エコキュートは室内にも設置が可能? 屋内タイプが適したケースと注意点を解説!
2024年9月18日
南北に長い列島である日本では、一口に四季といってもそのタイミングや気温には各地域で大きな差があります。
たとえば沖縄と北海道とではそもそも気候が異なり、必要とされる生活インフラや住宅設備にもそれぞれニーズの違いがあるでしょう。
一方では全国共通で需要があるといえる設備もあり、その一つに給湯器が挙げられます。
近年では省エネを視野に入れた高効率給湯器も続々登場し、そのうち化石燃料を使用せず電気でお湯をつくる「エコキュート」もよく知られるようになりました。
本記事ではそんなエコキュートについて特に室内に設置できるタイプを取り上げ、導入に適したケースや注意すべき点などを解説します。
そもそもエコキュートの仕組みとは?
まずはエコキュートがどのような仕組みで動く給湯器であるのか、その特徴的な機構について概観しておきましょう。
エコキュートは電気でお湯をつくることを先に述べましたが、それは電熱で水を温めるという意味ではありません。
「ヒートポンプ」という熱交換装置で大気中の熱を集め、それを圧縮して温度を上昇させることでお湯を沸かす熱源としています。
これはエアコンの室外機などと原理的には同じもので、エコキュートはこのようにして得たお湯をタンクにためておき、必要に応じて適宜供給するのが基本的な仕組みです。
エコキュートは室内にも設置できる?
エコキュートは室外機と貯湯タンクという設備を中心に構成される大がかりな装置であり、そのため基本的にこれらは屋外に設置するのが一般的です。
しかし状況によっては屋外ではなく室内への設置が望まれるケースもあり、その場合には屋内タイプのものを選択することも可能です。
注意すべきなのは、室内型のエコキュートとは貯湯タンクを屋内に設置できるタイプを意味しているという点です。
室外機は通常のエアコンと同様に屋外に設置する必要があり、すべての装置を家の中にビルトインするわけではないことを把握しておきましょう。
屋内設置タイプのエコキュートが適しているのは?
エコキュートには室内あるいは家の中に貯湯タンクを設置できるタイプのものがあることが分かりましたが、では具体的にはどのような状況で必要とされるのでしょうか。
繰り返しになりますがエコキュートは装置自体が大型で、本来は屋外に設置することが想定されたものです。
以下、屋内設置タイプのエコキュートを用いるのに適した状況を2例見てみましょう。
極寒地
給湯器であるエコキュートには当然多くの配管があり、常にそこに水やお湯が流れている状態といえます。
そのため寒冷地では配管内の液体が凍り付いて機能不全を起こす可能性があることから、断熱性を高めた耐寒仕様のモデルが用いられるのが一般的です。
例えば札幌市の最低気温はマイナス10℃前後にまで下がることもあり、このような地域でエコキュートを用いるには低温対策の施されたタイプであることが必要となります。
しかしマイナス20℃を下回るようなこれ以上の極寒地では、たとえ寒冷地仕様のエコキュートでも配管内の液体が凍る可能性は否定できません。
そのため極寒地では凍結対策として、屋内設置タイプのエコキュートという選択肢が挙げられるのです。
もちろん日本においては寒冷地の中でもマイナス20℃を下回る地域は限られていますが、ほかの豪雪地帯など冬場の厳しい環境下ではメンテナンス性や給湯効率も含めて、屋内設置タイプのエコキュートは有効であるといえるでしょう。
マンション
もう一つ、屋内設置タイプのエコキュートが適しているのは、マンションなどの集合住宅です。
これはスペースの制約と直結する問題で、屋外設置を前提としたエコキュートではどうしても空間的なゆとりのある戸建住宅での導入が多くなる傾向があるでしょう。
しかし集合住宅でもエコキュートへのニーズがあり、そうした場合には貯湯タンクを屋外に設置しない屋内タイプという選択肢が挙げられます。
ただし後述するようにマンションなどの集合住宅では設置に制約が生じる可能性が高く、それらの問題をクリアできるかどうかが重要となります。
エコキュートの屋内設置で注意すべきこととは?
屋内タイプのエコキュートは、その設置に際して通常の屋外タイプとは異なる注意点や条件があります。
以下にその代表的な課題を3例挙げました。
そもそも設置可能であるか見極めること
通常タイプのエコキュートが屋外設置を基本としているのは、室外機に加えて貯湯タンクという大がかりな設備によるためであることを先に述べました。
タンクの容量や形状にもさまざまな種類がありますが、屋内タイプを選ぶ場合には設置することがそもそも可能な状態であるかをまず見極める必要があります。
第一の関門はスペースに関することで、貯湯タンクを設置するのに十分な間取りであるかが重要です。タイプにもよりますがおおむね貯湯タンク本体の取り付けには半畳ほど、そしてメンテナンス用のスペースとしてもう半畳ほどの約1畳は確保すべきとされています。
また室外機からの適正な距離や水やお湯が通る配管との兼ね合いもあるため、スペースさえあれば屋内のどこにでも設置できるというわけではない点にも注意が必要です。
密閉空間にしないこと
貯湯タンクを屋内に設置する十分なスペースが確保できたとしても、それが密閉空間ではないことも重要な条件と注意点です。
それというのもエコキュートのヒートポンプは冷媒に二酸化炭素を用いており、万が一配管が破断して漏れ出した場合には非常に危険であるためです。
そうした事情もあってエコキュート本体は屋外に設置することが基本ですが、屋内では十分に換気できる状態であったり専用の設備を整えたりするなど、けっして密閉空間に設置しないよう注意しましょう。
耐荷重の補強が必要なこと
本来は屋外に設置することを想定したエコキュートの貯湯タンクは、重量がかさむ装置です。
タンクのサイズにもよりますが空の状態で100㎏ほどのものもあり、そのクラスの容量だとお湯をいっぱいにためた場合500㎏もの重さになってしまいます。
屋内の場所にもよりますがこの重量は建物の構造にとってたいへんな負担で、悪くすると床が抜けるなど深刻なダメージを及ぼすでしょう。
さらには転倒した貯湯タンクが建物を破壊したり、破断した配管から冷媒の二酸化炭素が漏れたり、あるいは熱湯がこぼれるなど大惨事を引き起こしかねません。
屋内にエコキュートを設置する場合には、このように耐荷重に配慮した補強構造であるかどうかも不可欠な注意ポイントです。
屋内型エコキュートのメリットは?
次に屋内型エコキュートのもつメリットについて、もう少し詳しく見ていきましょう。
先に述べたように極寒地や集合住宅などで効果を発揮する点はもちろんですが、それ以外でも重要な恩恵を得られます。
以下、代表的な2例を挙げました。
お湯の冷めにくさ
屋内設置型のエコキュートはお湯の冷めにくさ、ひいては熱利用の効率性がメリットとして挙げられます。
それというのも気温差の激しい屋外の環境に比べて室内は安定した温度であり、そのため外気温による影響が少なくすむためです。
エコキュートは貯湯タンク内のお湯の温度が下がると湯量が減ったものと認識し、加熱のための動作を行おうとします。
そのためお湯の温度が冷めにくいことは、省エネに直結するメリットといえるでしょう。
経年ダメージの少なさ
屋内設置型エコキュートの持つもう一つのメリットとしては、経年で受けるダメージの少なさがあります。
通常の屋外設置型だと気温変化や紫外線、風雨や空気中の塵等々、さまざまな外部環境由来のダメージにさらされることが前提です。
一方で屋内はそうした負荷がきわめて少なく、結果として特に外装を中心とした経年劣化の度合いは軽減される効果があります。
長期的なスパンで見るとこのことは機体の安定稼働と長寿命化に貢献する側面があり、屋内という負荷の少ない環境ならではの強みといえるでしょう。
屋内型エコキュートのデメリットは?
メリットとは逆に、屋内型エコキュートのデメリットも当然存在します。
ですがいずれもエコキュートという装置の特性に関わる重大な事項に起因した問題であり、これらを正しく把握した上で屋内設置を検討することが大切です。
以下、代表的なデメリット2例を見てみましょう。
設置条件のハードルが高いこと
すでに述べてきた部分ではありますが、屋内にエコキュートを設置するためにはさまざまな条件をクリアしなくてはなりません。
まずは設置が可能なスペースのあること、重量のある貯湯タンクを据え置くための十分な強度が確保されていること、密閉空間ではなく換気ができる状態あるいは機能を有していること等々、厳しい諸条件が挙げられます。
そのため通常の屋外設置よりも初期費用が高くなるのが普通で、この点も屋内設置型エコキュートを導入するハードルの一つです。
追加工事が必要な場合のあること
一つめに挙げたデメリットとも関連する事項ですが、屋内型エコキュートを設置する際には追加工事を必要とするケースもあります。
先述した通りの耐荷重や換気の問題はもとより、配管や排水のための設備を新たに設けなくてはならないことも珍しくありません。
昨今ではあらかじめエコキュートを屋内に設置することを想定して設計された集合住宅も登場していますが、まだ一般的ではありません。
そのためマンションなどで屋内型エコキュートを設置しようとした場合、諸々のハードルをクリアするためにも大がかりな工事を要する場合があることを認識しておきましょう。
まとめ
最後まで記事をご覧いただきありがとうございました。
この記事ではエコキュートは室内に設置することが可能かどうか、そしてその場合にはどのような状況に適しているのか、メリットとデメリットとともに解説しました。
光熱費削減効果とランニングコストの安さを誇るエコキュートは戸建住宅での屋外設置が一般的ですが、極寒地での使用や集合住宅での設置も可能な屋内型も大きなメリットを示しています。
1998年に創業した「エコパパのお店」は、エコキュート設置の専門店です。
関東・関西・中部・中四国・九州の各エリアに拠点を持ち、地域に寄り添った迅速・丁寧なサービスでこれまでに20,000件以上の施工実績を有しています。
エコキュートの設置や買い替えなど、関連する設備の施工についてご検討中のことがございましたら、ぜひお気軽にお問い合せくださいませ。