスを行っていないと、タンク内部に汚れが蓄積している可能性もあります。
そのため、エコキュートのメーカーは「エコキュートのお湯を生活用水として利用することは問題ありませんが、飲料水には適していない」と発表しています。
エコキュートのお湯(水)はトイレを流す、身体を拭く、皿やコップなどの食器を洗うなどの生活用水として利用して、飲料水は別に用意しておくと良いです。
まとめ
以上が、断水時に必要な水の種類と量の解説です。飲料水は1人あたり3日間で9L、生活用水は3日間で30L~60L必要だと覚えておきましょう。
なお、上記の量はあくまでも目安です。断水時の気候や活動レベルによって必要な水の量は変わるため、多めに用意しておくことが望ましいです。しかし、大量の生活用水を前もって用意しておくことは難しいです。
エコキュートは貯湯タンクユニットが付いている給湯器です。一般的な貯湯タンクユニットのサイズは300L以上なので、2Lのペットボトル150本分を常備しておくことが可能です。
ただし、エコキュートはメーカーや機種によって特徴や機能が異なるため、選ぶ時は専門の業者に相談しましょう。「エコパパのお店」は地域とご家庭の状況に沿ったサービスを提案しております。エコキュート専門店として多くの施工実績を持つので、ぜひ「エコパパのお店」までご連絡ください。